もう1人の子供
その日塚本は、無理矢理ついてきた今村と一緒に墓参りをしていた。
「あれからもう2年ですか」
今村はそう言いながら墓に花束を添えた。
「だな」塚本もそう言って花束を置き、2人は手を合わせた。
「この数年で、この地域で子供の傷ましい事件2つも担当して、当時は気が滅入っちゃいましたよ」
立ち上がり、車に戻りながら今村が言った。
「川本菜々美の強姦事件と百田実来の自殺....歳も近い女の子だったしな。菜々美ちゃんの事件は犯人は捕まえても、結局菜々美ちゃんを自殺させてしまったし、実来ちゃんの自殺だって原因は分からないままだしな..........」
塚本はそう言いながらよく晴れた空を見渡した。
「菜々美ちゃんの妹...愛実ちゃんは元気ですかね?確か、実来ちゃんと同い年だったから...今頃は夏輝君や恭介君と同じ高校生ですよね」
今村がそう言うと、塚本は「この間会ったよ、愛実ちゃんにも」と言った。
「えっ会ったんですか!?愛実ちゃん、元気でした?」
「元気..って言えるのかなあ、あれは。菜々美ちゃんが亡くなってからすっかり落ち込んじゃったみたいで、母親との関係も上手くいってないみたいだ。非行に走って、何度か補導もされてる」
「そうだったんですか....確か、父親がいないんでしたよね。あれでも確か、母親の不倫相手って..........」
今村が言うと、塚本はひと呼吸置いてから言った。
「....峯恭介の父親だよ。まあ、菜々美ちゃんの事件当時、恭介の父親は火事で既に死んでいたし、頼る相手もいなかったんだろ」




