だって好きなんだもん
「じゃあじゃあっ、相原くんと峯くんはいつから仲良いのー??」
カレーを食べながら綾花が言った。
一瞬、夏輝と恭介は無意識に目を合わせた。
「....9歳だよ」と恭介。
「えーっそんな前から!?超仲良しじゃん!ねえねえねえ、相原くんってどんな子だったのー?」
綾花は興味津々で恭介を見た。
「うーん、よくチビって言われてたかな」
恭介は穏やかに答え、夏輝は「おいっ」と目を細めた。
「そうなの!?今こんな背高いのにっ!?かわいーっ♡♡性格は?今と変わらない??」
綾花はヘラヘラと微笑んだ。
「...うん。昔から明るかったし、優しくて、男らしいって感じだったよ」
恭介が言うと、夏輝は「もういいって...」と呆れたようにカレーを食べた。
「そうなんだあーっ♡♡じゃあそのままイイ感じに成長したんだねっ!♡」
『そのまま』『成長』なんて言葉がいちいち引っ掛かるなんて、やっぱり成長できてない証だと思った。
夏輝はそんなことを思いながらまたカレーを口に運んだ。
「あ、相原くんって兄弟とかいるの??」
綾花がそう言って夏輝を見ると、夏輝は「..何で?」と微笑んだ。
「なんとなく?」
綾花に言われ、夏輝は「...いないよ」と笑った。
恭介は二人の会話を聞き、「羽住さんは中学どこ?」と微笑んだ。
綾花は「私はね~~」と恭介の方を向いて話し始めた。
昼食を食べ終え、夏輝は「じゃあ俺トイレ行ってくるわ」と言って歩き始めた。
「俺も」と言って恭介も夏輝に続いた。
2人に手を振った綾花は「さ、私ももーどろっ」と言って手を下ろした。
すると健斗に「なあ」と呼び止められ、綾花は「ん?」と健斗を見る。
「お前さあ、やっぱ夏輝にしつこくすんのやめたら?」
健斗に言われ、綾花は「えーっ何で?」と口を尖らせる。
健斗は「いや...」と呟いてから首を傾げて言った。
「夏輝、明らかに嫌がってるし?」
「ひどーい、そんなことないもん」
「いや、何て言うか、俺も上手く言えないんだけどさ...綾花のこと嫌がってるってよりかは、今は恋愛とかする気ないんじゃね?」
「それは..ちょっと思うけど~~~....」
綾花はそう言いながら、あの日手を振り払われたことを思い出した。
「それにさ、前にも言ったじゃん?あいつ、俺にもあんま昔のこととか話さないし、当たり障りのないこと言ってはぐらかすっつうか...だからあんま自分のこと話すの好きじゃないのかなーくらいに思ってたんだけど、さっきの、峯との会話見たら何か...峯の方も何か話したがらない感じだったし、好きじゃないとかじゃなくて、話したくないことでもあるんじゃねーの?」
健斗は腕を組み、なんとなく考えながら言った。
綾花は「それは....」と呟き、先ほどの2人を思い返した。
「でも、私にはいつか話してくれるかも知れないし?」
綾花はそう言いながらニコニコ。
「それは分かんないけどさー。でもあいつ、明らかに親の話題とか、昔の話避けてるような感じするんだよなあ。めっちゃ愛想は良いけど女子にも全然興味なさそうだし。たまに何かぼんやりした顔してるし。聞けないし、聞かないけどさ」
健斗は自分でも不思議そうにそう言いながら壁に寄りかかった。
「いいの。だって好きなんだもんっ。私はそういうミステリアスな感じもまた好きなのっ!健斗が信頼されてないだけじゃない??」
「はっ?俺中1から夏輝と仲良いし!...ってそういえばあいつ、小学校どこだっけ。まじで何も知らないんだなあ、俺って」
「....そんなのどうでも良くない?話したくないなら無理に聞かなくても。小学校がどこでも、昔何かあったとしても、嫌なことわざわざ話す必要ないんだしっ。私は相原くんとこれから思い出いっぱい作るもんっ!じゃね」
綾花はそう言って微笑み、健斗に手を振って教室に戻って行った。




