火事のこと
「あ、あとさ」
夏輝は思い出したように言って恭介を見た。
「ん?」
恭介が夏輝を見ると、夏輝は少し言いづらそうに口を開いた。
「...恭介ってさ、施設に来る前、どんなだった?」
「え?何急に」と恭介は笑った。
「ああいや、火事で両親が亡くなったことは知ってるけど、両親とはどんな感じだったのかなーってちょっと思ってさ。あの時はそんなに気にならなかったけど、この間お前と久しぶりに話して色々思い出した時思ったんだ。ほら『俺はずっと1人だった』って言ってただろ?あれ、どういう意味だったのかなーって」
夏輝がそう言うと、恭介は「...ああ」と微笑んだ。
「あれは、俺の両親仕事がちで家にいないことが多かったから、寂しかったってこと。仲良かったし、ちゃんと世話してもらってたよ。普通の家族って感じ」
恭介はそう言っていつものように微笑んだ。
「あ、そうなんだ....いや、それならいいんだけどさ」
夏輝は拍子抜けしたように苦笑した。
「はは、別に面白くない話でしょ?」と恭介。
「いやっ...!ただその、あん時は気づけなかったけど、もし辛い思いしてたならちゃんと聞きたいなって思ってさ。これからはもっとちゃんと恭介と向き合いたいからさ」
照れ臭そうに言う夏輝を見て、恭介は微笑んだ。
「ありがとう、なっちゃん。でも、本当に何もないんだ。何かあったら話すね」
「お、おう..!」
夏輝はそう言うとまたクスっと笑った。
「はーっ!この間塚本さんと話した時も思ったけどさ、自分の話ができるってやっぱいいなっ。話したいと思えるって幸せだなっ?」
夏輝にそう言われ、恭介は「そうだね」と微笑んだ。
「なっちゃんは気遣い過ぎなんだよ。まあ、俺に話してくれるのは嬉しいけどね」
「お前、またそういう気持ち悪いこと言う...」




