こんな風に笑う日が来るなんて
「だって、本当にそう思ってるから。ていうか、なっちゃんの周りにいる人はみんなそう思ってると思うよ。この間デートしてた女の子も」
恭介はそう言って微笑んだ。
「はっ!?なんで知ってんだよ...?」
「校門から一緒に帰るとこ見かけただけ。デートは適当に言った。本当にデートだったんだ?」
微笑みながら平然とそう言う恭介に、夏輝は「デートじゃねえよ...」と呆れたような顔をした。
「ふうん、そっか。まあどっちでもいいんだけどね」
ケロッと言う恭介に、夏輝は溜息をついた。
「俺はやっぱ実来以外、そういう感情まだ持てそうにないわ.....てかお前は?この5年、好きな子とかいた?」
夏輝がそう言うと、恭介は表情1つ変えずに言う。
「俺は実来ちゃんに対してなっちゃんの『好き』とは違う『好き』だったけど、それでもやっぱ俺の1番近くにいた女の子は実来ちゃんだったからね。他の女の子と親しくなりたいとか、まだそうは思ったことないかな」
「へえ...でもお前小学生の時女子にめっちゃチョコもらってたじゃん」と夏輝。
「それは相手が勝手に」と恭介。
「うわ!うざ!」
「なっちゃんはチビだったからモテなかったんだね、きっと。ずっと実来ちゃんにベッタリだったし」
「うっせ!今は俺の方が絶対背高いし...!」
「ふは、どうだろうね。まあどっちでもいいんだけど」
穏やかにそう言う恭介に、夏輝は「なんだよ腹立つな...」と呟き、吹き出すように笑った。
恭介が不思議そうに夏輝を見ると、夏輝は笑いながら言った。
「いや、まさか恭介とこういう話して笑う日が来るとは思ってなかったからおかしくて」
言われ、恭介も微笑んだ。
「それもそうだね。まだ17歳だけど、ちゃんと時間が経ったってことだよ」
「だなあ。いつか、俺もお前も結婚とかしたりするのかなあ」
夏輝はそう言ってまた晴れた空を見上げた。
「どうだろうね。未来のことなんて分かんないや」と恭介。
「...いつか実来のこと、忘れてっちゃうのかなあ」
夏輝はそう言いながら足首についている黄色とオレンジのミサンガを触った。
恭介は一度ミサンガを見てから夏輝に視線を戻して、優しく笑った。
「それはないんじゃないかな。綺麗事だけど、実来ちゃんはずっと俺たちの心の中にいるから。他の誰を好きになってとしても、なっちゃんが実来ちゃんを、実来ちゃんがなっちゃんを好きだった事実はこの先も一生、変わらないよ。もちろん俺もね」
恭介に言われ、夏輝は「だな」と笑った。




