何が好き?
【今度2人でデートしない?♡】
羽住綾花からのメッセージを見て、夏輝は小さく溜息をついた。
【もちろん!時間が合えば!】と返し、夏輝は机にスマホを置いた。
すると「へえ、相原君って黄色好きなの?」と声を掛けられた。
夏輝がビクッとして前を向くと、前の席に羽住綾花がいた。
綾花は夏輝の机の上に置いてあるiPhoneの黄色を指差して微笑んでいた。
「えっ、ああ、まあ、うん」
夏輝が苦笑すると、綾花は「偶然!私も黄色好き!」と言って「えっとー...」と呟き、ポケットからレモン味の飴を出した。
「あ....そうなんだ。えっと、何か用?」
「もうーっ、相原君冷たーい。ねね、デートなんだけど、今日の放課後はどうかなっ!」と綾花。
「あー...ごめん。テスト近いから勉強しないと。テスト終わったらね」
「えーっ1日くらい良くない?ちょっとでいいからっ!お願いお願いっ!」
綾花はそう言いながら夏輝の腕を掴んだ。
夏輝は「ああー...」と苦笑しながらそっと腕を抜いた。
「やったー♡相原くんと初デート♡」
放課後、夏輝は結局綾花のしつこさに根負けしてカフェに行くことに。
「ねえねえ相原くんってめーっちゃ頭良いよね?いつも勉強してるの?」
ご機嫌な綾花に、夏輝は苦笑した。
「んーまあ、暇な時は勉強してるかなあ」と夏輝。
「えっすっごーい!将来のこととか何か考えてるの?なりたい職業とか!」
「...ないよー?とりあえず大学に行きたいだけ。できるだけ学費安くしたいから勉強してるだけだよ」
夏輝の表情を見て、綾花は一瞬不思議そうにしてからすぐに笑った。
「すっご!めちゃくちゃ真面目じゃん!そういうとこかっこいいよね〜!私バカだから全然勉強できなくて羨ましいよ」
「羽住さんは大学行かないの?」
「うーん、とりあえず行きたいとは思ってるけど〜〜まだ1年だし!全然何も考えてないや」
「そうなんだ。まあ人それぞれだしね。ゆっくり決めた方がいいと思うし...ってかごめん、俺めっちゃつまんない話してるね、はは」
夏輝がそう言うと、綾花は「うっそ!全然つまんなくないしそんな謙虚な面もあるの!?かっこよ過ぎない!?」と夏輝を見た。
「えっ...あ、ありがと」
夏輝は顔を引きつらせて苦笑した。
「っていうか勉強してできるだけ安く大学行きたいとか、すっごい親孝行じゃない?素敵♡」
綾花に言われ、夏輝は「...ああ、まあ、そうなのかな」と苦笑した。
「仲良しなんだね〜〜パパとママ!」
綾花はそう言って微笑んだ。
「まあ、そうだね。仲は良いと思うよ」
夏輝はそう言い、綾花は「....あ、ねえ!お腹空いたよねっ!相原くんの好きな物食べに行こうよっ!相原くんって何好きー??」と夏輝の腕を掴んだ。
夏輝は苦笑しながら腕をすっと抜き、微笑んで言った。
「....カレーかな」
「じゃあまたね!今日はありがとう!あと、送ってくれてありがとうっ!楽しかった!」
綾花の家の前まで綾花を送り、綾花は笑顔で夏輝を見上げた。
「うん、こちらこそありがと。じゃあおやすみ」
夏輝はそう言って微笑むと、振り返って歩き出した。
綾花は「あ、まってまって!」と言って夏輝の手を掴んだ。
夏輝は咄嗟に勢いよく手を振り解いた。
綾花は「えっ...」と驚いた顔をすると、夏輝はハッとしたように「あ...ごめんね」と綾花を見た。
「あ、ううん!私の方こそ、急に触っちゃってごめんねっ!はは、じゃあおやすみ!」
綾花はそう言うと夏輝に手を振り、家の中へと走って行った。
夏輝は綾花に握られた手を見つめ、目を瞑った。
すると、「高校生ともなると女の子とデートもするかあ」と声が聞こえた。
夏輝は振り返り、驚いた表情を浮かべた。
「...塚本さん」
夏輝の視線の先には、塚本が手を挙げていた。




