↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
怪物  作者: 水野 すい
PR
2/100

家族

だが、次の瞬間に俺たちの期待は裏切られた。

恭介はイライラしたように差し出されたチョコをあしらい、俺の手からチョコが床に落ちる音がした。


「あ、お前。食べ物粗末にすんなよなあ」


俺はそう言いながらチョコを拾い、「3秒ルールだからまだいける」と言って自分でチョコを食べた。

実来が「もうー、落としちゃったなら新しいの、もう1個もらってくるね!」と笑った時、俺たちは初めて恭介の声を聞いた。


「....お前ら、なんなんだよ毎日毎日。うざいんだよ。俺の気も知らないでヘラヘラされてむかつくんだけど」


怒鳴るように言う恭介を見て、俺たちは少し固まった。

俺は小さく溜息をついて少し笑った。


「知らねえよ、お前の気持ちなんか」


俺が言うと、恭介は更にイライラしたように「は?」と俺を睨んできた。


「いいか。ここにいる奴らみんな親がいないか、捨てられた奴なんだよ。俺も実来もそうだ。気持ちは分かるけど、自分だけ辛いみたいな顔してんじゃねーよ。何があってここに来たのかは知らねーけどいつまでもいじけてないで、前向かなきゃいけないんだよ。俺たちみたいな子供は」


「分かったようなこと言わないでよ。君たちに俺の気持ちなんか分からないよ。俺はずっと1人だったんだから。そんなにいつも楽しそうにして、ちょっとうざいかな」


そう言われ、俺はクスっと笑った。


「ならここに来て正解じゃん?」


「は?」


「だってこれからは、お前はもう1人じゃないんだからさ」


夏輝に言われ、恭介はただ瞬きをして夏輝を見つめていた。


「俺も実来も、先生たちも、ここにいるみんながお前の友達だし、家族だろ。今までが1人だったなら、これからいっぱい楽しめよ。俺は家にいた時より、今の方が幸せだぜ」


すると、実来も微笑んで言った。


「そうだよ恭ちゃん。私たちはもう家族なんだよ。もう1人になんてさせないからね」


ここからだ。

もし今、俺が過去に戻れるとしたらきっとこの日に戻るだろう。

俺の人生の歯車が狂いだしたこの日に。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。