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不老になって数百年間、ずっと剣を振ってたらいつの間にか剣の神様になってたらしい〜侍を目指す少女と自由に世界を旅します〜  作者: 平元桜央


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新たなる国

 俺とマリナが山を出て、旅を始めて、しばらくの時が流れた。


 行く当てのない旅。


 目指すは適当に南東。


『グルルルル……』


 俺たちは今、とある林道で魔物と戦っていた。


 目の前には、体長6メートルほどの巨大な熊のような魔物だ。


「そっちに行ったぞマリナ!」


「はい!」


 俺の言葉に、マリナが迷いなく前へ出る。


『グガァ!!』


 魔物の爪が、マリナを襲う。


 その攻撃をマリナは剣で弾き、そして跳躍する。


「ハァ!!」


 体を縦方向に回転させ、その刀身が、魔物の首を断ち切った。


 血飛沫が舞い、彼女の刀、『桜花』に付いた血を一振りで払う。


「流石だな。返り血ひとつ浴びてない」


「えへへ、神様から頂いた服を汚したくないですから!」


 そんなの洗濯できるだろうに……気にしなくていいのだが、よほど気に入ったみたいだな。


「じゃあ村へ戻るぞ」


「はい!」


 俺たちは魔物の亡骸を埋葬し、手を合わせて、近隣の村へと戻った。


 俺たちは今、旅の途中にあった村により、依頼を受けていた。


 今回依頼されたのは、魔物退治。

 人里にまで降りて、危害を加えている魔物だった。


 退治したことを報告すると、村の人たちは大喜びで、俺たちは村長に報酬をもらった。


「本当にありがとうございます! あの魔物のせいで我々も大変困っていたところで……!」


「あなた方のような勇敢なお侍様が助けてくださって本当によかった!」


 頭を何度も下げる村の人たちに、マリナは手を振る。


「全然です! こちらも報酬はいただきましたし! 美味しいご飯までご馳走してくれて……!」


「宿屋までタダにしてくれて助かりました。ありがとうございました」


「いえいえ! あなた方はこの村の英雄ですから! また来てくださいね!」


 頭を下げる村人たちに手を振り、南東へと歩を進める。


 その道中で、魔物退治とか、薬草集めだとかをこなして、この旅の資金を稼いでいた。


「んー! 人助けをするのって、やっぱり気持ちがいいですね! 神様!」


「まぁ、人助けというかギブアンドテイクだけどな。報酬は貰うし」


「それでもですよ! 人を助けて頂いたお金で食べるご飯は美味しいです!」


 俺は財布を取り出す。今回の依頼で手に入れた金を入れると、旅の資金もだいぶ貯まってきていた。


「よし、これなら馬車とか捕まえて、ちょっと大きめの街を目指してみるのもありだぞ」


「そうですね! そろそろ都市観光とかもしたいです! 美味しいもの食べて、その国の名物を見て、ちょっといい感じの旅館に泊まって……!」


 途中にあった村にはもうすでに何回か立ち寄ったのだが、国とか、都市とか、そういった場所には未だに行き着いていない。


 それでも楽しいことは楽しいが、やはりデカい国とかにも行ってみたいもんだ。


「あ、見てください神様、前から人が歩いてきますよ」


 前から商人らしき人が歩いてきた。


「ちょっとこの辺りに大きめの街がないか聞いてみますか」


「そうだな」


 商人に手を振って、マリナは質問を投げかける。


「すいません、ちょっと尋ねたいのですが、この先に大きめの街はありますか?」


「あぁ、ここから先に進むと国があるよ」


「お」


 その言葉に、俺とマリナは顔を合わせる。


「やりましたね! 私たちの旅で最初の国ですよ!!」


「あぁ! 観光しようぜ! どんな国なんだろうな?」


 俺たちはもろ手を上げて喜ぶ。

 そんな様子の俺たちを見て、商人は首を振った。


「やめた方が良い。あんたらには何もできやしないよ」


「は?」


 商人はいきなり意味深なことを言い出した。


「ど、どういう意味ですか?」


「詳しく聞きたいなら、情報料をもらうがね」


「えー……教えてくださいよー」


 意味深なことを言うだけ言って金を取ろうとしてやがる。


「まあ、命の危険があるわけじゃない。気になるなら、自分の目で確かめるといい」


 商人は、どこか意味ありげに笑った。


「一日も経たないうちに……いや、ものの2時間もしないうちに、その国を出たくなるさ」


 そう言い残し、商人は去っていった。


「な、なんなんでしょう? そんなに酷い国なのでしょうか……?」


「……どうなんだろうな」


 俺たちは不穏な気配を感じ取りながら、行く先を見つめる。

 向こうには、果てしない曇り空が広がっていた。


「……命は取られないと言ってましたから、行ってみますか? どうせ通り道ですし」


「そうだな……」


 商人の言葉が心の中でぐるぐると回る中、俺たちは先へと歩を進めた。






 それから数時間後。


 日はすっかり高くのぼり、俺たちは舗装されていない道を歩く。


 俺たちの会話は、これから行く国の話でもちきりだ。


「どんな国なんでしょうね? 商人さんがあんなことを言うなんて、よっぽどの国だとは思うんですけど……」


「さぁな……だが、俺は商人の言葉のチョイスが気になっている」


「言葉のチョイスですか? 変でしたか?」


「あぁ。あの商人、『あんたらには、何もできやしない』と言っていただろ? 気を付けろとかじゃなくて」


 ただ治安が悪いのであればあんな言い方はしない。

『何もできない』とはどういうことなのか?


「たしかに……なんなんですかね?」


「まぁ、何かしら問題があることは確かなんだろう。マリナ、注意して……」


「か、神様神様……」


「ん?」


 俺が注意しようとしたら、マリナは行く先を見つめて呆然としていた。


「どうした?」


「あれ……」


 そう言ってマリナが指差した方向を見る。


 その先には、高い外壁が見えた。


 高さ30メートルはあるだろう、巨大な城壁


「あれが……国?」


 しかし、俺は、その壁を見て違和感を覚えた。


 壁の向こうから、何かが突き出ている。


 一本。


 二本。


 十本。


 それは塔だった。


 いや──違う。


「……ビル?」


 城壁を遥かに超える無数の高層建築物。


 外壁の向こう側に広がっていたのは、どこまでも広がる『摩天楼』だった。


「「うおおおおお!!!」」


 それを見た俺たちのテンションは鰻登りだった。


「なんですかあれ! 見たこともないくらいでっかいビル!!」


「すげえ! 摩天楼だ! まさかこんな異世界でお目にかかれるとは思ってなかったぜ!」


 今の今までど田舎な村しか行ってなかったもんだから、あんな大都会には興奮せざるを得ない。


 俺たちはウキウキ気分で目の前の大都市へと歩を進めた。


 この国の名は、龍星国。


 通行所を通り、国の中に入ると、そこに広がっていたのはやはり、高層ビル街だった。


 コンクリートによって整備された道路。


 オフィスビルに銀行。


 50階ほどの高層ホテル。


 タワーマンションに、ショッピングモール。


 デパートやコンビニなど、挙げていけばきりがない。


 前の世界である日本の東京を思い出させる。


 まさか異世界にこんな高層ビル街があったとは。


「すげー……さながら21世紀だ」


「こんな発展した国があるなんて……知りませんでした……!」


「あぁ……」


 これだけいろんなものがある都市なのであれば、不自由はしなさそうだ。


「しばらくはここに滞在しよう。観光したり、いい飯食ったりしてのんびりしようぜ」


「はーい! 楽しみですね!」


 俺たちは早速国を見て回る事にした。


 しかし、数分後、俺たちはあの商人の言葉の意味を知ることになる。

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