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「やって来ました南の森!今度こそ次の町にたどり着くぞ!」
さて、アイテムボックスを拡張したおかげで食べ物も飲み物も豊富にあるし、ちゃちゃっと抜けましょう。
「あ、イノシシだ。ついでに狩っていくかな」
「ふご!?ぶもぉ!!」
なんか逃げ腰だけど僕の速さと射程から逃げられず、美味しいお肉頂きました。
鑑定
ヌシの肉(ランクC)×10
美味しいお肉。少し置いた方が味が良くなる。走り回ることによって鍛えた肉は旨みが詰まっている。(効果STR+3、AGL+7)
ヌシの牙(ランクC)×2
長年衝撃に耐えた牙。その硬さは鋼に匹敵するとも言われる。加工が難しい。(効果STR+15)
ヌシの毛皮(ランクC)×5
柔らかく丈夫な毛皮。衝撃吸収率が高い。燃えやすい。(DEF+7)
イノシシって美味しい食べ方は牡丹鍋だったかな?でも醤油ないし、煮た方が美味しくなった気がするから料理は町に戻ってからかな?
その後はララビットを狩りながら草原を進んでいく。
そういえばここでじゃっくさんに会ったんだっけ。
「この世界を面白可笑しくいじっちゃう!さまよえる魂、じゃっく・おー・らんたん!さあ、アンタも魔女っ子マジカルんを見なさい!」
「あれ?じゃっくさん何でここに?」
「げ!ミーじゃない!布教しようと思ってたのに〜!ミーのバカ!」
何で怒られたんだろ?
森に近いせいか、もしくはじゃっくさんがいるせいか、モンスターが少ない。
折角だからご飯でも食べようかな。
この前みたいにララビットのステーキを作ろう。
前はそこら辺の木の枝燃やしてやってたけど、今回は簡易竈のコンロモードで料理する。
じゅ〜。
お肉美味しそうだな〜♪楽しみだ、な、って後ろからも焼けるほどの視線を感じる。
「いいなぁ。美味しそうだなぁ」ボソッ
じゃっくさんの目がキラキラしてる。
あ、今ぎゅるるってじゃっくさんのお腹鳴った!
赤くなってる……
「…折角会ったので記念に食べませんか?」
「はっ!?しょうがないわね!記念だから食べてあげる!」
ま、まあララビットの肉は沢山あるし、別にいいかな。
じゃっくさんと一緒にお肉を食べる。
「う、うまい!?何これ超柔らかいんですけど!肉汁じゅわって溢れる〜!塩だけなのにこんなに美味しいなんて!」
「ゲームって凄いですよね。こんなに美味しいの食べたの久々ですよ」
「昔食べたの!?満腹度も結構回復してるし、アンタ料理も凄いわね」
「は、恥ずかしいですよ。そんなに褒めないでください」
そんなに褒めたら照れますよ。
それにしても満腹度か………。
「ボス戦の時に餓死したりしたら大変ですねぇ」
「はぁ?戦闘中は空腹度減らないわよ。それに、0になっても10分は保つんだから、その間に何か食べればいいじゃない」
「えぇ!?そうなんですか!」
「知らなかったの?戦闘中に餓死なんて興醒めな事、運営にクレームの嵐で回線落ちするわよ」
た、確かに!僕は倒れたのは薬草取ったりポーション作ってた時で、戦闘中はお腹空いて無かった気がする。
感動した僕はじゃっくさんの手を掴む。
「ありがとう!ずっと気になってたんだよ!教えてくれて嬉しいよ!」
「ちょっ、てぇ手掴まないでよ!?通報するわよ!?」
「ふぇ!?あ、ごごごごめんなさい!」
なんか凄い顔が熱い。
いくらゲームでも女の子の手を勝手に掴むなんて、何してんだろう。
じゃっくさんも顔を真っ赤にして怒っているし、本当に悪かったなぁ。
ここまできたなら土下座しかない!
僕は流れるように土下座する。
「本当にごめんなさい、この通り」
「ちょ!?土下座なんて簡単にしないでよ!男でしょ!?…男よね?」
「ま、迷わないでほしいな…お詫びに一回僕に出来るなら何でも言う事を効くよ」
「な、そんな定番は女の子が言うものでしょうが!ったく、じゃあ一つだけお願いするわ」
そう言って近づくじゃっくさん。
僕は顔を少し上げて見る。と、スカートがフワッとして、
「何見ようとしてんのよ!」どかっ!げしっ!
「へぶっ!?ごめんなさい!?」
背中に乗っかられて頭に足を乗っけられて、地面に勢いよく押し付けられる。
なんか見られたらマズイ感じの格好だけど良いのかな!?
「…私の味方になってくれる?」
頭に足を乗っけられてるからじゃっくさんの顔は見えない。
「私、PKでしょ?もうしないけど、PKの表示は一ヶ月は消えないの。辞めたって言っても元PKなんて嫌われるわ」
小さな声は少し震えていて、
「悪かったのは私だって分かってるわ。ズルいとも思ってる。でも誰かに私を肯定してもらいたいの、だからお願い、するわ…」
消えるように小さくなる声を聞いて、
「駄目です。それはお願いにはなりません」
頭を抑えてる足の力が一瞬緩む。体をじゃっくさんが落ちないように少し捻り、顔を上げるとそこには、悲しげに微笑むじゃっくさんが見えた。
「そっか、そうよね。ごめんなさい、今のは忘れ「僕は」」
途中で話を遮る、これ以上言わせたくないから。
「僕は緋色みたいに強くないし、心も弱い。人に抗議するのも怖い人間です。でも、友達が困ってたら頼まれなくても助けます、どんなに悪い事をしても、反省したら許します。仲よくしてなんて、友達に頼まれたら嫌ですよ、僕がしたいからするんです。要するに」
「僕はナナの味方です。今までも、これからも」
その時、彼女の顔が少し微笑んだ様に見えた。
次の瞬間、足で頭が地面に、今度はゆっくり押し付けられた。
「な、何かしましたか僕?」
「…またスカート覗きそうだった。だから見えないように押さえてるのよ」
「え、それはあの、確かに見えそうでしたけど、見てないですよ!」
「三分は押し付けるわ」
「もうしませんから立たせて下さい!」
「ダメ。立たれたら困るから」
「何でですか!?」
(泣いて喜ぶ顔なんて見せられないじゃない。バカ)
「スカート覗き未遂の罰を考えるから」
「そんな〜」
三分後、ようやく離してくれたじゃっくさんがお願いと罰を決めたみたいだ。
「じゃあお願いは、私の名前をゲームでも現実でも呼び捨てにすること!」
「へ?呼び捨てに?」
「さん付けなんて他人行儀じゃない。緋色の時みたいに、呼び捨てで呼んでよ!」
「で、でも女の子を呼び捨てなんて「お・ね・が・い」…分かりました、その、じゃっく」
「…そこはナナじゃないんだ。まあいいや」
なんか凄い恥ずかしい!
もう罰を聞いて誤魔化すしかない!
「で、罰の方は何に決まったの?」
「私が来た時に、必ず美味しい料理を作ることよ!」
「え、料理作るだけでいいんです…の?」
「ええ、その時作れる最高の料理を作るのよ。ちゃんとお金は払うから安心しなさい」
「別に罰ならタダでいいんじゃ」
「ダメよ!お店やるなら友達に頼まれてもお金は取りなさい!他の人が損するじゃない!」
確かにその通りだ。気がついて無かったな。
「そっか、分かった。ありがとうね」
と彼女に笑いかける。
「!!うん、と、友達だしね!私もミーの味方になるわ」
「嬉しいよ、これからもよろしく、じ、じゃっく」
「う、うん!!」
こうして、僕とじゃっくは少し距離が近くなった。




