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「よし、やりますかね」


杖を作り始めて2日目、昨日削った杖をささくれ等を紙ヤスリで削っていく。

ザラザラした触り心地をツルツルにするのは楽しいなぁ。


次にじゃっくの杖と同じ色に染料で塗っていく。NPCが売ってたので黒をハケで塗っていく。

凄く薄く塗る事によって設定通りに光が通るようになった。光る木が無ければ再現出来ないよね、これ。


後はニスを薄く塗っていく。光が少し弱くなったけど、淡く綺麗な黒い光になった。

最後に少しギミックを仕組んでおく。


杖はここら辺で置いといて、ランタンを作る練習しよう。


《鍛冶》は簡単に説明すると、インゴットや鉱石を釜戸で焼いて叩く。その後叩きながら形を整え、冷やしたりまた熱して叩いたりして終わりだ。


鉱石からインゴットを作る方が安いらしいけど、レベルが低いうちはインゴットから始めた方がいいらしい。


まずは銀 (900)を熱して柔らかくする。赤くなったらハンマーで叩いて伸ばしていく。

ゲームなので案外簡単に加工出来るらしいけど、慣れてないしレベルも低いせいか厚さがバラバラで歪んだり一部分が割れたりしてしまった。


「練習するしかないか」


ひたすら銀を叩く。失敗したのはインゴットに再び直して使いまわせるので便利だね。


レベル5にしてようやく四角く均一の厚さの板が出来るようになってきた。でもランタンを作るレベルにはないのでさらに練習していく。


4時間後、ついにレベル10となって盾や指輪が作れる程度の技量になった。

早速ランタンを作っていく。


板を4つの二等辺三角形に切断して、溶けた銀を接着剤にしてくっつける。

これでランタンの三角錐の屋根が出来た。

杖の直径より少し大きいキャップを杖に入れて鎖で繋げるからね。

最後にバリと言う淵などについた余分な所を削り取る。


次はロウソクを入れる部分を作る。

四角い拡声器の淵を曲線的にした形って言ったら良いのかな?にしていく。1面だけは蝶番の扉にして魔石を交換出来るようにしておく。


これを屋根と触れる部分を接着してバリを削り取ったら、それなりに見れる形になってきた。


「屋根の先っぽが難しいんだよね、どうしようかな。うーん……そうだ!」


屋根の角が上に反り返っているので、反り返った先端は別に作って、切り込みを入れる。

切り込みに溶かした銀を少しつけて屋根に差し込む。

後は余分な所を削り取って終了!


「完成!ってあ、魔石固定する台が無いや」


指を曲げて持ってるみたいな形の台があって、そこに赤い魔石があるんだよね。


プリンみたいな形の台に指を付けていく。

ランタンの扉を開けて、溶けた銀でくっつける。


最後に銀を全部研磨 (光沢が出るように磨くこと)をする。

銀は硫化と言って空気に触れていると変色してしまうので、ニスを塗っておく。


仕上げにランタンを杖に付けて、中に魔石をはめる。


「今度こそ完成だ!」


鑑定

銀のランタン(ランクC)

固めの900銀で作られたランタン。銀は魔法が通りやすく、柔らかいため杖によく使われる。実際にロウソクを入れたら熱くて火傷する。(効果、魔法操作向上、INT上昇[小])


後は杖にキャップを付けるとじゃっくの杖が完成する。


「今日はこのへんにしとこうかな」


明日できたら渡そう。


-----------------------


「よぉヒナミ、放課後ラーメン食いに行かねえか?」

「女の子ラーメンに誘うってアンタ馬鹿なの?」

「す、すいません、ラーメンは大きすぎて食べられないです」

「じゃあ御使行くぞ!」

「僕の意思を確認してよ。行くけど」


お昼休み、僕は何故か別クラスのヒナミさんたちと一緒にご飯を食べてる。


「あ、そういえば杖今日出来そうだよ」

「本当に!?良かった〜、誰かさんに魔法返されて杖の耐久がガタガタだったからね〜」


そんな事を言うナナさん。

ちょっと!?今のは聞き捨てならないよ!


「じゃっくが僕を襲わなければ良かったのに!」

「しょうがないでしょ、(お金的な意味で)美味しそうだったもの。力も弱そうでね」

「力ずくなんて卑怯だよ!あんな事して酷いよ!」

「あー、ごほん。お前ら、周りに人がいるからな」


僕らは教室を見渡す。ちらっ。さっ!

ち、違うよ!ゲームの話だよ!


「わ、私もやってみようかな。緋色くん達もやってるし」

「お、マジか!なら俺の1つ譲るぞ」

「へ?なんで2つ持ってんのよアンタ?」

「βからやってる奴らには特典招待券としてで2つ貰えるんだよ。ソフトも入ってるし、どうだ?貰うか?」

「うん!ありがとう!大事にするね」


ヒナミさん、相変わらず緋色といると楽しそうだな。


「それじゃあ5時半にヨロシクね」

「分かったよ、中央広場で」


久しぶりに女子と長く喋ったなぁ。ゲームばっかりでは駄目ですよね。


-----------------------


「よし、形はこれでよし!」


キャップを差し込んでぶら下がったランタンは、原作通りの見た目だと思う。


後は杖に魔法を掛けるだけだね。


「《付与エンチャント》STR、INT、あれ?重ねがけは出来ないのかな?」


後に付けたINTしか付与エンチャントされてない。


まぁ、レベルが上がったらまた試そうかな。と、思っていたら、何故かターゲットマーカーが現れた。


「杖本体とランタン?部品毎に掛けられるのかな?」


ランタンにはINTを、杖にはSTRを付与エンチャントした。


鑑定

杖(名前が決められてません)(ランクC)

ミーが作った杖。火属性、また見た目に反して光属性が使いやすくなる。強度に不安があるが、魔法を使う分には問題無い。

効果

STR+15%

INT+15%

火属性向上、光属性向上、魔法補助

性能

物理攻撃力+3、魔法攻撃力+10

装備条件STR20、VIT15

耐久値20/20


うん、なんか凄い長い説明になってる。

まあ、こんなもんだよね。普通に違いない。

時間も無いしさっさと行こう。


-----------------------


「ごめんなさい、待ちましたか?」

「アンタに言われても嬉しくないわね、普通女が言うでしょ?時間ピッタリだし」


じゃっくさんは相変わらず魔女っ子の格好で待ってた。中央広場の視線釘付けだからね?


目立つのでちょっと人気が無い所に行くことにした。


「はいコレ」

「嘘ぉ!?何このクオリティ!原作再現高すぎ!やった〜!」

「喜んでもらえて良かったよ」

「だってこんなにクオリティ高くて効果が!?何これ強い。ど、どうしよう」


ん?何でだんだんテンション下がっていくの?

何で青ざめていくの!?


「こ、コレいくらなの?こんな高性能な物、私買えないかも」

「え、値段か。どうしよう決めてないや」

「え?」

「え?」


いや、作るの楽しくて忘れてたんだよ。たまにあるでしょ。


「今、値段決めてないって言った?」

「うん、言ったよ。材料費は2万ぐらいだったかな?」

「何でこんな高性能な杖が作れるのよ!?あなたβテスターなの!?」

「新規だけど。え、皆こんなもんじゃ無いの?」

「そんなわけあるか〜!!」


バッと出されたのは前にじゃっくが使ってた杖。

もう閲覧許可が出てるので見せてもらう。


鑑定

二ーロッド(ランクC)

名無しの権兵衛が作った杖。使いやすく、馴染みやすい。固い木で出来ている。

効果

魔法補助

性能

物理攻撃力+5、魔法攻撃力+5

装備条件

STR10、VIT15


「分かった!?アンタ異常なの作ったのよ!」

「だ、駄目ですか?」

「嬉しいけど、はあ。多分これ見せたら注文殺到すると思うわよ?」

「わかりました。教えてくれてありがとうございます。値段ですけど3万でいいですよ」

「え、安すぎでしょ!これなら2~30万は下らないと思うわよ?」


そんなに凄いのかな?

楽しく作っただけなんだけどなあ。


「良い勉強になったし、情報代とお友達価格って事で」

「駄目よ!せめて15万は出すわ!」

「いやいや、なかなか楽しかったですから5万でいいです」

「こんなに安く買ったら私の格が下がるわ!13万!」

「そのうち店出すつもりなのでご贔屓にしてくれれば問題無いですから、8万で」

「勿論行くけどそれとこれとは話が別よ!12万!」

「素材取るの手伝ってもらえたらいいですから、あと僕をPKしなければそれで。10万までしか貰えません!」

「顔見知りを殺る訳ないでしょ!?もう、分かったわよ。何で売る側が下げてるかわかんないけど。素材集めも手伝うし、これからもよろしくね」


納得いかないみたいだけど、どうにか10万で収めてもらった。


「あ、ありがとね、はい10万。さーて、お金貯める為に後でモンスター狩りね」

「へ?PKするのかと思った」

「PKはあんまりしないわよ。負けてマジカルんが気になりそうな奴にしか攻撃しないもの。アンタは弱そうだったから宣伝して見るようにおど、説得する予定だったから」


そうなのか。でも嫌な人は嫌じゃないかな?


「別にPKしなくていいんじゃない?じゃっくも魔法で直接被害出すのは少なかったと思うけど」


すると、じゃっくが目からウロコと言わんばかりの顔をした。


「確かに!じゃっくが直接攻撃したのはマジカルんだけなのに、私楽しくて思わず殺ってしまってたわ!PKなって困った事多かったのに…」

「なら魔法打って追いかけるぐらいでいいんじゃないですか?」

「…うん、そうする」


少し落ち込んだ様子だったが、こちらを向くと、


「今回は礼を言うわ!私が必要なら呼びなさい。だいたい飛んで来てあげるわ!」


そう言って走り去って行った。

よし、もう頼まれたこともないし、南の町に行きますか!

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