第13話 入学式当日
年内最後の投稿です!
何とか書き上がりました(^ω^)
よいお年を(^o^)/
入学式に限らない話だが、お偉いさんの話は長い。それはどうやら世界が変わっても同じなようで―――
「レオン、起きろって。睨まれてるぞ!」
小声で怒鳴るという器用な真似を披露しながら、レオンを揺さぶり起こす。因みにこの行為、入学式が始まってからの約1時間で四回目だ。俺の左側に並んで座るエリスとイリヤは呆れ顔だ。
「お、おう。悪い、また寝てたか」
「そうだよ。いくら退屈とは言え、あと半鐘(約30分)ないはずだから」
「がんばるよ」
壇上では、白髭をたっぷりと蓄えた高齢の男性、というかおじいちゃんが意外にもしっかりした口調で話している。佇まいにも隙がなく、古強者といった言葉が似合いそうな雰囲気を醸し出している。
「……じゃから、君たちが切磋琢磨しながら自らの技術を伸ばしていくことを期待しておる。以上じゃ」
長かった訓話も終わり、残すは高等科の生徒会長の挨拶だ。何故ここで高等科が出てくるのかというと、目指すべき目標の一例として、と学院長が言っていた。
「最後は、高等科生徒会長ユーナ・シュバイツによる新入生への挨拶です」
司会進行役の教師の声と共に、一人の少女が壇上に立つ。
すぐに話しださずに一度、全員の顔を見るかのように視線を巡らせる。一瞬、視線が合った。
「皆さん、こんにちは。高等科生徒会長のユーナ・シュバイツです。皆さんには――」
挨拶を聞き流しながら、ユーナ会長を眺める。立ち姿はスッとしていて、学院長ほどではないが隙もない。腰まである長い金髪をストレートで流し、顔立ちも整っている。十分過ぎるほどの美少女だ。
魔法の技量はやはりと言うか高いらしく、魔力が殆ど垂れ流されていないことがその裏付けだ。
「それでは、皆さんがよい学院生活を送れることを祈ります。」
学院長よりも数倍短い挨拶をそう締め括り、入学式は無事終了した。この後は学舎の自分の教室で待機だ。クラス分けは講堂に入る際に知らされている。幸運なことに、四人とも同じ一組だ。
「待機ってもよ、結局何すんだ?」
学舎へ向かう途中、そういえばとレオンが口を開く。
「そりゃ、学院で生活する上での注意や授業についてだろ」
「あ、あと高等科の先輩と国境の森でハイキングをするので、その連絡だと思います」
「へぇ~、そんなのがあるのか」
「………出発前にツァリさんから説明があったはずなんだけど?」
「そ、そうだったか?」
「あった。二週間後」
エリスのジト目に、あはははは、と渇いた笑い声をあげながらレオンは顔を背ける。
「今度はしっかり聞いとくんだな」
「………はい」
そうこうしている内に学舎へとたどり着く。三階建てで各階に一学年と、その学年を受け持つ教師の職員室がある。
俺達の教室は入って右奥だ。
扉を開けて中に入ると、既に数人の生徒が雑談をしていた。
どうやら席は自由のようだ。
迷わずに窓際一番後ろの席を確保。
イリヤが右、その前をエリス、俺の前をレオンが座る。
「レオンは窓際止めた方がいいんじゃない?」
「絶対寝る」
「レオンは寝ちゃいますよね?」
「ね、寝ねぇよ!」
再びレオンをからかいながら時間を潰す。
その間にも教室内の人数は増え、騒がしくなっていく。
「よーし、お前ら注目!オレが!今日からお前達の担任のギースだ!よろしく!」
教室の扉を音高く開き、教壇の上でそう言うのは筋骨隆々な男性だ。
とりあえず、いちいち語尾を力強く言わなくてもいいと思う。正直、うるさい。
「それじゃあ、最初だから自己紹介をしてもらおうか!よし!君からお願いしよう!」
指された男子生徒が慌てて立ち上がり、自己紹介を始める。
因みに、クラスは五人四列の構成で日本の教室と比べるとかなり余裕がある。
全く羨ましい限りだ。
ぼーっと自己紹介を眺める。ぱっと見、俺らと同じレベルはいなさそうだけど………
「それじゃあ、次!」
「ひゃ!ひゃい!」
極度の緊張のためか、噛み噛みの声を上げてしまった女の子が、クスクスという忍び笑いに顔を真っ赤にしてしまう。
何となく、気になった。特に変わった所が有るわけでもない。平均的な身長に白い髪。魔力量は平均よりもやや高い程度か。勿論、制御されていてその状態というのも有り得る話だけど。
「あ、アニュー・ライトです。よ、よろしくおねがいしましゅ!」
うん、何か可哀相になってきた。女の子、アニューは涙目で席に着く。
あ、俯いちゃった。
彼女の事を気にもせず、自己紹介は続く。
「エリス・マーガレット、よろしく」
いつの間にかここまで来ていた。
エリスはいつも通り、言葉数の少ない自己紹介だ。
「イリヤ・ミレイユです。皆さん、よろしくお願いします」
イリヤは育ちの良さが出てる。あ、何人か熱い視線が
たいして間を置かずにレオンの番。
「レオン・スチュアートだ。よろしく!」
レオンは担任と気が合うだろうな。
んで、最後は俺の番。
「トーヤ・ハインツです。よろしくお願いします」
「うむ!これから皆仲良くするように!それでは簡単にこれからの事を説明するぞ!」
満足そうに頷いたギース先生は、そう言って黒板に向かう。
「皆も知っての通り、二週間後に高等科の上位チームと共に国境、ジェニスの森でハイキングをする!これは間近で高等科生の実力を見れる数少ない機会だ!また!皆が仲良くなることも目的としている為、グループで行う!今日はグループ決めをするぞ!とりあえず、五人一組になってみよう!」
その声に動き出す生徒。仲の良いもの同士でも三人が限界らしく、残りのメンバーを探している。
勿論、俺達もすぐに四人で固まる。
周りの男子からの視線は無視する。
「トーヤ、私達はどうします?」
「俺らも、もう一人必要だな」
「……ちょっと誘いたい子が居るんだけど、いい?」
「誰?」
「白い髪のアニューって子。もしかしたらだけど、中々の実力者かも」
「ふーん、トーヤが言うんだからそうなんだろうな」
「異議なし」
「私もいいと思いますよ」
「よし、声かけてくるね」
知り合いが居ないのか、オロオロとしているアニューに話しかける。
「ねえ、ちょっといい?」
「ひゃい!」
ビクリ、と肩を震わせて振り返るアニュー。
こういう反応をされると、なんだか自分が悪者になったかのような気分になる。
「えーっと、まだグループ組んでないみたいだけど、よかったら組まない?」
「は、はい?わ、私で良いんですか?」
「むしろどうしてダメなのかと聞きたい」
俺の言葉に何かを感じたのか、ジッとこちらを見てくる。
正確には俺の目、か。
やがて、自分なりに得心がいったのかアニューの肩の力が抜ける。
「そ、それじゃあ……よろしくお願いします」
「うん、こちらこそよろしく。残りのメンバーを紹介するよ。こっち来て」
「はい!」
☆★☆
「よし!今日の予定は以上だ!各自、メンバーと仲良くなっておくように!解散!」
グループを組んだ後は、予想通り学院生活での注意事項と明日からの授業についての説明だった。
そうして、担任の語尾がやたら力強い話し方は変わらず、オリエンテーションは終わった。
「あ~、疲れた」
「寝てばっかだったのに……何時疲れる要素があった!」
「ん?気疲れ?」
「それはむしろ僕の方だよ!全く……それで、これからどうする?」
「また院内散歩か?」
「今度こそ図書館」
何時もより力強く、エリスが主張する。どうも昨日から楽しみにしていたみたいだ。
「よし、今日は図書館に行こう」
「あ、あの!」
連れ立って教室を出ようとすると、アニューに呼び止められた。
「私も、一緒に行ってもいいですか?」
「もちろん。一緒に行こう」
他の三人も頷く。
「あ、ありがとうございます!」
☆★☆
学院の図書館は初等科棟を出て、20分ほどの所にあった。地下2階、地上5階と大きく、魔導書を中心にあらゆる分野の本が揃っている。
噂によれば、禁書庫なるものが存在するらしいのだが、実状は定かではない。
「五の鐘に入口集合ね」
「分かった」
短く返事をすると、エリスは本棚の中へと消えていった。
レオンは既に夢の世界だ。
「トーヤ、私達はどうしましょう?」
「とりあえず俺は、伝説や昔話とか調べてみるよ」
天使の事とか、よく知りたいし。
「それなら私もご一緒します」
「わ、私もいい?」
「手伝ってくれるなら助かるよ。正直、広すぎる」
「そうですね。では行きましょうか」




