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エインスウィル  作者: アリステスリア
プロローグ編
10/15

第9話 幕間



???


石造りの宮殿の一室で、少女は跪いていた。少女の前にいるのはローブ姿の老人だ。


「それで、その少年は確かに”銀色”の魔力を発したのだな?」


「間違いありません、ドヴォグ様」


跪く少女、トーヤ達を襲ったローブ姿の彼女は、自らの主へ事の顛末を報告していた。

何やら事情を知っていそうな雰囲気ではあるが、下手なことを聞いて余計な事を知ってしまえば、文字通り”消され”かねない。


「ふむ、解った。任務ご苦労、領地に戻れ」


「了解しました。全てはデュナミス様の御心(みこころ)のままに」


そう言うと、いつかのように少女は闇に消えた。


「………セラフィムが動いたか。役者はそろいつつある。残るは”あの方”の器だけ」


ドヴォグはそう呟くと、思索に耽るように瞳を閉じた。


☆★☆


アルン第二円周区 ハインツ邸 中庭


「それではトーヤ様、試合を始めます」


「よろしくお願いします」


そう言って身体強化を発動し、木刀を構える。


「身体強化は中々様になってきましたね」


「それでも、ツァリさんには及ばないよ」


俺と同じように身体強化を発動させているはずなのだが、赤茶色の魔力光が全然もれていない。よく目を凝らして、ようやく肌に薄皮一枚程度の魔力光を見ることが出来る。

意志力で魔力を収束しているのだ。同じ魔力出力であれば、構成密度の高い魔法の方が強い。


「それじゃ、行きます!」


下段に木刀を構えて、地面を蹴る。一瞬で間合いを詰め、木刀を振り上げる。


「素晴らしいスピードですね」


「当たってもいないのにそう言われても、悔しいだけですよ!」


いつもながら見事な見切りで、一歩後ろに下がっただけで避けられる。


「まだまだ!」


動きを止めずにもう一歩踏み込みながら、今度は軌跡を辿るように振り下ろす。

これも避けられるが、予定通りだと言わんばかりに横に薙ぐ。同時に無詠唱で下級魔法『雷の矢(ライトニングアロー)』を放つ。その数、32。

半数を直接、もう半数を回避地点を先読みして放つ。意志力の鍛練の賜物だ。


「これは、予想以上ですね。短期間で複数同時操作を身につけましたか」


「ツァリさんに勝ちたくて必死に鍛練したからね!」


「なるほど。それでは、トーヤ様に新しい目標を提示しましょう」


轟ッ!!という暴風と共に全ての矢が流される。


「うわ!一発も当たらないのはちょっとショックだよ……」


「少し本気を出しましたから。これで当たってもしまっては、私の方が自信を無くしてしまいます」


「そ、そうなんだ」


よし、少しとは言えツァリさんに本気を出させるようになったぞ!


「それではトーヤ様、よく見ていて下さいね?」


「分かった」


俺の見ている前で、ツァリさんがいつも以上に集中する。魔力光は緑、風系統だ。

新しい魔法でも教えてくれるのかな?


「我放つは、大気を揺るがす緑の風

この手に集いて、敵を斬り裂く鎌と化せ―――」


ここまではいつもの詠唱と同じだ。そういえば、ツァリさんが詠唱するの久しぶりに見たな。でも、この魔法ならもう使えるぞ?


「――術式固定(ホールド)


…………え?


「我放つは、大気を凍らす青白き氷

彼の地を凍らせ、敵を阻め―――」


続けて魔力光を青白にし、氷系統の魔法の詠唱。右手には緑色の球状の光が輝いている。


「――術式固定(ホールド)


また、あの初めて聞く詠唱。

今度は左手に、青白色の球状の光が輝く。


融合進化(ユニゾンアドバンス)、『凍てつきし烈風(フリーズンゲイル)』!」


二つの球体が合わさり、緑と青白の混ざった風が的の案山子を切り裂き、凍りつかせる。


「ツァリさん………今のは?」


呆然としながら、俺はそれだけを搾り出す。


融合進化(ユニゾンアドバンス)、複数の魔法を組み合わせることで、より強力な魔法を作り出す技術です。組み合わせる魔法の特性を受け継ぐので、色々な効果を持つ魔法を作れます。因みに今のは、『裂く烈風(ティアーゲイル)』と『凍てつく大地(ニブルヘイム)』の融合で、効果は見ての通り、風の刃が切り裂きそこを凍りつかせるものです」


「すごい……すごいよ!ツァリさん!こんな技術を持ってるなんて……実は何処かの精鋭部隊にでも居たんじゃない?」


「………いえ、私はただのメイドですよ、トーヤ様」


答えるまでに少し、間があったのは気にしないでおこう。地雷かもしれないしな。


「それでは、まず基本的な所から始めましょう」


「よろしくお願いします!」


そうして、俺はツァリさんの講義に集中するのだった。

ストックが切れるので明日の更新で一先ず停止します

あまり長い時間はかからないと思うので、暫しお待ち下さいm(_ _)m

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