第68話 一時の休息
看板を取り戻し、草原へ……と帰る前に、俺たちは連邦を見学することにした。
なにせ、宇宙最強の組織にして技術の頂点!
色々見て回りたいじゃないか。
特に魔王が興味津々で、俺以上に鼻息を荒くしていた。
冷静沈着なイメージなので、珍しいものを見た。
その魔王たちだけど……この連邦を最後に、俺たちとの別れを切り出した。
二人は……
「ポイントが貯まったからね。この場所の見学を終えたら、神に会いに行く。今まで楽しかったよ、リョウ」
「すでに支払いポイントは看板を通して渡してある。世話になったな、少年」
そうだった、二人はもうポイントを集め終えて、あとは目的を果たすだけだったんだ。
メルも案内人の役目を終えるので、草原からいなくなるそうだ。
草原はまた、俺と看板の二人っきり……寂しくなる。
でも、まだ別れまで時間は残っている。
だから今は、その寂しさを忘れて、超技術の塊を楽しむとしよう。
――宇宙艦の発着場へ
看板と俺は、特にあてもなくフラフラと歩く。
そうして、大小様々な船が空を覆いつくす場所へ行き着いた。
船たちはドック内に固定されることなく、ただ浮いている。
宇宙艦の形は、海の船にそっくりなものもあれば、戦闘機のような形のものもある。球体や真四角、みょんみょんと形が不定形なものと、形は様々だ。
空中ディスプレイ型ガイドアプリには、『全て連邦が管理保護を行っている惑星の船。ですが、連邦そのものの船は一隻もありません』と案内してきた。
連邦の船は現在、全部出払っているんだって。
見たかったのに……ってか、防衛とか大丈夫なんだろうか?
ま、俺が考えるまでもなく、そこはしっかりしているんだろうけど。
空を海として羽を休める船たちを横目に、アイスキャンディを舐めながら移動する。
船をよく観察すると、そのデッキには人間のような人たちや、バッタ顔の人たちや、血液が酸でできてそうなメタリックな皮膚を持つ人などなどがいた。
連邦には、いろんな種族がいるようだ。
そこに、なんだか聞き覚えのある声が届いてきた。
「だから、あんたたちが恨みを買いすぎるからでしょ!」
「いや、貴様こそ顰蹙を買っているぞ」
「そうだぞ、メス」
「すぐにそうやってメスって言う! 私の名前は――」
「柚迩!?」
なんと、そこにいたのは、黒くて長い髪に、黒の瞳を持つ妹の柚迩!
彼女の両脇には……巨大な黒目と、異様に発達した頭蓋骨と、銀色の肌を持つ、すっ裸の宇宙人がいる。
アレ、見たことがある――グレイって奴だ。
彼女は俺に気づくと、少し首をかしげて、すぐにポンっと手を打った。
「あ~、柚迩から話を聞いてる。お兄ちゃん二号だ」
「お兄ちゃん二号って……待て、柚迩から聞いてるって?」
彼女はインドのサリーのような服を纏い、こう自己紹介をしてきた。
「私はユニ! 柚迩のクローンだよ!」
「クローン……ああ、柚迩が話してたな、そういや」
ユニ――柚迩のクローン体。宇宙人に誘拐されて宇宙を冒険したのちに、地球に戻った柚迩とは違い、今もまだ宇宙中を冒険している。
彼女は両脇の宇宙人についても紹介する。
「こっちの二人は、エイとリアン。見ての通り、地球ではおなじみすぎる宇宙人。そして、私のオリジナルを誘拐した変態」
「誰が変態だ」
「家畜の増長が著しいな」
「はいはい、そんなことよりも挨拶くらいしなよ」
二人の宇宙人――エイとリアンは小さくごにょごにょと不満を漏らしていたが、ユニの言葉に従い、こちらを向く――。
二人の言動から、ユニを見下してるように感じたけど、意外と対等な関係なんだろうか?




