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世界が滅びたので看板を片手に旅に出ます  作者: 雪野湯
第十一章 ミュールの世界

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第46話 賑やかな食事

 神と名乗った少女アスカ。

 だが、彼女から醸し出される雰囲気は、あの女神とはかけ離れたものだった。


 不思議な魅力を纏うが、圧はなく、ただ賑やかなだけ。

 そのため、俺の警戒心はすぐに氷解し、三人へ女神との出来事を話した。

「実は~~……」


――――――――

――――

――


 一通り、話を終える。

 三人は各々、異なる受け取り方を見せた。


 ミュールは……。

「宇宙象印の包丁……私でも再現不可能な魔道具。抽選購入で複垢100個用意したのに当選しなかったんですよねぇ。そんな包丁がリョウさんに……うらやましい……」


 ヤマタノは……。

「刃物……吾輩も似たような過去があるから、ちょっと嫌な気分なの~」


 アスカは……。

「そりゃまた、偏狭な神じゃの~。神とはワシのように度量深く、かわゆくないといかんの~」

「アスカさんのどこが可愛いんですか? PCゲーやってるときはかなり偏狭ですし」


「何じゃとミュール! ワシはむっちゃ寛大じゃぞ! なにせワシは、風と! 農耕と! 知識と! 光と! 太陽を司る龍神じゃからな!」



「もう、盛りすぎて何の神様かわからなくなってるじゃないですか? それに、太陽神は違うでしょう」

「太陽神をやってた時期もあるからいいのじゃ!!」

「創造神の一言で済む話でしょうに」

「肩書きはいっぱいあった方が、お偉いさんぽくてよいからの~」



 ミュールとアスカの掛け合いを見ていた俺は、軽く頭を掻く。

(同じ神でも、あの女神とは全然違うな。いや、女神だけじゃない)


 直接会った神は女神だけだったが、依頼を通して神という存在が、いかに傲慢で身勝手な存在であるのかを知った。



 だけど、目の前にいる設定盛り盛りの神様は彼らとは違うようだ。


 俺は再び、アスカとミュールを見る。

(神と聞いて驚いたけど、そもそも神が普通にいて、ミュールの家に住んでいて、鍋をつついているってどういう状況なんだ?)



 二人の掛け合いはまだ続いている。俺はもう一人の少女へ視線を向ける。

 ヤマタノは二人を横目に黙々と鍋をかっ食らっていた。


「今のうちに独り占めにするの~。もぐもぐ、ぐっ! ぐぐぐ、喉に……」

「おいおい、大丈夫かよ。ほれ、背中を叩いてやるから」

「ごほごほ、はぁ~、死ぬかと思ったの~。ありがとうなの~」


 俺は気にするなと軽く手を振る。

 するとミュールが、ヤマタノの言葉にひそめた眉をぶつける。

「死ぬって……ヤマタノさんは死なないでしょ。神なんですから」

「……はい? この子が、神?」


 問いに対して、ヤマタノは椅子の上に立ってふんぞり返る

「そうなの~、吾輩は神なの~。水を司る龍神なの~」

 ちょこんとした背中に、子どものようなはしゃぎ方。

 神の要素も、龍の要素も皆無。



 そんなヤマタノに、アスカが何やら彼女の姿を揶揄する。


「真の姿は神というよりも、大怪獣じゃがな」

「もう、アスカちゃんは! すぐに吾輩を怪獣扱いする! くらえ、ヤマタノ~ビーム!」


 ヤマタノの真紅の瞳が輝き、そこからレーザービームみたいのが飛び出して、アスカの皮膚を焦がす。

「あっつ! なんじゃその技は!? そんな技、おぬしは持っとらんじゃろ!?」

「フッフッフ、吾輩は日々進化しているの。いつか吾輩の尾っぽで、アスカちゃんを×××するの~」

「こら、小さなお子様に聞かせちゃならんエロい言葉を使うでない!」


「もう、お二人とも客人がいるんですよ! 少しは自重してください!!」


 この後も三人は賑やかに騒ぎながら、鍋をつつく。

 時折ミュールがお椀に具材を入れてくれないと、俺なんかでは参戦すらできなかった。

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