第46話 賑やかな食事
神と名乗った少女アスカ。
だが、彼女から醸し出される雰囲気は、あの女神とはかけ離れたものだった。
不思議な魅力を纏うが、圧はなく、ただ賑やかなだけ。
そのため、俺の警戒心はすぐに氷解し、三人へ女神との出来事を話した。
「実は~~……」
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一通り、話を終える。
三人は各々、異なる受け取り方を見せた。
ミュールは……。
「宇宙象印の包丁……私でも再現不可能な魔道具。抽選購入で複垢100個用意したのに当選しなかったんですよねぇ。そんな包丁がリョウさんに……うらやましい……」
ヤマタノは……。
「刃物……吾輩も似たような過去があるから、ちょっと嫌な気分なの~」
アスカは……。
「そりゃまた、偏狭な神じゃの~。神とはワシのように度量深く、かわゆくないといかんの~」
「アスカさんのどこが可愛いんですか? PCゲーやってるときはかなり偏狭ですし」
「何じゃとミュール! ワシはむっちゃ寛大じゃぞ! なにせワシは、風と! 農耕と! 知識と! 光と! 太陽を司る龍神じゃからな!」
「もう、盛りすぎて何の神様かわからなくなってるじゃないですか? それに、太陽神は違うでしょう」
「太陽神をやってた時期もあるからいいのじゃ!!」
「創造神の一言で済む話でしょうに」
「肩書きはいっぱいあった方が、お偉いさんぽくてよいからの~」
ミュールとアスカの掛け合いを見ていた俺は、軽く頭を掻く。
(同じ神でも、あの女神とは全然違うな。いや、女神だけじゃない)
直接会った神は女神だけだったが、依頼を通して神という存在が、いかに傲慢で身勝手な存在であるのかを知った。
だけど、目の前にいる設定盛り盛りの神様は彼らとは違うようだ。
俺は再び、アスカとミュールを見る。
(神と聞いて驚いたけど、そもそも神が普通にいて、ミュールの家に住んでいて、鍋をつついているってどういう状況なんだ?)
二人の掛け合いはまだ続いている。俺はもう一人の少女へ視線を向ける。
ヤマタノは二人を横目に黙々と鍋をかっ食らっていた。
「今のうちに独り占めにするの~。もぐもぐ、ぐっ! ぐぐぐ、喉に……」
「おいおい、大丈夫かよ。ほれ、背中を叩いてやるから」
「ごほごほ、はぁ~、死ぬかと思ったの~。ありがとうなの~」
俺は気にするなと軽く手を振る。
するとミュールが、ヤマタノの言葉にひそめた眉をぶつける。
「死ぬって……ヤマタノさんは死なないでしょ。神なんですから」
「……はい? この子が、神?」
問いに対して、ヤマタノは椅子の上に立ってふんぞり返る
「そうなの~、吾輩は神なの~。水を司る龍神なの~」
ちょこんとした背中に、子どものようなはしゃぎ方。
神の要素も、龍の要素も皆無。
そんなヤマタノに、アスカが何やら彼女の姿を揶揄する。
「真の姿は神というよりも、大怪獣じゃがな」
「もう、アスカちゃんは! すぐに吾輩を怪獣扱いする! くらえ、ヤマタノ~ビーム!」
ヤマタノの真紅の瞳が輝き、そこからレーザービームみたいのが飛び出して、アスカの皮膚を焦がす。
「あっつ! なんじゃその技は!? そんな技、おぬしは持っとらんじゃろ!?」
「フッフッフ、吾輩は日々進化しているの。いつか吾輩の尾っぽで、アスカちゃんを×××するの~」
「こら、小さなお子様に聞かせちゃならんエロい言葉を使うでない!」
「もう、お二人とも客人がいるんですよ! 少しは自重してください!!」
この後も三人は賑やかに騒ぎながら、鍋をつつく。
時折ミュールがお椀に具材を入れてくれないと、俺なんかでは参戦すらできなかった。




