『不審者』
不審者の目撃情報が年々増加しています。
保護者の方々には今一度、防犯意識の見直しをしていただき、お子様にも周知をお願いいたします。犯罪ゼロを目指して、地域一丸となって防犯に努めましょう。
<今月に入っての目撃情報>
①
特徴:黒っぽい上下のジャージ。帽子を目深に被り、マスクをつけていた。30〜40代の男性。身長は170cm程度。
備考:下校中の小学生二人に「暗闇に行きたいかい?」と尋ね、無視をして立ち去ろうとした小学生のうち、一人の手首を掴んだ。その間に男は「南に行けばその場所がある」「ジメジメしてるんだ」などと発言。たまたま通りかかった通行人が不審に思い、事情を尋ねたところ、男は逃走。児童に怪我などは無し。
②
特徴:制服(この地域周辺のものではない)。通学用と思われるカバンを所持。15〜18歳くらいの女子高校生。身長は150cm程度。
備考:こちらは複数回、目撃されている。
③
特徴:スーツ。通勤用と思われるリュックサックを所持。20〜30代くらいの男性会社員。身長は165cm程度。
備考:よく挨拶をしてくれる。
④
特徴:店主
備考:飲食店。
⑤
特徴:女
備考:天ぷらでお願いします。
[保護者から寄せられた苦情]
お世話になっております。○○小学校2年生の○○の母です。本日はお願いがあり、お手紙を差し上げました。
例の不審者情報についてですが、最近、内容におかしなところがみられます。以前は普通の、と言ったら不謹慎ですが、ちゃんとした文章だったはずです。
いつからあんなものになってしまったのですか? とてもふざけているとしか思えません。
こちらは子供達が危険な目に遭わないよう、色々と神経をすり減らしているんです。
なのに、あんな風に文章を書かれていては、私たちを侮辱しているようにしか思えません。
今後はまともな情報発信をお願いいたします。
それが難しいと言うのでしたら、今後このようなプリントを配らなくて結構です。
はっきり言って紙の無駄です。
二度とこのようなことはしないでください。
◆ ◆ ◆
「あ、俺天ぷらひとつね」
「あいよ」
「ここの天ぷら、旨いんだぜ。絶対、お前も気に入るって、なあ」
『へえー、そうなんだ。楽しみ』
「最近どうよ。仕事は順調?」
『まあまあかな。そっちは? 最近昇進したんだって?』
「そうそう。聞いてくれよー。上司がさ、お前そろそろいい歳だろ、結婚とか考えないのか、とか言ってきてさ」
『うわー、昭和だねー』
「今は令和だぜ。俺が男だったから、まだいいけどさ。女だったらハラスメントで訴えられてるぜ、今頃」
『わかるー。私、言われたら嫌かも』
「だよなぁ。でもそれ以外はいい人なんよ。良くも悪くも昔ながらっていうか。ちゃんと指導してくれるし、俺のために怒ってくれるし」
『すごいね、私なら耐えられない』
「まあ、上司のおかげで昇進できたしな。感謝しないと」
『涼って、何だかんだ、人がいいよね』
「おっ、そうかあ?」
(店の扉が開き、女子高校生らしき人物が店に入ってくる)
「いらっしゃい。お好きな席どうぞー」
「……すみません、隣いいっすか?」
「どうぞどうぞ。今日は混んでますから」
「すみません。……隣の人、彼女さんすか?」
「え、どう思う?」
「あ……いいんじゃないですか。まあ、赤の他人の私が言うことでもないんで」
『何、聞いてんのよ』
「いや、ごめん。ちょっとね」
「すみませーん。釜揚げうどん一つ」
「あー、ごめんなさい。売り切れちゃって。天ぷら蕎麦ならありますよ」
「あ、そうですか。じゃあ、それで」
『ねえ、変じゃない?』
「何が? 女子高校生が釜揚げうどんを食ってること?」
『違うって。うどん屋なのに、天ぷら蕎麦しか残ってないことよ。ざる蕎麦でもよくない?』
「うーん。そうかな」
「はーい、天ぷらお待たせしました」
「ありがとう」
「やっぱり美味そうだな。一つ食べる?」
『あー、じゃあもらうわ』
「どう? 美味しいだろ」
『本当。涼の言う通りね』
「……あれ?」
『どうかした?』
「お前、何を頼んだ?」
『何って?』
「注文してないよな?」
『え、そうだっけw』
「……ん? 待て待て……」
『ちょ、どうしたのよ。そんなに。何でそんなに怯えてるの?』
「お前、誰だ?」
「おい、誰だよ、お前!」
「あのー、涼さん?でしたっけ。落ち着いたほうがいいっすよ。騒いでもしょうがないんで」
「俺に彼女なんていねえよ。誰なんだよ!」
「笑ってんじゃねえ!」
『……あーあ、バレちゃった』




