↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/10

『不審者』

不審者の目撃情報が年々増加しています。

保護者の方々には今一度、防犯意識の見直しをしていただき、お子様にも周知をお願いいたします。犯罪ゼロを目指して、地域一丸となって防犯に努めましょう。


<今月に入っての目撃情報>

①

特徴:黒っぽい上下のジャージ。帽子を目深に被り、マスクをつけていた。30〜40代の男性。身長は170cm程度。

備考:下校中の小学生二人に「暗闇に行きたいかい?」と尋ね、無視をして立ち去ろうとした小学生のうち、一人の手首を掴んだ。その間に男は「南に行けばその場所がある」「ジメジメしてるんだ」などと発言。たまたま通りかかった通行人が不審に思い、事情を尋ねたところ、男は逃走。児童に怪我などは無し。


②

特徴:制服(この地域周辺のものではない)。通学用と思われるカバンを所持。15〜18歳くらいの女子高校生。身長は150cm程度。

備考:こちらは複数回、目撃されている。


③

特徴:スーツ。通勤用と思われるリュックサックを所持。20〜30代くらいの男性会社員。身長は165cm程度。

備考:よく挨拶をしてくれる。


④

特徴:店主

備考:飲食店。


⑤

特徴:女

備考:天ぷらでお願いします。






[保護者から寄せられた苦情]

お世話になっております。○○小学校2年生の○○の母です。本日はお願いがあり、お手紙を差し上げました。


例の不審者情報についてですが、最近、内容におかしなところがみられます。以前は普通の、と言ったら不謹慎ですが、ちゃんとした文章だったはずです。


いつからあんなものになってしまったのですか? とてもふざけているとしか思えません。

こちらは子供達が危険な目に遭わないよう、色々と神経をすり減らしているんです。


なのに、あんな風に文章を書かれていては、私たちを侮辱しているようにしか思えません。


今後はまともな情報発信をお願いいたします。

それが難しいと言うのでしたら、今後このようなプリントを配らなくて結構です。


はっきり言って紙の無駄です。

二度とこのようなことはしないでください。


◆ ◆ ◆


「あ、俺天ぷらひとつね」

「あいよ」


「ここの天ぷら、旨いんだぜ。絶対、お前も気に入るって、なあ」

『へえー、そうなんだ。楽しみ』


「最近どうよ。仕事は順調?」

『まあまあかな。そっちは? 最近昇進したんだって?』


「そうそう。聞いてくれよー。上司がさ、お前そろそろいい歳だろ、結婚とか考えないのか、とか言ってきてさ」

『うわー、昭和だねー』


「今は令和だぜ。俺が男だったから、まだいいけどさ。女だったらハラスメントで訴えられてるぜ、今頃」

『わかるー。私、言われたら嫌かも』


「だよなぁ。でもそれ以外はいい人なんよ。良くも悪くも昔ながらっていうか。ちゃんと指導してくれるし、俺のために怒ってくれるし」

『すごいね、私なら耐えられない』


「まあ、上司のおかげで昇進できたしな。感謝しないと」

『涼って、何だかんだ、人がいいよね』

「おっ、そうかあ?」


(店の扉が開き、女子高校生らしき人物が店に入ってくる)


「いらっしゃい。お好きな席どうぞー」


「……すみません、隣いいっすか?」

「どうぞどうぞ。今日は混んでますから」


「すみません。……隣の人、彼女さんすか?」

「え、どう思う?」

「あ……いいんじゃないですか。まあ、赤の他人の私が言うことでもないんで」


『何、聞いてんのよ』

「いや、ごめん。ちょっとね」


「すみませーん。釜揚げうどん一つ」

「あー、ごめんなさい。売り切れちゃって。天ぷら蕎麦ならありますよ」

「あ、そうですか。じゃあ、それで」


『ねえ、変じゃない?』

「何が? 女子高校生が釜揚げうどんを食ってること?」


『違うって。うどん屋なのに、天ぷら蕎麦しか残ってないことよ。ざる蕎麦でもよくない?』

「うーん。そうかな」


「はーい、天ぷらお待たせしました」

「ありがとう」


「やっぱり美味そうだな。一つ食べる?」

『あー、じゃあもらうわ』


「どう? 美味しいだろ」

『本当。涼の言う通りね』


「……あれ?」

『どうかした?』


「お前、何を頼んだ?」

『何って?』


「注文してないよな?」

『え、そうだっけw』


「……ん? 待て待て……」

『ちょ、どうしたのよ。そんなに。何でそんなに怯えてるの?』


「お前、誰だ?」


「おい、誰だよ、お前!」

「あのー、涼さん?でしたっけ。落ち着いたほうがいいっすよ。騒いでもしょうがないんで」


「俺に彼女なんていねえよ。誰なんだよ!」


「笑ってんじゃねえ!」


『……あーあ、バレちゃった』

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。