酔っ払い小話「好きなの?」
「何飲む?」
「ビール」
「私は『飛路喜』かな」
「え、美咲ちゃんが日本酒飲むなら私もそっちにしようかな」
「じゃあ、おちょこ二つもらおう」
「「乾杯」」
「二人って珍しいね」
「初めてじゃない?」
「たしかに!」
「美咲ちゃん」
「ん?」
「この間はありがとー」
「いいよー」
「お互い、しょーもない彼氏だったね」
「ねー」
「まぁ、私にはあれくらいがちょうどいいんだけどね」
「そんなことないよ。小野ちゃんならもっといい男いるよ!」
「そうかな?私にLINEしてくるのなんて、返事しなくても永遠に誘ってくるチェックシャツのメガネばっかだよ」
「そんなことあるかな?」
「ほら」
「え!?返事してないのにこんなメッセージくるの?」
「うん」
「ブロックしたら?」
「ブロックしても来るんだよね」
「ホラーじゃん」
「ふふ。もう慣れたよ」
「ストーカーとか怖くないの?」
「あのバカも同じこと言ってたな」
「サブレ?」
「うん」
「その話したの?」
「うん。そしたら、『その通知音はモノノケの鳴き声だ』とか言って、ブロックの仕方教えてくれたんだけどさ」
「サブレに教わったんだ」
「そのまま自分の話をしだした」
「どの話?」
「『二人の多重人格の女には、合わせて十一人の人格が存在した』話」
「あー!あれはホラーだったね」
「私の飼ってる化け物なんてのは、可愛いもんよ」
「あれと比べちゃうとね」
「美咲ちゃんはチェックシャツに絡まれなさそうだからいいね」
「チェックシャツじゃないチャラ男に引っ掛かっちゃったけどね」
「けったいな世の中だね」
「けったいだよ」
「良い男ってなかなかいないよね」
「なんか、サブレとかアフロ先輩のせいで目が肥えちゃってるかも」
「それはあるね」
「あの二人は絶対LINEで告白とかしないよね」
「なんか、夜景が見える高台で『好きだ!』みたいな告白しそうだよね」
「わかるー!」
「私に来るのは、おとなしそうなチビを見て『イケそう』とか思っちゃうやつだけだよ」
「身の程知らずだね」
「いやー、実績を作ってしまったしねえ」
「まったくー!自分を大事にしなさいよー」
「サブレとかアフロ先輩みたいな宇宙人は私には来ないのさ」
「小野ちゃんってさ」
「ん?」
「サブレのこと大好きだよね」
「え?」
「好きじゃないの?」
「まぁ、友達としては、良い奴だよね」
「付き合いたいとか思わないの?」
「私が?」
「うん」
「あのバカと?」
「うん」
「DV彼氏みたいなこと聞くね」
「ええ!?」
「あれは違う生き物じゃん」
「そうなの?」
「人間はね、宇宙人と恋愛しないんだよ美咲ちゃん」
「宇宙人……」
「だから、恋愛としての好きではないかな」
「『なでなでして〜』とか言ってたのに?」
「覚えてない」
「覚えてないの?」
「覚えてない」
「本当に?」
「美咲ちゃんこそ、バカのこと好きだよね」
「うん。好き」
「青春だね」
「初恋だよー♪」
「美咲ちゃんはサブレと付き合いたいの?」
「付き合いたいというか」
「いうか?」
「結婚したい」
「おお。さらに一歩進んだね」
「一緒に住みたい」
「美味しいご飯が食べられそうだね」
「子供が欲しい」
「大胆だね」
「小野ちゃんはそういうのないの?」
「んーーー」
「……」
「付き合うってこと自体のイメージが悪すぎる」
「あぁ……」
「ちゃんとした男と付き合ったことないからねー」
「そうなの?」
「一人目が『ただ経験人数を増やしたかっただけの男』で」
「ええ!?」
「二人目が『一度抱いただけで女を所有物だと思うDV男』」
「あぁ……」
「彼氏って必要かな?」
「それを言われてしまうと難しいね」
「なんか、チェックシャツモンスターと付き合うくらいだったら、一生独身でいいかなとか思わない?」
「それはそうかも……」
「美咲ちゃんは、いい奥さんになりそうだね」
「がんばるよー!」
「美咲ちゃんと結婚しようかな」
「えー!小野ちゃん、結婚するー?」
「私、部屋そんなに綺麗じゃないけどいい?」
「いいよいいよ!私が掃除する!」
「これはもう結婚だね」
「そしたら、サブレも誘って三人で暮らそう!」
「奴には飯炊きとサンドバック係になってもらおうか」
「いいねいいね!一緒にペシペシやろうよ!」
「それは……楽しそうだね」
「小野ちゃん!」
「ん?」
「よしよし」
「ンンン?」
「ふふふ」
「ふむっ」
※この物語はフィクションであり、実在の人物・団体とは一切関係ありません。また、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません。




