酔っ払い小話「チンチン女の乱」
「奈緒ちゃんって、サブレのチンチンの話めっちゃ笑ってたよね」
「あー!イケメンがチンチンとか言ってたら笑うでしょ!」
「流石に笑いすぎじゃなかったか?ちょっと周り引いてたっしょ」
「えーひどーい!みんな好きでしょ、チンチンとかうんことか」
「この歳でいつまでもそんなこと言ってるのはサブレと奈緒ちゃんだけだよ」
「そんなことないよ!」
「サブレなんてしばらく奈緒ちゃんのこと『チンチン女』って呼んでたからな」
「ひどい!タカシくんも笑ってたのに!」
「俺はサブレがあんな顔してチンチン連呼してるのが面白かっただけ」
「ほら!一緒じゃん!」
「一緒かなぁ」
「一緒だよ。男の子なんてみんな好きでしょ?」
「何が?」
「チンチン」
「まあ、大事にはしているな」
「あはははは!」
「何が面白いんだよ!」
「『大事にはしているな』だって!好きなんじゃん!」
「二十年近く寝食を共にしてるわけだしな」
「親友?」
「親友ではない」
「相棒?」
「相棒でもない」
「じゃあ何?」
「……肉棒?」
「捻りのないチンチンだ!」
「チンチンを捻ったら痛いだろ!」
「あははは!」
「奈緒ちゃん、やっぱ下ネタ好きすぎだって」
「違うよ。エロい話が好きなわけじゃないもん」
「じゃあ何が好きなの?」
「チンチンとか、うんことか、おっぱいとか」
「小学生の下ネタじゃん」
「そう!小学生の下ネタが好き!」
「何がそんな面白いんだよ」
「だってチンチンって面白くない?」
「単語が?」
「単語も面白いし、形も面白い」
「形?」
「だって変じゃん」
「まあ……変と言われれば変か」
「タカシくんは毎日見てるからわからないだけだよ」
「自分のを?」
「うん」
「まあ、風呂とかで」
「見てるの?」
「そりゃなあ」
「どんな感じなの?」
「普通だよ」
「でかいの?」
「そこそこだよ!」
「デカチンなの!?」
「……」
「……」
「見たいの?」
「気にはなるね」
「…………」
「…………」
「俺の?」
「うん」
「……」
「……」
「いや、ここではまずいだろ」
「ここではダメだよ」
「だよな」
「捕まっちゃうよ」
「捕まりたくはないな」
「じゃあ、捕まらない場所いく?」
「…………」
「…………」
「……まあ」
「いくの?」
「奈緒ちゃんが見たいって言ったんだろ」
「言ったけど」
「……」
「別に見るだけで何もしないからね」
「わかってるわかってる」
「……」
「行く?」
「……行く」
「…………」
「…………」
「なんか変な感じになってない?」
「俺もちょっと思ってた」
「チンチンの話してただけなのにね」
「うん」
「童貞なの?」
「童貞だな」
「恥ずかしくないの?」
「童貞は恥ずかしいことじゃない」
「チンチン見せるのは?」
「恥ずかしい」
「そうなんだ」
「……行くか」
「うん」
「…………」
「…………」
「タカシくん」
「何?」
「顔めっちゃ赤いよ」
「酒だよ」
「ふーん」
「奈緒ちゃんも赤いぞ」
「酒だよ」
「……そっか」
「うん」
「じゃあ行く?」
「うん」
「……」
「……」
「なんでこうなったんだろうな」
「チンチンじゃない?」
「チンチンかぁ……」
「チンチンだねぇ……」
この日、一人の童貞がこの世から消え去った。
名を「タカシ」という。
彼は数年後、「おちんちん侍タカシ」として百万石の城主となり、歴史に名を刻む。
彼をよく知る男は今日の出来事をこう呼んだ。
「チンチン女の乱」
日吉で起こったこの事件は、少し離れた高田馬場で、今も語り継がれている。
※この物語はフィクションであり、実在の人物・団体とは一切関係ありません。また、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません。
【酔っ払い小話は箸休めとして楽しんでください。本編とはあまり関係ないことを書きます。】




