↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

71/126

酔っ払い小話「喧嘩のやり方」

「ねぇ、サブレ」


「なんだ?小野ちゃん」


「サブレって喧嘩したことある?」


「まぁ、それなりにな」


「強かった?」


「それなりにな」


「人を殴ったことある?」


「そりゃ喧嘩だからな」


「どうやって殴るの?」


「普通に」


「普通って?」


「まずはグーを作るんだ」


「こう?」


「そうじゃない」


「どうやんの?」


「こう」


「こう?」


「違う。いいか?親指を中にしまっちゃいかん」


「そうなの?」


「人差し指、中指、薬指、小指と順番に握る」


「こう?」


「そうだ」


「そんで?」


「最後に親指で締める」


「こうか」


「小野ちゃん」


「ん?」


「今何を握ったかわかるか?」


「え?」


「力《ちから》だ」


「力《ちから》?」


「人類最古にして最良の武器、それが拳だ」


「誰かに習ったの?」


「地上最強の生物がそう言っていた」


「これが拳か」


「ほれ、ここにパンチしてみろ」


「ふんっ!」


ぽふっ


「それじゃあダメージを与えることはできないな」


「どうすれば……」


「どれ手本を見せてやろう」


「おぉ…へいっ!」


「小野ちゃん、何をしているんだ」


「ここにパンチをしてみて」


「実演するにはマトが小さいな」


「そうなの?」


「カズヤ!ちょっと来てくれ」


「なんだ?」


「手を出せ」


「ほい」


「なんだそれは」


「ゲロを吐くフリするんじゃねーのか?」


「頭のおかしい奴だな。手を前に出すと言ったらこうだろ」


「誰のせいだよ!」


「まずは、ジャブだ」


パシュッパシュッ


「イテッ、イテッ」


「そしてストレート」


バコン!


「うわっ!」


「そしてフックだ」


シュン!


「うおおお!?」


「安心しろ、寸止めだ」


「おい」


「ん?」


「俺にもやらせろ」


「後でな。あっちへ行ってろ」


「なんて傲慢な野郎だ」


「…なるほど、これが本物のパンチか」


「うむ」


「誰か殴りたい奴がいるのか?」


「今は別にいないけど」


「今は?」


「今度殴られたら殴り返してやろうと思ってる」


「誰かに殴られたことがあるのか?」


「別に」


「そうか」


「うん」


「小野ちゃんを殴る奴がいたら」


「いたら?」


「そいつを絶対俺に近づけるなよ」


「なんで?」


「俺は未成年ではないからな」


「関係ある?」


「あるだろう」


「何が?」


「俺が本気で殴ると、ろくなことが起こらないからな」


「そうなの?」


「あぁ。最善でも檻の中だ」


「最善で檻なんだ……」


「だから、絶対俺に近づけてはいかん」


「気をつける」


……。


「サブレ」


「なんだ」


「サブレに関係ある?」


「何がだ?」


「私が仮に殴られたとして」


「関係ないな」


「そうだよね」


「だが、俺の拳は関係の無いところに飛んで行きがちだ」


「そうなんだ」


「あぁ。マサシの彼女が寝取られた時も、関係の無い俺の拳は何故か飛んでいた」


「マサシ?」


「高校の時の友達だ。犬を三匹飼ってる奴だった」


「そうなんだ」


「マサシの家は貧乏でな。自分たちは痩せているのに、犬だけはぶくぶく太っている変わった家だった」


「そうなんだ」


「雑種だったな」


「今、ミックスって呼ぶらしいよ」


「そうなのか。時代だな」


「呼び方は大事だよ」


「そして、マサシにはちょっとブスの彼女がいたんだ」


「言い方」


「マサシはうちのお母さんのことも大好きだった」


「気が多いやつだったんだね」


「俺の弁当の卵焼きを横取りしながら、サブレんちの子になるとか言ってたよ」


「可愛いやつだね」


「あぁ。小野ちゃんサイズの可愛いやつだった」


「男友達の話だよね?」


「生物学上はな」


「んで、どうなったの?」


「まぁ、ろくなことにはならなかったよ」


「そうなんだ」


「ふむ。小野ちゃん」


「ん?」


「俺がもし、檻の中に入ったら」


「入ったら?」


「玄関に黄色いハンカチを吊るしておいてくれ」


「なんで?」


「帰ってきてもいいという意味だ」


「私の家に?」


「そうなるな」


「わかった」


「サブレぇ!俺の番はまだか!?」


「今行く」






……。


本物に殴られると流石に反撃どころじゃなさそうだな。


……頭のおかしいやつがガリ勉モヤシでよかった。







※この物語はフィクションであり、実在の人物・団体とは一切関係ありません。また、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません。


【酔っ払い小話は箸休めとして楽しんでください。本編とはあまり関係ないことを書きます。】






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。