酔っ払い小話「子供用運動靴」
「カズヤ」
「ん?」
「俺は人の服とか全然興味ないんだがな」
「うん」
「その靴はさすがにどうなんだ?」
「……靴?」
「それ、小学生が履いてるマジックテープのやつじゃないか」
「悪いかよ!」
「悪くはない。それも個性だ。大学生で履いてる奴を初めて見ただけの話だ」
「金なかったんだよ!」
「実家にあったのか?」
「俺、足ちっちゃいからまだ履けたの!」
「なるほどな」
「大学入る時に服買って、髪染めて、飲み会行ってたら金なくなったんだよ」
「それで実家のこれを?」
「そうだよ」
「お前、上半身は大学デビューしているというのに、下半身だけ三本とも小学生から成長していないんだな」
「なんだ三本って!」
「男には三本目の足があるだろう」
「うるせえ!」
「しかも横になんか書いてあるぞ」
「見るな!」
「『コーナーで差をつけろ』」
「読むな!」
「誰と競ってるんだ?」
「知らねえよ!」
「はっはっは!」
「笑うな!」
「いや、すまんすまん。でも靴くらい買った方が良いのでは?」
「だから金ねえって」
「五千円くらいは?」
「……それくらいなら」
「なら五千円くらい貸してやる。一万もあればまともな靴が買えるだろう」
「サンキュー!サブレが選んでくれんの?」
「いや、俺におしゃれはわからん」
「意味ねえじゃん」
「その靴がおかしいことには気づけたぞ」
「……それはそうだな」
「では行くか」
「おう」
「……街までこれで?」
「仕方ねえだろ」
「…………」
「なんだよ」
「まあ、コーナーで差をつければいい」
「だから誰にだよ!」
※この物語はフィクションであり、実在の人物・団体とは一切関係ありません。また、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません。
【酔っ払い小話は箸休めとして楽しんでください。本編とはあまり関係ないことを書きます。】




