酔っ払い小話「カリスマ美容師」
「今日はどうします?」
「ちょっと相談したいんですけど」
「はい」
「俺、大学のテニスサークル入ってるんすよ」
「そうなんすね」
「で、もうすぐ新歓なんです」
「ほほう!」
「今年から二年なんで、後輩が入ってくるんですけど」
「なるほど」
「俺、初対面だとちょっと怖がられることがあって」
「そうですか?」
「ピアス三つ開いてるし、顔もなんかチャラいと言われます」
「あー、お兄さんイケメンっすもんね」
「なので、新入生が話しかけやすい感じにしたいんですよね」
「わかりました!」
「優しそうな先輩というか」
「親しみやすい感じですね」
「そうそう」
「任せてください!」
「頼もしい」
「俺、そういうの得意なんで」
「ちなみに友達の紹介で来たんですけど」
「そうなんですね」
「アフロの男前」
「……ああ!」
「分かるんすか」
「分かりますよ。アフロの男前なんてレアじゃないですか」
「たしかに俺もアフロの男前は一人しか知らないです」
「あれやったの俺っす!」
「マジっすか」
「めちゃくちゃ似合ってましたよね」
「似合ってはいますね」
「でしょ?」
「あと、金髪にした友達もここらしいんですけど」
「小柄な方ですか?」
「そうです」
「多分それも俺っす!」
「おお……」
「どうしました?」
「二人とも髪型の主張が激しいですよね」
「お客さんの魅力を最大限に引き出しましたからね」
「カズヤの魅力は、あれだったのか」
「素材を見て決めてますから」
「なるほど」
「じゃあ今回は、後輩から怖がられない感じっすね」
「そうです。爽やかで、親しみやすくて」
「はい」
「新入生が見た瞬間、『あ、この先輩なら話しかけても大丈夫そうだな』って思う感じ」
「完全に分かりました」
「あと朝ラクなのがいいっすね」
「なるほど」
「セットとか面倒なんで」
「分かりました」
「お任せで」
「お任せください」
「お願いします」
「ふんふふ〜ん♪」
「…………」
「ふんふんふふ〜ん♪」
「…………」
「お客さん、頭の形めちゃくちゃ綺麗っすね」
「そうなんですか?」
「はい。これを活かしていきますよ」
「なるほど」
「ふんふふ〜ん♪」
「なんか、だいぶ切ってません?」
「大丈夫、大丈夫〜♪」
「そうですか」
「任せてください!」
「…………」
「ふんふんふふ〜ん♪」
「むむむ」
「どうかしましたか?」
「横、なくなりましたね?」
「良い感じっすよー」
「なるほど?」
「ここからです」
「ここから髪が増えることが?」
「カラー入れます」
「なるほど」
「茶色にしましょう」
「爽やかですか?」
「めちゃくちゃ爽やかです」
「任せましょう」
「ふんふふ〜ん♪」
「…………」
「ふんふんふふ〜ん♪」
「…………」
「はい、完成です!」
「おぉ……」
「どうです?」
「爽やかですね」
「かなり親しみやすくなったと思います」
「茶坊主は予想を超えてきたな」
「黒もいいんですけど、ちょっと明るい方が親しみ持てると思います」
「なるほど」
「全然怖くない!」
「大丈夫ですか?」
「柴犬みたいで可愛いっすよ!」
「確かに柴犬は可愛いし爽やかですね」
「新入生も絶対話しかけやすいですよ」
「ふむ」
「ピアスとの相性も抜群!めちゃくちゃ素材が活きてます!」
「さすがカリスマ美容師ですね」
「光栄です!」
「頭の形も綺麗だな」
「でしょう!?」
「なんか見てたら気に入ってきた」
「でしょう!?」
「さすがカリスマ美容師」
「ありがとうございます!」
「じゃ、また来ます」
「ぜひ!」
「…………」
「?」
「俺も今度、お兄さんのこと友達に紹介しますね!」
「ありがとうございます!」
……。
『カリスマ美容師 ★★★★★』
『投稿しますか?』
『 "はい" いいえ 』
カリスマ美容師だったなあ……。
※この物語はフィクションであり、実在の人物・団体とは一切関係ありません。また、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません。
【酔っ払い小話は箸休めとして楽しんでください。本編とはあまり関係ないことを書きます。】




