"ちゃんとした男"が好きです⑤
<ふーたりふたりで飲ーむー一気を友情一気と申します♪
<た〜ららったったったったった〜♪
<へい!
「やるなあサブレー!」
「どこまでもついていきますよアフロ先輩!」
「ガハハハ!今夜は寝かさないぞ!」
「望むところです!」
サブレさん……。
顔はめちゃくちゃ綺麗なのに、意味不明なプロフィールすぎるよ。
今度はアフロ先輩と乾杯してるし、もうなんなの。
あぁ、近い近い!
もう!
何やってんの!
「ヤバいね、あれ」
アフロ先輩とサブレさんによる友情一気に目を奪われていると、隣に座っていたマサハル君が笑った。
「うん。ヤバい」
「サブレさん、二十二歳だろ?いい歳こいて何やってんだよ」
「二十二歳って、いい歳なの?」
「大学一年の中ではいい歳でしょ」
それはそうだ。
浪人生の多い高田大学でも二十二歳の一年生はレアキャラだ。
二浪しているマサハル君も二十歳。
サブレさんは二十二歳。
二人とも十分に大人である。
そして、マサハル君の言っていることは正しい。
二十二歳にもなって「チョモランマだ!!」などと叫びながらビールを飲んでいる人より、それを見て「いい歳こいて何やってんだ」と笑っている人の方が、どう考えてもまともだ。
……なのに。
なぜだろう。
今のマサハル君の方が、少し子供っぽく見えた。
「まあ、俺はああいう飲み方しないかな」
マサハル君はそう言って、少し大人っぽい顔でウーロンハイを飲んだ。
「そうなの?」
「アフロさんもヤバいけどな。あの人、二年生だろ?」
「マサハル君と同い年?」
「多分ね」
向こうでは、二年生のアフロ先輩が、
「うおおおおおお!!」
と叫びながらビールを飲んでいる。
隣では二十二歳のサブレさんが、
「さすがアフロ先輩!どこまでもついていきますよ!」
と笑っている。
こちらでは二浪のマサハル君が、
「ガキだなあ」
と言っている。
……。
同い年ってなんだろう。
よく分からなくなってきた。
ただ、こうして安全なところから見ている分には、意外と面白い。
最初は怖かった騒ぎにも、十分もすれば慣れてきた。
こっちまで連れていかれるわけでもない。
カシスオレンジを飲みながら、愉快な人たちが全力で馬鹿をやっているところを眺める。
これはこれで、悪くないかもしれない。
そんなことを考えながら見ていると、ふいにサブレさんと目が合った。
「……」
何!?
どうしたの!?
サブレさんが、無駄に綺麗な顔で、にこっと笑った。
思わずドキッとしてしまう笑顔だ……。
自分のジョッキを軽く持ち上げ、それから騒がしい卓の隣を指差す。
こっちに来るかい?
たぶん、そういう意味だ。
「一緒に飲んでみたい」とは思うけど、そっちには行かない!
絶対そっちには行かない!
私は両手で持っていたカシスオレンジのジョッキを、さっと背中に隠した。
ぶんぶんと首を横に振る。
「……」
サブレさんは、見るからに悲しそうな顔をした。
え……。
しょんぼりしてる。
可愛い……。
しかし、すぐに気を取り直したらしい。
「タカマサ先輩サボってるんすか!甘えっすか!」
「ほう、サブレぇ。いい度胸だなぁ」
「乾杯しましょう乾杯!」
次の獲物を探しに行った。
……。
ふわふわの黒髪が大型犬みたいで、ちょっと可愛かった。
「サブレさん、本当に二十二歳かよ」
隣でマサハル君が笑った。
「……ね」
私も笑った。
でも。
さっきと違って、なぜかその言葉にはあまり同意できなかった。
※この物語はフィクションであり、実在の人物・団体とは一切関係ありません。また、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません。




