酔っ払い小話「噂好きな大学生たち」
『小野朝霞は声をかければ誰とでも寝る』
『小野朝霞は新歓でアフロの先輩にゲロを吐きかけた』
『小野朝霞は彼氏がいるのにサークルの男と浮気する』
『小野朝霞はサブレの子供を妊娠している』(NEW)
◇
……。
「小野さん!妊娠したってマジっすか!?」
「蓮!お前、そういうとこだぞ!」
「最近私にも子供ができたらしいね」
「小野ちゃん強くなったな……」
「もう慣れたよ」
「やるなあ」
「サブレの子供らしいね」
「あぁ。どうやらこの大学にはコウノトリがいるらしいな」
「迷惑かけてごめんね」
「ふっ。小野ちゃんと噂になる以上に光栄なことはないさ」
「まったくしょーもねー噂ばっかだな!」
「『カズヤが巨大なチチを揉んだ』ってデマはすぐ消えたね」
「まぁ、モブの噂なんてしてもつまらんからな」
「誰がモブだよ!」
「実際、『誰?カズヤって?』みたいな感じで消えていったフシはあるよね」
「ふっ。目立たないというのも便利なものだな」
「クソが!お前らが目立ちすぎなんだよ!」
「カズヤさん!童貞なのにチチ揉んだんすか!」
「蓮は黙ってろ!」
「サブレは一年中噂だよね」
「ほう?俺の噂が流れているのか?」
「師匠は有名人っすよ」
「ふっ悪くないな。聞かせてみろ」
「『リプトンのサブレは去年の新歓で参加した全てのサークルで一番可愛い女を食い散らかしていった』ってのが衝撃的でしたね」
「お前、そんなことしてたのか……」
「まぁ、連絡が来たら返事はするわな」
「そんで?」
「飯に誘われたら断る理由などないさ」
「そんで?」
「ふっ。そこから先は想像にお任せだ」
「クソがっ!」
「サブレはリプトンだと大人しいのにねー!ふんっ!」
「美咲ちゃん、俺は照れ屋なんだ。くっつかないでくれ」
「なんでこのバカがモテるんだよ!」
「顔がいいからだな」
「顔がいいからじゃない?」
「顔っスね」
「顔じゃないかな♪」
「クソがっ!だから俺は——」
「「「顔の良いやつが嫌いなんだよ」」」
「俺のセリフを奪うんじゃねえ!」
「蓮は新歓荒らしで100人の女と連絡先を交換したと言っていたな」
「そうっすね。結局連絡先を交換しただけでその後返事は無かったっス!」
「ふっ。『新歓を荒らしすぎてブラックリストが出回った藤原 蓮』はまだまだ二桁ですら遠いようだな」
「クゥー!悔しいっす!」
「でも、サブレが蓮を連れて来た時はびっくりしたよね」
「一回追い出したくせにな」
「その時はもうブラックリスト回ってきた後だったもんね♪」
「まぁ、こいつはバカなだけで悪い奴ではないしな」
「師匠……」
「小野ちゃんにもちゃんとしばかれたしな」
「ワンツーフックだよ」
「効いたっす」
「毎日練習してるからね」
「そういやアフロ先輩の噂って聞かないよな」
「アフロ先輩は噂っていうかあれだぞ」
「ん?」
「高田大学の七不思議の一つだ」
「そうなの!?」
「そういや、新歓期に流れてたな」
「どんな噂?」
「『春、行き先定まらぬ者の前に、黒き毛玉の妖精現る』」
「ああー」
「なるほど」
「実際、俺の前にも毛玉の妖精が現れたな」
「私もチェックシャツの物怪たちに絶望してたら現れたよその妖精」
「お酒を強要するサークルの新歓にいった次の日に、私の前にも現れた」
「え!?俺の前にだけ現れてないんだが!?」
「童貞には見えない妖精なのかもな」
「普通逆だろ!」
「して、小野ちゃん」
「ん?」
「子供の名前はどうしようか」
「あー」
「一応候補はいくつか考えてきたんだが」
「なになに」
「今一番気に入ってるのは、『夕月』とかいいんじゃないか」
「普通に可愛くてびっくりなんだけど」
「小野ちゃんが朝霞だからな。対になるものを考えてみた」
「じゃあ、産む時間を調整しなきゃね」
「ふむ」
「男の子でも女の子でもいけそう」
「だろ?センスがいいな俺」
「……」
「どうした?」
「なんでもない」
「ねえサブレ!私の子には名前ないの!?」
「あるぞ」
「あるの!?」
「こんなこともあろうかと考えておいた」
「えー!なになに?」
「美咲ちゃんの子は『実桜』だな」
「えっ、かわいい!なんで?」
「美咲ちゃんだからな。美しく咲いたら、次は実るだろ」
「えー!じゃあ春生まれにしなきゃ!」
「夏だったら『夏実』、冬だったら『柚実』。やりようはいくらでもあるさ」
「秋は?」
「……」
「考えてないんだ」
「秋生まれになる予定はなかった」
「なんでだよ!」
「ふふん♪」
「美咲さんご機嫌っすね!」
「ふふん♪」
「一応カズヤの子供の名前も考えておいた」
「なんでだよ!?」
「高田大学では何が噂になるかわからんからな」
「否定できねえ。なんで俺たちはこんな大学に入っちまったんだ」
「東大に一点足りなかったからじゃない?」
「くそっ!」
「名前は『文隆』だ」
「なんで?」
「根も歯もない噂が回覧板のように回っていくというで『文』」
「『隆』は?」
「タカシの『隆』だ」
「人の子供におちんちん侍の名前をつけるな!」
「タカシはいいやつなんだがなあ」
「それとこれとは話が別だろ!」
「わがままいわないの」
「小野ちゃんはセンスいい名前の子供だからいいじゃん!おちんちん侍と交換しようぜ!」
「やーだよっ」
「ふふん♪」
「師匠!俺の子供は?」
「蓮はまた今度だな」
「なんでですか!」
「一桁のガキに子供は早い」
「え!?じゃあ、皆さんは……」
「ふっ。どうだかな」
「どうおもう?」
「どうかなー♪」
「どうだろうな」
「やっぱ『リプトン』ってやべーっすね」
……。
◇
『リプトンのサブレは去年の新歓で、参加した全てのサークルにおける、一番可愛い女を食い散らかしていった』
『サブレは週七で違う女の家を泊まり歩いている』
『サブレの作ったカレーを食べた料理研究会の女達は全員、自ら抱かれに行ってしまった』
『サブレは第二外国語クラスの飯島桜子をクラスメイトだと気付かずにナンパして、そのまま夜の街へ消えていった』
『サブレは一年生なのに二十二歳なのではなく、二十二歳まで大学を転々として一年生を繰り返している』
『サブレはリプトンメンバーの男女問わずハーレムを作り上げて、三人以上は妊娠させているらしい』(New!!)
ふっ。
噂話が好きな大学生達だな。
何が本当かって?
ご想像にお任せだ。
まぁ、火のないところに煙は立たない。
それくらいは教えてやろう。
じゃあな。
※この物語はフィクションであり、実在の人物・団体とは一切関係ありません。また、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません。
【酔っ払い小話は箸休めとして楽しんでください。本編とはあまり関係ないことを書きます。】




