親友④
そのあとは、だいぶ話が脱線した。
俺がすぐ泣く話。
タカシが彼女にフラれて泣いていたという話。
合コンで俺とタカシが二人合わせて『おちんちんブラブラザーズ』と呼ばれていた話。
———。
「わかったよ」
「いいのか?」
「サブレが大学合格した時、『何かあったら頼れよ』って言っちまったしな」
「まさか本当に頼ることになるとはな」
「お前のお願いに答えられるのも嬉しいし」
「すまんな」
「かまわんよ」
「ふふ」
「もともと、可愛い子だなって思って声かけたくらいのテンションだしな」
「見る目はあるようだが、病気はいただけんな」
ありがとう。
タカシ。
俺のわがままを聞いてくれて。
そして、ごめんな小野ちゃん。
———
『なんか、一度抱いた女は自分の所有物になったみたいになってさ』
……。
俺は、抱いてすらいないのに、小野ちゃんの人生に介入してしまった。
ふっ。
後方彼氏顔って奴だな。
まったく。
「ところでさ」
「ん?」
「サブレ、小野ちゃんが付き合ってくれって言ってきたらどうするんだ?」
「……」
「真帆以来彼女作ってないよな」
「あぁ」
「相変わらず彼女は欲しくないのか?」
「彼女と言うものを作るのが苦手なんだよな」
「サブレ、ガチメンヘラだって言ってたもんな」
「あぁ。彼女ってものができた瞬間に俺は化け物になってしまうからな」
「それでも良いって言われたら?」
「俺が嫌なんだよ」
「そうか」
「まぁ、その時どうなるかなんてわからんが」
「ふむ」
「付き合うってだけが愛の形ではないさ」
「良いふうに言うけど、逃げ回ってるだけだよな」
「そうなんだよな」
「それでいつもハーレムができちまうんだからな」
「全部俺の顔が悪い」
「お前、偉そうなこと言うけど、自分のハーレムに手を出されて気を悪くしてるだけだろ?」
「……」
「図星だろ」
「うるせーばーか!」
「あははははははあ!二度と俺に偉そうなこと言うんじゃねーぞ!エロゲー主人公ニキがよおおおおおお!」
「クソクソクソ!」
クソ野郎が。
だがまぁ。
別に間違っていないから言い返せない。
俺は間違ってないことを言われると弱いんだ。
悪口を言い返すくらいしかできなくなってしまう。
そうなんだよな。
本当にタチが悪いのは、タカシよりも俺なんだよな。
ふぅ。
クソが。
◇
四月。
いよいよ新歓が始まる。
あれからタカシはサークルに顔を出さなくなった。
「流石に、サークルのOBが後輩に手を出しているってのもだせえよな」とか言って。
今更気づいたのか。やはりバカなやつだ。
……。
そのかわり、あの日から毎週一回以上は俺とタカシは遊びに行くようになっていた。
大体は飲みに行ったり、アミューズメントカジノへ行ったり、俺の家でスマブラをしたり……。
たまに真帆ややっさんも合流する。
この間久しぶりに四人で飲んだのは楽しかったな。
……。
「サブレー」
「ん?」
「手」
「おう」
「ふんっ」
パシっ!
「ふんっ」
パシッ!
「良いパンチだな」
「ふふ」
ガシッ
「小野ちゃん?」
「サブレの手はおっきいね」
「そりゃ小野ちゃんよりはな」
「……」
「どうした?」
「これが宇宙人の手か」
「宇宙人?」
「私とは全然違うってこと」
「?」
「サブレ」
「手」
「ほい」
「ふん」
バシッ
「おお!良いパンチだな!」
「ふん!」
バシッ
「小野ちゃん?」
「ふん! ふん!」
バシッ バシッ
「ちょっと激しすぎるぞ」
「ふん! ふん! ふん! ふん!」
バシッ バシッ バシッ バシッ
「話を聞いてくれ!」
……。
「この!チョモランマめ!」
バシッ
※この物語はフィクションであり、実在の人物・団体とは一切関係ありません。また、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません。




