酔っ払い小話「『おちんちん侍タカシ』誕生秘話」
「そうだな。今日はタカシが『おちんちん侍』になった時の話をしよう」
「おちんちん侍!?」
「あぁ。出会った時は童貞の足軽だったんだが」
「カズヤさんと一緒っすね」
「そうだ。カズヤと同じ足軽から、今や百万石の城主だ」
「加賀藩っすか」
「勉強してるな。偉いぞ」
「あざす!」
「童貞を卒業してからのあいつは、明らかに浮かれていた」
「そりゃ浮かれても仕方ないとは思いますが」
「有頂天だったんだ」
「そうなんすね」
「あぁ」
「続けてください」
「あいつを男にしたのはそう」
「男にしたのは?」
「『チンチン女』だった」
「なんすか『チンチン女』って!?」
「俺がチャーハンを作っている話で」
「いつものですね」
「何故かチンチンと言うと喜んでいた」
「そりゃ『チンチン女』っすね!」
「不思議な話だよな」
「不思議っすねぇ」
「その『チンチン女』の魔の手はタカシにも及んだんだ」
「食われちまったんすか」
「うむ」
「さすがタカシさんっす!」
「あぁ。それがタカシだ」
「それが誕生秘話ですか?」
「いや、そうじゃない」
「十分おちんちん侍っぽいですけど」
「ただ童貞を卒業しただけじゃ、侍にはなれんよ」
「そうなんすね」
「いいか?武士ってのは、危険を顧みず、飛び込んだ先で得られる魂の称号だ」
「なるほど」
「そんな簡単なもんじゃないんだ」
「……」
「覚えておけ」
「はい!」
「あれは暑い夏の日だった」
「いつものように、俺は『チョモランマ』でチャーハンを作っていたんだが」
「タカシが突然飛び込んできて、こう言ったんだ」
「『俺!おちんちん侍になっちまった!』ってな」
「自分で言ってたんすか」
「あぁ」
「続けてください」
「ここから先は俺がタカシだ」
「はい」
「おい!サブレ!聞いてくれ!」
「なんだ」
「俺!おちんちん侍になっちまった!」
「何を言ってるんだ?」
「最近俺が不思議なバーに通っている話はしたよな?」
「あぁ。あの、一目見れば九十キロを超えると分かる男女が『不思議な姿』でダーツをしていたという」
「そこだ」
「不思議な空間もあったものだな」
「続けていいか?」
「続けろ」
「俺はいつものように、おでこに偽物のチンチンを貼り付けて、知らないおっさんとムシ◯ングをしていたんだ」
「ムシ◯ング?」
「おでこに付けた偽物のちんちんをぶつけ合って、取れたほうが飲む遊びだ」
「それは……楽しいのか?」
「楽しい」
「そうか。お前が楽しいのならそれでいい」
「続けていいか?」
「続けろ」
「その日も俺は連戦連勝。今日は酒を飲めずに帰るのだろうかと悩んでいたところでな」
「ふむ」
「ヤバい奴が現れたんだ」
「お前よりヤバい奴がいるのか」
「あぁ」
「続けろ」
「そいつは六尺三寸、二十七貫ほどの大男だった」
「大男だったんだな」
「あぁ」
「俺がバーのカウンターで狂乱を眺めていると、そいつは俺に戦いを挑んできたんだ」
「勝ったのか?」
「壮絶な戦いだった」
「ほう」
「膝立ち同士で戦っても、俺のツノはヤツのツノに届かなかったんだ」
「なるほど。格闘技のように体重別の戦いではないんだな『ムシ◯ング』は」
「あぁ」
「でも俺は勝ったんだ」
「どうやって」
「『不思議な姿』でダーツをしている初老の男性が投げた矢がそれて、ヤツのケツにブッ刺さったんだ」
「穴にか?」
「いや、桃の部分だ」
「それは……ムシ◯ングどころではないな」
「あぁ。当然ヤツは飛び跳ねた。一瞬の隙をついた俺は、ヤツの額のツノへの接触に成功した」
「おお!よくやった!」
「尻の痛みによる脂汗で、ヤツの偽物チンチンは粘着力が明らかに弱まっていた。それが勝因だ」
「外的要因で勝利を収めたんだな」
「あぁ」
「続けろ」
「ヤツは言った。『こんなに強い奴は初めてだ。家来にしてくれ』と」
「家来ができたんだな」
「あぁ。御家人だな」
「出世したものだ」
「言ってやったんだ。『俺はまだ将たる器ではない』と」
「謙遜するなタカシ」
「するとヤツは、腰につけていた装備を外した」
「胸襟を開いたわけだな」
「そしてその装備を俺にくれたんだ」
タカシは、不思議な形をした何かを取り出した。
「なんだこれは……?」
「これは、一度はめると鍵を開けなければ用を足せなくなる宝箱らしい」
「なるほど。大切なものをしまうんだな」
「あぁ。本来の用途はイマイチわかっていないんだが、この形状を見てくれ」
「うむ。ベルトに何やら宝物をしまうような形態の何かがついているな」
「あぁ。そういうことだ」
「まさか」
「あぁ。俺はこれを頭に被った」
「六尺三寸の男がさっきまで身につけていたそれをか……!?」
「そうだ。そして誰かが言ったんだ。『おちんちん侍が誕生したぞ!』ってな」
「!?」
「まげもあり、家来もいて、刀も持っている」
「タカシ」
「なんだ」
「それはもう、立派な侍……いや、『おちんちん侍』だな」
「まだまだ満足はしていない」
「ほう」
「俺は『おちんちん戦国時代を見事に生き残り、天下を統一してみせる!』」
「タカシ」
「ん?」
「病気には気をつけろよ……」
……
「ヤベェ奴っすね」
「あぁ」
「質問あるっす!」
「言ってみろ」
「家来からもらった宝箱がイマイチイメージつかないんですけど」
「うむ」
「なんなんすか?」
「それは言えんな」
「?」
「ふっ。怖いものだな。コンプラというのは」
「コンプラっすか」
「あぁ。言いたいことも言えない世の中だ」
「ポイズンっすねぇ」
「ポイズンといえばな」
「ポイズンといえば?」
「侍、次の月には変な病気をもらっていた」
「ヤベェ奴っすね!」
「すごいものだな。抗生物質とは」
「きったねえっす」
「アラシ」
「はい」
「お前も気をつけろよ」
「はい!」
※この物語はフィクションであり、実在の人物・団体とは一切関係ありません。また、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません。
【酔っ払い小話は箸休めとして楽しんでください。本編とはあまり関係ないことを書きます。】




