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最果ての機械技師ノア  作者: 楓まんじゅう
第二章 異界門編

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第五話 真実を照らす月

こんばんは!


今回も遺跡探索回です!

森の謎に少し踏み込むお話になっています。

果たして三人は何を見つけるのか……。


ぜひ最後まで読んでいただけると嬉しいです!

「…え?」

「あれって…。」

後ろから巫女の戸惑う声が聞こえた。

「ん?どうした、何かあったか?」

そう言うとノアは巫女の方へと振り返る。

―――は?なんなんだよこれ…。


月光を浴びた壁画は、埋め込まれた無数の宝石を色鮮やかに輝かせていた。


青、赤、緑……。


様々な宝石の光は壁画全体へと広がり、灰色だった石の彫刻に少しずつ色彩が宿っていく。


「な、なんだ……これ。」

ノアたちは息を呑んだ。

先ほどまで見ていた壁画とは、まるで違う。

そこに刻まれていたのは、真実だった。


最初の壁画では、機械生物たちの複眼が不気味な赤い光を放っていた。

まるで理性を失ったかのように暴れ回り、エルフやドワーフ、巨大な猿へ襲い掛かっていた。

「ただ逃げているだけだと思ってたのに、全員血だらけじゃねぇか…。」


戸惑いながらも次の壁画へと目をやる。

崇めているように見えたそれは、血まみれの村人たちが、巨大な猿に守られる巫女を、血走った目で睨みつけていた。

「あれは崇められてたんじゃない…仲間を失い戦う中一人守られていた巫女を恨んでたんだ…。」

ルフトが言葉を失う。

「そ、そんなこと…」

ネイアは現実が受け入れられないようにただ呆然と壁画を見ていた。


次の壁画には、アルテミスに特別視されたことへの恨みからか、真っ赤に染まった目で槍を持ち巫女を追いかける村人たちと涙を流しアルテミスの元へ逃げる巫女が描かれていた。

「アルテミス様が求めたのではなく、村人達が恨みから巫女を追い込んでいたなんて…」


月へ祈りを捧げる人々。

そう見えていた壁画は、全く違っていた。

青白い光に照らされた人々から希望が消え、青々と見えていた森は茶色く枯れ果てていた。

深い悲しみと、消えることのない後悔。

少しずつ狂っていく森の中で、誰もが俯き、月へ向かって静かに手を合わせていた。

その姿は祈りではなく、罪を悔いる者たちのようだった。


「これは……。」

誰一人、言葉を続けることはできなかった。

静まり返った遺跡には、月光だけが静かに壁画を照らし続けていた。

そこに刻まれていたのは、語り継がれた歴史ではない。

誰かに隠された、本当の歴史だった。


「……つまり。」

ノアは壁画を見つめたまま静かに口を開く。

「昔、この森で機械生物との戦争があった。」

「その戦いで森は荒れ、多くの命が失われた。」


ノアは二枚目の壁画へ目を向ける。

「その中で、巫女だけはアルテミスに守られていた。」

「そのせいで村人たちは巫女を恨むようになった……そんな感じだな。」


さらに三枚目へ視線を移す。

「そして、その恨みが巫女を追い詰め、生贄の始まりになった。」

「でも……。」

ノアは腕を組み、小さく首を傾げる。

「なんで生贄なんだ?」

「ただ憎いだけなら追い出せば済む話だ。」

「それなのに、わざわざアルテミスに捧げるようになった理由がわからねぇ。」


最後の壁画を見上げる。

「最後にはみんな後悔してるみたいだけど……。」

「何を後悔してたのかも、これだけじゃ分からねぇ。」


ルフトも壁画を見渡しながら頷く。

「つまり、この壁画だけじゃ歴史の流れは分かっても、肝心な理由までは分からねぇってことか。」

「……あぁ。」

ノアはゆっくりと頷いた。

「この遺跡のどこかに、まだ何か隠されてるはずだ。」


「けど…とりあえず今日は戻るとするか!」

ノアは振り返り、腰に手を当てて笑う。

「おいおい、せっかくここまで来たのにこのまま帰るのかよ?!」

「今日はもう遅いし、ルフトだって怪我してだろ?」

「あと十日もあるんだ。焦ったって仕方ねぇ。」

「明日はゆっくり休んでまた来ればいい」

そう言うとノアはルフトの背中をバシバシと叩いた。

「いてっ!お前怪我人に何すんだよ!」

「あ、悪ぃ悪ぃ!」

ノアは悪びれもせず笑う。


「私もそう思います。」

ネイアは小さく微笑み、ルフトの腕へ目を向けた。

「私のために怪我まで…今日は帰ってゆっくりしてください。」

「じゃ帰るか!」

「おう!」

「はい!」

三人は階段へ向かって歩き出した。


「そういえばアガメてどこに行ったんだ?」

ノアは思い出したかのように疑問を口にした。

「たしかに見てないな?やっぱりこの先があったんじゃねぇか?」

ルフトは顎に手を当てながら答える。

ノアはネイアへ視線を向けた。

「巫女もそう思うか?」

ネイアは眉をひそめると答えた。

「おそらく…。」

「壁画を隠すためにしては大掛かりですし、あれだけで終わるのは不自然ですから。」

「だよなぁ…」

ノアは苦笑いを浮かべた。

「次は何もないといいけどなぁ」

「それ、絶対無理だろ。」

ルフトは呆れたように笑った。


しばらく歩き、ようやく遺跡を抜けると三人は解散する。

「またな、ネイア」

「じゃ」

「はい。またあした。」

互いに手を振り、それぞれの家へと帰っていく。


――皆が寝静まる頃。

二人はようやくツリーハウスへと着いた。

「ふぅ…疲れたな。」

ノアは背伸びをするとベッドへと飛び込んだ。

「まぁ、色々あったからなぁ」

ルフトは苦笑しながらイスに腰を下ろした。

「でも収穫はあったな。」

「あぁ、壁画に赤牙……どっちも気になることだらけだ。」


二人の間にしばらくの沈黙が流れる。

「なぁ、ノア。」

「ん?」

「ノアは壁画見てどう思った。」

ノアは天井を見つめ、しばらく黙ると静かに答えた。

「……なんとも言えねぇけど。」

「ここには、何か裏がありそうだ。」

「壁画だけじゃ分からねぇことが多すぎる。」

「まだ俺たちが知らない真実が、どこかに隠されてる気がする。」

「だな。」

ルフトは傷の手当をしながら答える。

「明日はどうする?」

「巫女がいたとこの近くに村みたいなのあっただろ?明日はそこで聞き込みでいいんじゃないか?」

「そういえばあった気が…じゃそこに行くか。」

「決まったことだし、今日は寝るか!」

「おやすみ!」

そう言うとノアはベッドに潜り込んだ。

横になったノアはすぐに寝息をたてて眠ってしまった。


「おいおい、早いな…。」

まぁ、今日は色々あったからな。

ルフトは黒鉄銃を取り出すと静かに俯く。

それにしても、ノアには助けられてばかりだ。

俺も早く……こいつを使いこなせるようにならないとな。

ルフトは黒鉄銃を握り直すと、小さく笑った。

「焦っても仕方ねぇか。」

「よし!明日に備えて俺も寝るか!」

そう呟き、ゆっくりとベッドへ潜り込んだ。


――翌日。

「おい!ノア!」

「起きろよ!朝だぞ!」

朝からツリーハウスにはルフトの元気な声が響く。

「わ、わかってるよぉ…今起きるから…」

「ほら!今日は聞き込みに行くんだぞ!さっさと起きろ!」

「ふぁ〜……おはよう。」

ノアは大きく欠伸をしながらテーブルへ向かう。

「朝飯なに?」

「ベーコンエッグとパンにしてみた!」

「冒険っぽいだろ?」

「ハハッ、たしかに。」

ノアはテーブルにつきゆっくりと体を伸ばす。

「ミルクでいいか?」

「うん。」

「ほい。」

「ん。」

「そんじゃ、いただきます!」

「召し上がれ。」

二人はゆっくりと朝食を済ませると、身支度を始めた。


「今日は巫女に会えるのかな?」

「ん〜どうだろう。」

「昨日はたまたま一人だっただけじゃねぇか?」

「巫女なんだし、本来そんな簡単に会える相手でもないだろ。」

「だよなぁ。」

「じゃ今日は二人で聞き込みだな。」

準備を終えた二人はツリーハウスを出ると、朝日に照らされる村へ向かって歩き出した。

森に隠された真実を見つけ出し、巫女を救うために……。


第五話 終

最後まで読んでいただきありがとうございました!


今回は遺跡探索がメインのお話でした。

森の謎も少しずつ見えてきましたが、まだまだ分からないことだらけです。


次回は村で聞き込みをしながら、さらに森の真実へ迫っていきます!


毎週日曜日20時投稿目標です!良かったらブックマークして待っていてください!

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