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最果ての機械技師ノア  作者: 楓まんじゅう
第二章 異界門編

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第二話 洞窟の楽園

読んでくださりありがとうございます!

今回が初めての方は是非一話から読んでくださると嬉しいです!

前回見つけた謎の少女、彼女の正体とは一体…

光の先にあるのはなんなのか。

楽しんで行ってください。

「なんかジメジメしないか?」

ルフトが辺りを見渡しながら呟く。


「この辺りに水源があるのかもな」


「まじか!俺喉カラカラなんだよ!早く見つからねぇかなぁ」

ルフトは水源のことを聞くと少し早足になる。


「しかしどこに繋がってるんだ?」

「さぁな。進んでみりゃわかるだろ」

二人は少女を連れて慎重に進んでいく。


やがて。

「おい、見てみろよ。」ルフトの肩を叩き、前を指さす。

「おお!光だ!」横穴の先が輝いていた。


洞窟の中とは思えないほど白く光り輝いている。

二人は満面の笑みで光の方へと走っていく。


「やった!外だ!」

勢いよく横穴に飛び込んだ。


目の前に広がっていたのは異界門の外……ではなく鬱蒼と生い茂る森だった。


……え?なんだよこれ。


「は?洞窟の中に…も、森?」

二人とも戸惑いの声が漏れる。


「あ!あいつさっきのうさぎ!」

ルフトが森の奥を指さす。


あいつここから来てたのか…てかなんでこんなとこに森があるんだ?


見渡す限りの緑。

天井が見えないほど巨大な木々。

色鮮やかな花々。

遠くから聞こえる鳥の鳴き声。

ジェイルで生まれ育ったノアにとって、その光景はあまりにも現実離れしていた。


あぁ頭が追いつかない!


「ここ森だよな?」ルフトが辺りを見渡して呟く。

「だろうな。全くどうなってんだ。」

戸惑いを隠せない二人は呆然と森を眺めた。


「んーっ…あれ私どうなって…」

ルフトの腕の中で寝ていた少女が目を覚ます。

「お!起きた!お前大丈夫か?」

ルフトが少女の顔を覗き込んだ瞬間——


きゃあああああ!!!

少女は奇声を上げてバタバタと暴れまわる。


「放せこの変態!」少女の拳がルフトの顔面を何度も殴りつけていた。

「おいおい!暴れるなって!」「今下ろすから!」

ドタバタと腕の中から抜け出した少女は、地面に着地した瞬間、ぴたりと動きを止めた。


「え…最悪だ、何でまたここに…」

少女は森を見渡して額に汗を流し震えていた。

さっきの勢いが嘘みたいに消える。


「すげぇよなぁ洞窟の中に森があんだぜ。」

ルフトは少女の横に立つと自慢げに腰に手を当てている。


「なんでそんな簡単に受け入れられんだよ!」ノアが呆れながらため息を吐く。

「おい、お前本当に大丈夫か?汗すごいぞ?」

ノアが覗き込むと、少女は睨みつけて叫んだ。


「何で連れてきたの!やっと抜け出せたのに!」

鬼気迫る表情の奥に、強い焦りが見えた。


「おいおい、なんだよ急に!一旦落ち着けって!」

なんなんだこいつ急に起きたかと思ったら、怒って叫び出すし。

「とりあえずお前名前は?」


少女はようやく落ち着きを取り戻し地面に座り込む。

「私の名前は…ネ」


———言いかけた瞬間、森の奥で聞きなれない声響いた。


「見つけたぞ!こっちだ!」


森の奥から飛び出してきたのは、見たこともない格好をした連中だった。


肌は褐色で、背丈は俺とそう変わらない。

だが顔つきは妙に老けていて、全員が槍を握りしめている。

こいつの知り合いか?


「あ…あ…見つかった…」

少女は震え、顔から血の気が引いていた。


二人を見つけた男たちは足を止め、一斉に槍を構えた。


「む、なんだ貴様ら!巫女様から離れよ!」

民族の長らしきものがノアを睨みつける。


はぁ?巫女様?こいつが?

少女を見ると、俯いて小刻みに震えていた。


「なんなんだよお前ら!俺らと殺ろうってか」

ノアは腰にしまっている赤牙に手を掛ける。


「我らはプルコの森の民、そして彼女こそ我らが森の巫女様である!」

「巫女様を返せ余所者!」


目の前にジリジリと槍先が迫ってくる。

「やめなさいあなた達!」

その時、さっきまで震えていた少女が勢い良く立ち上がり、槍の前で二人を庇うように両手を広げ立ち塞がった。

「この方達は悪しき獣から我を救ってくれた恩人なのです!矛を納めよ!」


森に静寂が落ちる。


民たちは顔を見合わせ、やがて先頭の男が槍を下ろした。

それに続くように他の者たちも武器を収める。

「……御意。」

男たちは深く頭を垂れ、その場に跪いた。


少女が二人の方へ振り返る。

「申し訳ない。民が無礼を働いた。お詫びと言っては何だが馳走を用意させる。後で私の元まで来てくれ。」

そして傍の男に視線をやる。

「アガメこの者らに森を案内してやれ。」

「仰せのままに。」

長は深く頭を下げる。


少女は何かを言いたげに唇を動かしたが、結局何も言わず森の奥へと戻っていった。


「先ほどはすまなかった森を案内する着いてこい」

アガメが槍を杖代わりに、先導するように歩き出した。

「こっちだ。」

二人は顔を見合せると、後を追う。


森を歩くと洞窟内とは思えないほど明るく、広大だった。

樹齢千年はありそうな巨大な木々の枝が天井一面に広がり、その隙間から差し込む光が地面にまだら模様を描いている。

心地よい春を思わせる暖かな風が頬を撫でた。


「あの風はここから来てたのか。それにしても洞窟に森っておかしいだろ…」

ノアが辺りを見渡しながら呟く。


「そうか。我々には当たり前の光景だが。」

アガメはこちらを振り返らずぶっきらぼうに答えた。


「この森はどうやってできたんだ?洞窟に木なんて生えてなかったのに。」


「あぁ。」

アガメは一本の大樹を見上げる。

「これはおよそ1000年前神様が我らが祖先と共にお植えになった木々だ。」


「神様ぁ?なんだそりゃ。」

「アルテミス様だ。」


「かつてこの世界は高度な文明で栄えていたらしい。」


「だが、ある日突然文明は滅びた。」

「滅びゆく世界の中でアルテミス様は生命を守るためこの森をお作りになられた。」


アガメはそう言うと大樹の幹を軽く叩いた。

「我らはその森を守る者たちだ。」

そう語る横顔には誇りが滲んでいた。

アガメは前を向く。


「巫女様がお待ちだ。行くぞ。」

アガメは踵を返し、再び歩き出した。

しばらく歩くと木で作られた豪華な神殿があった。


神殿の中に入ると奥側中央にある御簾の中に巫女が座っていた。

「巫女様この者らを連れてまいりました。」

アガメは跪き頭を垂れる。

「よく来たな。待っておったぞ。存分にくつろいでくれ。」

「アガメよご苦労だった。この者らと話がしたい、他の者らは出て行ってくれ。」


「巫女様それは危険です!こいつらは余所者何をしでかすか分かりませぬ!」

アガメは慌てた様子で止めに入った。


「よい。我が話したいと言っておるのだ控えろ。」

巫女は冷たく言い放った。

アガメがこちらを睨みつけてくる。

「大丈夫だって!なんにもしないよ!」

ルフトが言うとようやく諦めたようにアガメ達は部屋から出て行った。


部屋の外へ出ていく足音が遠ざかる。

ネイアはそれを確認すると、大きく息を吐いた。

「ふぅ……疲れた。」

「よ、ようやく話せます……」

先ほどまでの厳かな声色は跡形もない

ネイアはほっとしたように胸を撫で下ろした。


「その……助けてくれて、ありがとうございました。」

先ほどまで御簾の奥で見せていた厳かな雰囲気はなく、どこか年相応の少女らしい口調だった。


「わ、私、ネイアっていいます。よろしくお願いします。」

おずおずと頭を下げる姿に、ノアとルフトは思わず顔を見合わせる。

さっきまでの巫女然とした姿はどこへ行ったのやら。


「あ、あの……それで、一つお願いがあるんですけど……」


「お願いします、私を助けて。」

ネイアは縋るような目で二人を見る。

二人は顔を見合わせる。


───俺たちが?巫女様を?


第二話 終

読んでいただきありがとうございます。


洞窟探索のはずが、思わぬ場所にたどり着いたノアたち。

次回から新たな出会いと、この場所の謎に迫っていきます。


よろしければブックマークや感想をいただけると励みになります。

毎週日曜日20時投稿を目標にしています!良かったらまた来てください!

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