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最果ての機械技師ノア  作者: 楓まんじゅう
第一章ジェイル編

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第三話 旅立ち

ついに物語が大きく動き出します!


ルフトが知らなかった意外な真実もわかったり...?


ぜひ最後まで呼んでもらえると嬉しいです!


――深夜0時

工房で鳴り響く金属音も商業街から聞こえる笑い声も今は止んでいる。

配管から漏れ出る蒸気だけが静かな路地の中に響く。


「...行くぞ」


「ああ」


二人は軍の拠点へと走り出した。


「止まれ!」


ルフトの手が目の前で動きを静止する。


「なんだ?」


ルフトが建物の角を指さす。

そこには見張りらしきライトがゆっくりと路地を移動しているのが見えた。


「軍の奴らだ」


「こんな夜中に何してんだ?」


二人は身をかがめゆっくりと見張りに近づいていく。


近くに着くと見張りの話し声が聞こえる。

「はぁ...全く、なんでこんな夜中に見張りなんかしなくちゃならんのかねぇ」


「しょうがないだろ隊長の命令なんだから」

見張りは愚痴をこぼしながら反対側の路地へと去っていく。


「今まで見張りなんていなかったのに...」


「これはやっぱり何かありそうだな」


「拠点へ急ごう。」


二人は見張りのいる路地を避け、拠点へと足を速めた。


「ついたな。」


「昼間に見た箱はどれだ?」

ノアがキョロキョロと辺りを見渡す。


「ん?あれじゃないか?」


不自然に布を被せられた箱を見つけた。


しかし置いてある場所が悪い。

「クソ、あれは隊長のテントだな」


「おいおい.....どうするんだよ?」


二人の間に沈黙が流れる。


プシューー


「.....ん?」


ノアの耳に聞こえたのは僅かに蒸気の漏れる音だった。


「あれ使えるかも」


ノアは身を屈めながら、配管の方へ近づいていく。


「ちょ、待てよ」


「ルフトはそこにいて」


ノアは落ちていた鉄くずを拾い強く鉄同士をうち鳴らした。


カンッ!―――ボワッ!


「よし!ついた!」


「おい!なんだあの炎は!」

見張りがノアの付けた炎に気づいて近づいて来る。

その声を聞きつけ、周囲の兵士たちも次々と集まってくる。


「なんの騒ぎだ。」


「た、隊長!配管が破裂し炎が出たようで、消火しなければテントに燃え移る危険性があります!」


「チッ、何もかもオンボロだな...消火作業に入れ!」

騒ぎを聞きつけた隊長が指揮を取り消火作業が始まった。


「よし!今なら行けるぞ!」

二人は隊長のテントに向かって走っていく。


テントの中には地図や書類が無造作に広げられていた。


――その奥。


昼間に見た布のかけられた箱があった。


「開けるぞ...」


――ギギギッ


「な、なんだこれ」


中を覗き込んだルフトの表情が固まる。

そこには大量の軍用アークギアが隙間なく敷き詰められていた。

その中でも、昼間に見た黒鉄のアークギアは異様な存在感を放っていた。

赤く脈打つような光が、暗い箱の中で不気味に揺れている。


ルフトの顔は真っ青に引きつっていた。


「こんなもんどうするつもりなんだよ...」


「ん?なんだこれ?」


ノアが机を漁っていると引き出しの奥に隠すように置いてあった茶封筒を見つけた。


「おい!見せろ!」


「お、おう。」


ルフトはノアから強引に取り上げると中にある書類に目を通す。


「やっぱりか...」


「おい、どうした?」


ルフトは答えない。

ただ書類を握る手が小さく震えていた。


「見たい物は見れた...帰るぞ...」


「ちょっと、まてよ!」

ノアが慌ててルフトに着いていく。


「...ッ、やっぱりノアは先に帰っててくれ」


「...?わかったよ」


不思議そうな顔をしながらも、ノアは先にテントを出ていく。


足音が遠ざかったのを確認すると、ルフトは再び箱に視線を向けた。


「こんなもんあいつらに持たせとく訳には行かないな...」


ルフトは震える手で黒鉄のライフルを掴む。


―――ピカッ


「うおっ?!」


触れた瞬間、黒鉄ライフルのアークコアが激しく赤く脈動した。


「あっちの方が光ったぞ!」


「チッ。気づかれたか!」

ルフトは銃を握りしめ、ノアの待つ家へと急いだ。


家の扉の前に着いたルフトは立ち止まり深くため息を吐いた。


「はぁ...どうやって説明したもんか...」


――ガチャ


「何やってんだよ、帰ってきたならさっさと入れよ。」


「お、おう」


ルフトは躊躇しながらも家の中に入った。


「げっ、お前それ持って帰って来たのかよ...」

ノアはルフトの抱えた黒鉄ライフルを見て顔をしかめる。


「しょうがねぇだろ、あいつらに持たせとくには危険な気がして...」


「まぁいいけどよ」


二人は向かい合うようにソファへ腰を下ろした。


ノアは珍しく真剣な表情を浮かべ、ルフトを見る。


「で、何を見た。」


「...」


ルフトは何も答えず黙ったまま黒鉄ライフルを見る。


「言えないことなのか?」


ルフトが軽く息を吐くと、覚悟を決めたように頷き語り出す。


「ノア。前、俺になんでジェイルに来たか聞いたことあったよな」


「ああ、そんなことあったな」


「俺のいた国、アルカディアは今戦争をしようとしている。」


「俺はそれを止めに来た。」


「戦争...?」


ノアの表情が強ばる。


「それがさっき見た書類と関係あるのか」


「ああ、あれは緻密に練られた戦争の計画書だ。」


ルフトの暗い表情に、ノアもただ事ではないと察したのか、落ち着かない様子で口を開く。


「な、ならなんでジェイル来たんだよ!アルカディアにいた方が戦争を停められるんじゃねぇのか!」


ルフトは確信を持って言った。


「あいつらの狙いは【オリジンハート】異界門にあると噂されてる古代文明の核だ。」


「...オリジンハート?」


「古代文明の時代、あらゆる物はオリジンハートの生み出すエネルギーで動いていたと言われている」


「やつらは、その莫大なエネルギーを利用して戦争を起こそうとしてるんだ。」


ルフトは拳を固く握りしめ体中が震える。


「アルカディアでは俺を中心とする戦争反対派と現国王を中心とする肯定派で真っ二つに分断されてんだよ」


「だから俺は、あいつらより先にオリジンハートを見つける必要がある」


「……待てよ」


ノアは顔をしかめながら立ち上がる。


「まさか、お前……異界門に行くつもりなのか?」


「ああ」


「ふざけんな! そんな場所、下手すりゃ死ぬぞ!」


「だからって放っとけるか!」


「俺は王子だ!民を助ける義務がある!」


「何もせず死なせる訳には行かないんだよ!」


「だからってお前が一人背負うことねぇだろ...」

ノアは涙を浮かべ小さく震えていた。


ルフトは一瞬目を伏せる。


「俺だって怖いさ...」


「でもノア。お前とだったら大丈夫な気がするんだ。」

「だから――俺と一緒に来てくれないか?」


「……え?」


ノアの表情が固まる。


「俺はノエルのそばに居てやらないと...」

ノアは俯いたまま拳を握り締める。


ルフトはまっすぐノアの目を見ながらいった。

「それなんだけど、ノエル助かるかもしれないぞ。」


「ど、どういうことだよ!ちゃんと説明しろ!」


「オリジンハートなら……ノエルを元に戻せるかもしれねぇんだ」


「……!」


「確証は無い。けど、古代文明の文献には死者蘇生に関する記述が残されていたらしい。」


「もしそれが本当ならノエルも助かるかもしれない。」


「.....」


ノアは黙ったまま俯く。


強く握り締めた拳が小さく震えていた。


「.....くよ」


「ん?なんて?」


「だから!俺も行くって!」


ルフトは安心してようやく笑顔が戻った。


「はぁ〜良かった...断られると思ったぜ」


張り詰めた空気が少し柔んだ。


「よし!そうと決まったら今日は明日に備えて寝るか!」


「出発の準備は?!」


「明日でいいだろ」

ルフトはご機嫌そうに、横になった。


「わかったよ。先寝てろ俺はノエルと話してから寝るから。」


ぐがぁぁぁ


「て、もう寝てるし...」


ノアはノエルとしばらく話をした。


「ノエル。俺ここを出ることになったよ...少しの間お別れになっちゃうけど元気にしてろよ。」


「絶対に帰ってくるからな。」


一通り話終わるとノアは大きく伸びをすると、棚からタオルを引っ張り出した。


「テントに行くのにだいぶ汗かいたからなぁ、寝る前に風呂にでもするか。」


バシャン。


フンフフフ〜ン。


「ふ〜スッキリするな〜」


一方その頃。


ルフトは寝返りを打ちながら、うなされるように眉をしかめていた。


「……っ」


赤く脈動する黒鉄銃。

暴走する機械生物。

崩れ落ちる街。


「――ッ!」


ルフトは勢いよく飛び起きた。


「はぁ……はぁ……夢、か……」


夢から覚めて、ルフトは夢に出てきた黒鉄銃を見る。


「妙にリアルな夢だったな...」


「.....。」


「変な汗かいちまったし風呂にでもするか!」


ルフトは棚からタオルを取り出すと風呂場へと行った。


風呂場にはノアの服が落ちていた。

「...またノアのやつ服脱ぎっぱなしでちゃんとカゴに入れとけよなー」


―――ガチャ


フンフフフ〜ン


「え?」


「ん?」


髪を洗っていたノアが、不思議そうに振り返る。


湯気の向こう。

華奢で褐色の綺麗な肌が見える。


ルフトの思考は止まり、水滴の落ちる音だけが静かに響く。


「.............」


「.....何やってんだ?」


ノアは首を傾げる。


数秒の沈黙。


「お、お前――女だったのか!?」


「……は?」


ノアはきょとんとした表情を浮かべた。


「お、お、俺今までお前のことお、男だと」


「……あー」


ノアはようやく状況を理解したように頬をぽりぽり掻く。


「そういや言ってなかったか?」


「言ってない!!!」


ルフトは顔を真っ赤にしながら叫ぶ。


「それにお前自分のこと“俺”て言ってるし!」


「まー工房、男しか居ないからなぁ」


「そんなに気にすることか?」


「気にするわ!」


ルフトは真っ赤になった顔を両手で覆い隠す。


ザァァァー


ノアは気にする様子はなく洗い終わり着替えると、髪を拭きながらルフトに風呂場を譲った。


「お前も入るんだろ?俺先寝るから。」


「おやすみ〜」


「お、おやすみ。」


「さっさと入って寝るか。」


ルフトは無心で風呂を済ませるとベッドに潜り込んだ。


「寝るか...」


「.........」


「.........」


隣からは小さな寝息が聞こえる。


「.........」


「寝れねぇ〜」


―――翌朝。


「ふぁ〜おはよ〜」


「お、おう。」


「.....?」


ノアは首を傾げる。

いつもは軽口の一つでも言うルフトが、妙によそよそしい。


「お前、なんか変じゃ」


――ガヤガヤガヤッ!


突然外が騒がしくなる。

「探せ!まだ遠くには行ってねぇ!必ずどこかにいるはずだ!」


「黒鉄銃を持ってる者がいたら即刻処刑しろ!」


「.....ッ!」


ルフトとノアは顔を見合わせる。


「バレたか...!」


ルフトは飛行型アークギアを背中に装備し黒鉄銃をアークギアに差し込んだ。


二人は勢いよく立ち上がりバレないように工房へと走っていく。


「親方!!頼みがある!!」


「なんだ!うるせぇぞ朝っぱらから!」


「しばらくノエルのこと頼む!」


「はぁ?」


息を切らしながら、ルフトは昨夜の出来事を一気に話した。


リベットはため息を着く。


「はぁ...」

「やっと使えるようになったと思ったら、面倒事に首突っ込みやがって」


「わかった。任せろ。」

リベットは頭をボリボリ掻きながら引き受けた。


「ありがとう!」


ノアは満面の笑みでリベットに抱きついた。


「気をつけて行ってこい。」


リベットも照れながらノアの頭を撫でる。


「ノア急ぐぞ!」


「おう!」


「ルフト!ノアを頼んだぞ!」


ルフトは勢いよく走りながら親指を立てる。


「任せとけ!親方!」


「おっと、いけねぇ。」


「受け取れノア!」

そう聞こえると工房の方から何かが飛んでくる。


「とっ、これ親方のアークレンチ!」


「アークレンチの【赤牙】だ!お前にやるよ!壊すんじゃねぇぞ!」


「大事に使うよ!」


ノアは赤牙を背中へ差し込むと、ルフトと共に駆け出した。


―――数十分後。


二人の目の前には、巨大な洞窟が広がっていた。


ジェイル外へと続く禁足地――【異界門】。


ゴォォォ……


「ついたな。」

「ああ。」


ノアは息を飲む。


その瞬間。


「いたぞ!!」

後方から怒号が響いた。


振り返ると、武装した兵士達がこちらへ駆けてくる。


「黒鉄銃を持ってるぞ!奪還しろ!!」


「チッ、もう来やがった!」


バンッ!バンッ!バンッ!


後方から弾丸の雨が降り注ぐ。


「ノア! 走れ!!」


二人はそのまま異界門の奥へ飛び込んだ。


第一章ジェイル編 完

ここまで読んでいただきありがとうございます!


ノアの真実びっくりしましたか?


ついにノアとルフトが異界門へ向かうことになりました。

ここから物語も大きく動いていく予定です。


少しでも「続きが気になる」と思っていただけたら嬉しいです!


これからも不定期で投稿しますので良かったブックマークお願いします!

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