第八話 鉄屑が生んだ一撃
今回は戦闘回です!
逃げ回るルフトと決して逃がさないスカベンジャー。
ルフトはスカベンジャーに勝てるのか!
運命を握るのはノアの作るお楽しみ!
楽しんで頂けたら幸いです。
「あぶねっ!」
スカベンジャーの鋭い爪が空を裂きルフトを襲う。
ルフトは宙を飛び回りながら叫ぶ。
「おいノア!まだか!もう限界なんだけど!」
カンッ
カンッ
カンッ
しかし、ノアからの返事は返ってこない。
「あいつ完全に集中してやがる…。」
ギャギャアアアアッ!!
ハイエナ型機械生物が地面を蹴り、一気に距離を詰める。
「っ!」
ルフトは飛行型アークギアを噴射させ、間一髪で横へ飛び退いた。
轟音とともに青白い蒸気が吹き出し、機械生物の爪が岩肌を深く抉った。
「何回避けさせる気だよ……!」
息は上がり、燃料も限界に近い。
もう何度目かも分からない回避。
機械生物が再び身を低くし、獲物に飛びかかろうとした、その時。
「できた!」
「受け取れ、ルフト!」
ノアの手から何かが勢いよく放り投げられた。
「あ。」
しかし、それはルフトとはまったく違う方向へ飛んでいく。
「ちょっ、おまっ、どこ投げてんだよ!!」
ルフトはスカベンジャーから逃げながら、飛んでいくそれを追う。
「これで最後だ……!」
ルフトは、飛んでいく何かの元へ向かって最後の燃料を使い全力で飛行型アークギアを出力させた。
プシュ…シュ…ュュュ
「クソッ!ここで燃料切れかよ!」
推力を失ったルフトの体が落下を始める。
背後では、スカベンジャーが大きく口を開き、一直線に迫ってきていた。
「間に合えぇぇぇ!!」
指先が届くか届かないか、その瞬間。
パシッ‼︎
ルフトは決死の思いで飛んできた武器を掴み取る。
「取った!」
その瞬間飛行型アークギアの出力が完全に途絶えた。
空中を自由落下で落ちていく。
あ、終わった…ドォンッ!!
ルフトは受け身を取りながら地面へ叩きつけられ、その勢いのまま何度も転がった。
「いってぇ……。」
「おかえり!無事だったか!」
「なんとかな…。」
立ち上がろうとしたルフトは、手に握ったものへ視線を落とす。
……そこにあったのは、一本のツルハシだった。
「なんでツルハシだよ!!」
「どうだ!強そうだろ!」
「こんなんじゃ戦えねぇよ!」
「大丈夫だって!いいから振り抜いて、“インパクト”って叫べ!!」
「ちゃんと説明しろよ!!」
「いいけど…そんな暇あんのか?」
「は?」
ルフトが飛んできた方へ視線を向ける。
そこには腰を低く構え、今にも飛びかかろうとするスカベンジャーの姿があった。
「おいおい、勘弁してくれよ……。」
軋む体を無理やり動かし、ツルハシを構えた、その瞬間。
ギャアアアアッ!!
スカベンジャーが地面を蹴り、牙を剥き出しにして一直線に突っ込んでくる。
ギャゥ!!
ルフトは大きく振りかぶったツルハシを、スカベンジャーの胴体へと叩き込む。
ガキィン!!
硬い装甲を貫くことができず、ツルハシの先端が食い込んだところで止まる。
それでもスカベンジャーの勢いは衰えない。
大きく開かれた口から鋭い牙がギラリと光る。
クソ……装甲が硬すぎる! このままじゃ押し切られる!!
「今だ!叫べ!!」
ノアの叫びが洞窟に響く。
その声に応えるように、ルフトは腹の底から雄叫びを上げた。
「うおぉぉぉ!! インパクトォォォ!!」
叫んだ、その瞬間。
ドゴォォォン!!
凄まじい衝撃と轟音が洞窟中に響き渡る。
スカベンジャーの巨体はまるで紙切れのように吹き飛び、そのまま岩壁へと叩きつけられた。
岩壁には蜘蛛の巣状の亀裂が走り、スカベンジャーは胴体をめり込ませたまま動きを止める。
「え…?なんだよ…この威力?」
「へへッすげぇだろ!」
「すごいって言うかおかしいだろ!」
ルフトは壁のスカベンジャーを指差す。
「なんなんだよあれ!あいつ壁にめり込んでるぞ!」
「ほらここにくる前に言っただろ? 『いいこと思いついた』って。」
「あーなんか言ってたな。」
「…て、あんな廃材の中からこんなもん作ったのかよ!」
「やっぱり洞窟探検するならツルハシがないとな!」
パキン。
「ん?なんの音だ?」
音の方を見ると、ツルハシの先端にヒビが入りボロボロと崩れていった。
「あ!!壊れた!!すまんノア!」
ルフトは慌てながら武器とノアを交互に見て必死に謝った。
「あちゃ〜やっぱり壊れちまったか。」
「え?分かってたのか?」
「まぁ、廃材で作ったからな、こんなもんだろ。」
「威力は良かったんだけどなぁ…やっぱり素材が悪かったのか。いやもっと先端の方を補強すれば…。」
ノアはぶつぶつと独り言を漏らし始める。
「おーい、ノアさーん。聞こえてますかー。」
「もう次のこと考えてる…。」
「おい!ノア!」
「わっ!びっくりした!」
「何回も呼んだんだぞ。ほら早く行かないと次何が出てくるか分かったもんじゃない。」
「さっさと行こうぜ。」
「すまんすまん。いいのができそうだったからつい。」
「まぁおかげで助かったからいいけどよ。」
二人が歩き出そうとした、その時。
ガラッ……。
壁にめり込んでいたスカベンジャーの体が、わずかに動く。
「……まだ動けるのか。」
スカベンジャーは軋む音を立てながら体を起こすが、先ほどの一撃で装甲はひび割れ、あちこちから火花を散らしている。
動きは…鈍い…。
「悪いな。」
ルフトは足元に転がっていたツルハシの柄を握り直す。
「今度は終わらせる。」
スカベンジャーが飛びかかるより早く、ルフトは駆け出した。
ガキィン!!
残った刃をスカベンジャーの胸部のコアへ突き立てる。
「これで……終わりだ!!」
ギギ……ギ…。
スカベンジャーの瞳から赤い光がゆっくりと消え、全身から力が抜けるように崩れ落ちた。
「今度こそ終わったみたいだな。」
「お疲れさん。」
ノアは腰を下ろすと、スカベンジャーの残骸を手際よく分解し始めた。
「おい、何してる?」
「素材回収。」
「こんなボロボロでも使えるのか?」
「壊れたからこそ使える部品もある。特に動力機関と装甲は貴重だからな。」
「さすが機械技師だな……。」
「それに…。ただ死んだだけじゃ可哀想だろ。」
「そうだな。」
そう言うとルフトはスカベンジャーの亡骸の前で手を合わせる。
「なんだそれ?」
「ああ、俺の国でする供養とか感謝の祈りみたいなもんだよ。」
「そっか。」
パン。
ノアはルフトにならい、ゆっくりと目を閉じると手を合わせた。
しばらくの間洞窟内には静寂が流れた。
「よしっ。」
ノアは一言呟くと目を開け必要な部品だけを袋へ詰め込み、立ち上がって前を向く。
「よし、行くか。」
「また何か出てきても、今度はもっと早く武器作れよ。」
「素材があればな。」
二人は薄暗い洞窟のさらに奥へと歩き出す。
足元には、命の灯火が消えたスカベンジャーの残骸だけが静かに横たわっていた。
その命は終わっても、その欠片はまた誰かを守る力となる。
ノアはそう信じながら、薄暗い洞窟のさらに奥へと歩みを進めた。
第八話 終
いかがでしたか?
ルフトの初戦闘印象的なものにしたいと思い色々悩みながらも何とか自分で満足できるものが書けました!
戦闘だけで終わらせるのではなく、「壊れたものにも価値がある」というノアらしい考え方や、倒した機械にも祈りを捧げる二人の姿を書きたいと思って書きました。
ここから洞窟探索はさらに深部へ。
この先ではどんな機械生物や遺物が待ち受けているのか、ぜひ楽しみにしていただけると嬉しいです!
面白いと思っていただけたら、ブックマークや評価、感想をいただけると今後の励みになります。
それでは、また次回お会いしましょう!




