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2_この星は、我々が共存するには狭すぎる[関係値-100]

小一時間で上陸に成功した。まあ、時計がある訳でもないので、体感時間だけど。メア達は慌ただしく船を降り、俺を浜辺に残して森に入って行った。


「俺も、また、ぶらぶら探索にでも行こうかな?」


暫く浜辺を歩いていると、メアが森から突然飛び出してきて、心臓が止まるかと思った。


「コイ」


大人しく着いていくと、鉄とトイレの匂いが混ざった様な異臭が漂ってきた。


案内された場所には死体があった。幸い人間のものでは無く、体長1.5m程の灰色ベースに、緑と黒の斑点模様の外皮を持つ、人型の生き物だった。ギザギザの鋭い牙から、この生き物が肉食動物であると思われる。


「メア、お前が殺したのか?」


「ソウダ、ハンゲキシタ」


「襲われたのか・・・。メアは大丈夫か?」


「ムキズダ、ツイテコイ」


メア達と船の方に向かった。


「ココハ、キケン、タイショ、ヒツヨウ」


「どうすれば良い?」


「ケイヤク」


「契約?それはなんの?」


「ケイヤク、ゾクセイ、テニハイル」


「属性?」


「オマエ、ゾクセイ、キンゾク」


聞いたところ、メアは闇の属性を持っているが、今回出会った生き物に効率良く対処するには、俺の金属の属性というものがいるらしい。いや属性ってなんだよ?


いや、契約がどういったものか解らないが、命の危険を前にあれこれ迷っている暇は無いだろう。俺はメアに言われるがまま、契約することにした。契約という響きから、何かサインしたり、判子を押すイメージが沸いたが、手を合わせるだけで良いようだ。


俺とメアが触れ合った所から、瞬い紫色の光が発生し、契約が終わったみたいだ。


「マッテロ」


そういうとメア達は森の中に消えて行った。


契約か、、、。手を合わせただけで、こんな発光が起きるなんて、ここはファンタジーな世界だったんだな。あの人型の死体も、ファンタジー世界でよく見る、ゴブリン的な生き物なのだろうか?


それにしても、我々が突然島に侵入したというのに、襲ってきたからと言う理由で、元々いたゴブリン達を排除しようとしている。これじゃ、大航海時代のコンキスタドールの虐殺と、やってることは変わらないな。まー、ゴブリンは人間では無いから、裁かれるとしても器物損壊罪か。


暫く座って待っていると、メアとそれは現れた。


「え〜と、それもメアなのか?」


それはなんと説明すれば良いか?全身が黒色の金属で、体の所が骸骨で、頭だけ西洋兜みたいのが乗っかているみたいな見た目だった。


「セントウヨウ、メア」


戦闘用メアは、盾と剣で武装されていて、それが3体いた。メアが言うには、これを作るのに俺の金属の属性が必要だったらしい。


「ゴブリン、カラダ、マセキ、アル」


ゴブリンの心臓の近くに魔石があり、それを取って戦闘用メアを作った様だ。


「タタカウ、マッテロ」


そういうとメア達はまた森に消えて行った。


一人になると急に不安になってくるな。一体どの位のゴブリンがこの島にいるのかわからないが、もしメア達が負ければ、俺はどうやって生き延びれば良いというのだ・・・。


日が暮れる頃にメア達が帰ってきた。今までの見た目のマスコット風メアが24体、戦闘用のメアが10体になっていた。


メアの数が増えているという事は、ゴブリンとの戦いは、取り敢えず順調みたいだ。なんだか、大丈夫そうな気がしてきた。


「ゴブリン、ムラ、ヒトツ、ヤイタ」


さらっと、メアにとてつもなく恐ろしい告白をされ、少し恐くなったが同時に頼もしくもあった。やっぱり、あの生物はゴブリンって名前なのか。ゴブリン達には悪いが、俺たちの生存のために、犠牲になってもらおう。誰かに知られれば、心が無いと批判されそうだけど・・・、誰しも自分の身が1番可愛いのはしょうがないよな?


メア達は、簡易的なベットと食事を作ってくれて、それで夜を明かした。


「起きろルーシア」


俺は驚愕して飛び起きた。人間の女の声がしたからだ。誰かが助けに来てくれたかもしれない。周囲を見渡すと、ショートの銀髪で、顔は中性的な見た目だが、可愛い服装の少女が、サファイア色の瞳で俺を見下ろしていた。


「え〜と、どなたですか?」


「私だ、メアだ」


「えっ?でも見た目が・・・」


「お前とのコミュニケーションの必要性が増したので優先して作った」


そうか・・・戦闘とかで切羽詰まっている時に、今までの様なカタコトの喋り方だと、情報の伝達に齟齬が起きるかもしれないよな。


メアは、俺がコミュニケーション用のメアを作った理由を、考えていると気づいたか話しかけてきた。


「作った理由は、主にお前のメンタルケア用だ」


「え!?」


「お前は同族の見た目の者が周囲にいないと、不安を覚えるようだからな」


「あー、なるほど・・・、確かにそうかもしれない。ありがとうメア」


どこか俺が、メアに心を開いていないのが、メアに悟られたのか?それとも俺の顔にあからさまに、不安が出ていたのだろうか・・・。どちらにせよ、メアが俺に気遣ってくれていることに、感謝しなければいけないな。


「コミュニケーション用の私はここに残るが、作業用と、戦闘用の私はそれぞれ仕事に行く。私はそちらに意識を集中したいから、そこに座って目を閉じているが、何かあったら話しかけても良いぞ」


メアは切り株の上に座り目を閉じた。俺はする事も無いので、メアを眺めながらベットに座って待つことにした。所で、凄い整った容姿だけど、メアには性別の概念はあるのかな?ここにいるコミュニケーション用のメアは中性的な顔だけど服装は女ものになっているが、、、。


今は、目を瞑っていて見えないが、さっき見たあのサファイア色の瞳は、不気味とは言わないが・・・、何か吸い込まれそうな感じがする。


それから一週間、俺はやる事がなかった。毎日、コミュニケーション用のメアから、軽くゴブリンとの戦いの報告を受けた後は、ベットの周りの広場をウロウロするだけだったからだ。


戦況についてだが、こちらの戦闘用メアは、身体が金属製で、一方、敵のゴブリンは、鋭い爪や牙による格闘か、持っていてもナイフや粗末な槍しか武器を持っていなかったので、金属製の戦闘用メアにはゴブリンは歯が立たず優勢だそうだ。


毎日倒すゴブリンの数が増えているのは、ゴブリンを倒すと魔石が手に入り、それで戦闘用メアを作って、またゴブリンを倒して魔石を手に入れるを永遠繰り返しているからだ。


その日、いつもの様にウロウロしていると、メアが瞑っていた目を開き、こちらを見て言った。


「ルーシア、ゴブリンの駆除が完了した。この島に敵はもういない」


この陸地は島だったのか、駆除が完了したのは嬉しい知らせだ。


「何体のゴブリンがこの島にいたんだ?」


「1063体だ。おかげで相当の魔石が手に入ったぞ」


「そうか・・・。メア、もう島の探索をしてもいいか?」


「いいぞ、私もついていく」


ゴブリンとの戦いが終わり、余裕が出来たのかメアが俺の探索についてきた。こんな綺麗な見た目の女の子と、一緒に歩くと緊張するな。・・・いや、女か知らんけど。


何か良いものでも見つかればいいな~。今、欲しいものはなんだろうか?スマホがあっても電波がないだろうし、たいていの物はメアが用意してくれるだろう。そんなことを考えながら浜辺を歩く。

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