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15_とある商人との出会いと吸血鬼の恐怖

なるほど、レバン平原で強大なアンデットが生まれそうなんだな。


商会の紹介状で、俺たちは酒屋のマスターから奥のテーブル席に案内された。そこで食事を食べながら、メアに傭兵達の話を盗み聞きしてもらった。


本当、一家に一台メアが必要だと思える程、メアは万能だ。


「ルーシア、あの集団のリーダーが外に出るぞ」


「目立たないように、尾行出来るか?」


「わかった」


メアはコミュニケーション用のメアを作って、彼を尾行させるようだ。食事だけであまり酒屋に長居しても、怪しまれそうだし、外に出る事にする。


「次は、さっきの馬車で一人旅していた奴の所に行こうか」


「あの男は危険だ」


「男?まあ、危険なら、こっちから接触しよう」


遠目だったから、性別はわからなかったが、男だったのか。メアは聴力だけじゃなく視力も良いようだ。


「危険を冒す、意味がわからない」


メアは文句を言いながら着いてきてくれた。幸いさっき対応してくれた役人がまだいて、すぐに城門の外に出られた。


「・・・こんにちは」


「こんにちは。どうかしましたか?せっかく入城したのに戻ってくるなんて」


「少しお話ししたいことがありまして」


「僕に?なんでしょう?」


「実は、南に向かう馬車を探しているのですが」


「私が南に向かうと・・・、誰かから聞いたんですか?」


「南に向かわれるんですか?」


「・・・・・ええ」


「いえ、北門から入るので、南に向かう人もいるかなと、探していただけで偶然ですよ」


「では、なぜ、まっすぐ私に声をかけたのですか?他にも馬車持ちの商人はいるでしょう」


「お一人で馬車持ちの人を探していました。貴方に声をかけたのは、その条件で城門から1番近かったのが、貴方だったからです。貴方が南に行かわないなら、次の方に声をかけていました」


「なるほど、ではご用件を伺いましょう」


「私は、レバン平原に強力なアンデットが生まれないかと懸念しています」


「王国は戦場跡の供養をしなかったと聞いています。確かにその恐れはありますね」


「包み隠さず言うと、私は、そのアンデットを討伐ないし無力化、それが難しい場合は南に追い払いたいと考えています」


「あなた達にはそれが可能なのですか?」


「可能かどうか、判断するにも、まず、レバン平原に向かい。平原にどんなアンデットが生まれるか確認したいのです。討伐可能かは、その後に判断します。相手が吸血鬼なのか、それともリッチの上位種なのか、相手によって準備が180度変わってしまうので」


「それは・・・そうですね。で、あなた方を南に送るとして、見返りは?」


「ご存知の通り、私達は他の方より先に街に入れるコネがあります。貴方も何時間も外で待ちたく無いでしょう?」


「それはそうですが、それだけですか?」


「街は避難民で溢れかえっていて、宿はどこも満室です。馬を停める場所はおろか、貴方が今日眠れる宿もありません」


「街はそんな状態なのですね・・・、それは困りました」


「なので、宿と馬車を停める場所も提供します」


「なるほど・・・・。それは良いですね」


商人は思案顔になった。後、一押しか?


「それで、最大の報酬ですが・・・」


「?」


「強大なアンデットによって、王国が滅びるのを防ぎ、多くの無垢の民を救えるということです」


一瞬、ぽかーんとした顔になった後、商人は笑い出した。


「アハハハハ、確かに、それは最高の報酬ですね。わかりました協力しましょう、私はクリスです」


「ルーシアと申します」


握手を交わすと、俺は先に役人に話をしに行った。


「すいません、良いですか?」


「これはルーシア様、どうされましたか?」


「実は、この街で合流する予定の商人が、列に並んでいるのですが、彼を先に入街させれないでしょうか?彼がいないので仕事が滞ってしまっていて、このままだと、やんごとなき方々を困らせてしまいそうなんです」


「わっ、わかりました、どこにいらっしゃいますか?」


「あの、一人で御者台に乗っている。オレンジの幌の2頭引きの馬車の方です」


「あの、男性の方ですか?」


「ん?ああ、はい!その人です」


役人は慌てて馬車に向かった。案内をしてくれるのだろう。それにしても、メーメルはどんな紹介状を用意したんだ?こんなに役人の対応が良いなんて、嬉しいを通り越して少し怖くなってくる。


「ルーシア、尾行していた傭兵の男が、この街の貴族と会っていたぞ」


メアが二人になったからか報告してくれた。なるほど、吸血鬼の可能性が高いのか、吸血鬼が出れば疑いなく王国が滅びるって事は、今のメアの力よりも吸血鬼の力の方が上なのかもしれない。


「メア、吸血鬼に勝てるか?」


「普通のなら、真祖は無理」


「真祖?軽騎兵を呼び戻してもか?」


「勝てない。真祖は吸血鬼の弱点の殆どを克服していて弱点が無い」


なるほどね。メアがこうもハッキリ言うという事は本当に勝ち目が無いのだろう。どうしたものかな?クリスと合流して無事に街に入れたので、そのまま、商会に向かった。


商会に着くと、すぐに商会長が出てきた。


「ルーシアさん、それと行商人のクリスさんじゃ無いですか」


支店長はクリスの事を知っていたみたいだ。


「ゴードン支店長、いつもお世話になっています」


「また、馬具を売りに来てくれたのですか?」


「いえ、実は宿に困っていたのですが、ルーシアさんから泊まれる場所があると、ご紹介頂いて」


「なるほど、では、ルーシアさんと同室で良いですな?ベットをもう一つ用意させます」


俺とクリスが同室か・・・。支店長にはメアと恋仲では無いと、説明していたし自然とそうなるか、・・・断るのも変か。まあ、メアとクリスが同室だと、万が一メアからボロが出たら嫌だしちょうど良いかな?


「では、宿に案内しますね」


「ゴードンさん、少し話したいことがあるので、メアとクリスさんを先に案内して頂けますか?」


商会員の案内で二人が先に宿に向かった。


「それで話とは」


「昼間話した騎士団についてが、情報を調べて欲しいんです。どんな組織で、どんな活動をしていて、どんな人が所属しているか最近のニュースなど」


「承知しました。商会の調査力は北方一です。すぐに調べさせましょう。メーメルから支援を惜しまないように言われています。どうぞご期待ください」


「ありがとうございます。後、アンデットに詳しい傭兵がいたら、ご紹介頂きたいのですが」


「であれば、ベレトが詳しいはずです。彼は商会に来るまでは、アンデットに強い傭兵団に所属していたはずです。彼を呼びますね」


「お願いします」


ベレトは商会の近くにいたみたいで、すぐに来た。


「お忙しい所すいません。支店長にアンデットとの戦闘にベレトさんが詳しいと聞いて」


「詳しいかは・・・、ただ何十年もアンデットと戦ってきやした」


「では、吸血鬼とも戦ったことはありますか?」


「何度かは、騎士団やSランク冒険者のサポートとしてですが・・・」


「冒険者?」


「モンスター専門の傭兵みたいな連中です」


「なるほど、戦って見てどうでした」


「連中は、、、」


ベレトの話だと、吸血鬼は相当厄介なモンスターの様だった。それで真祖が出たらどうなるか聞いてみたが、長い歴史の中で、そんな事は一度しか起きていないし、その時は神の御使いが、大海を超えて、助けに来て倒してくれたと伝えられているようだ。もし、今の時代に真祖が出てしまったら、対抗する手段はないそうで神に祈るしかないそうだ。


「こんなこと戦士として言いたくないが、もし真祖を目の前にしたら恐怖で固まって、何もできねぇと思います」


メアも勝てないって言ってたし、最悪の場合はどうしたものか。4万の生贄が捧げられたのだ、真祖じゃなくても生半可なアンデットではないだろう。


ベレトとの話を終えた後、俺は、自分用の部屋に移動した。部屋には既にベッドが二つ用意されていて、クリスさんが廊下側のベットに腰掛けて荷物の整理をしていた。俺は窓側のベットに飛び込み目を瞑った、今日は色々あって疲れたな〜。

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