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アメ降るホシの黎い空  作者: ペーはぁど
21/22

一人目 華金とは名ばかりの

久しぶりの投稿ですね

区切りのところまでは続けますのでよろしくお願いします

目が覚めるとフローリングの床に全身を投げ出していた。

 明かりは灯っておらず、真っ暗な部屋。薄っすらと見える範囲を見渡すとどこか見覚えがあった。



(……ああ、家か)



 どうやら自分が借りている部屋で間違いなさそうだ。

 単身者用のアパートは一人暮らし前提とはいえ、お世辞にも広いとは言えない。おかげと言っていいのかわからないが、間取りをなんとなく把握できた。


 なぜ倒れているのかはわからないが、多分疲れに負けて力尽きたのだろうと倦怠感から推察する。


 足元方向には扉があるが日の光は差し込んでいない。どうやら夜のようだ。

 体を起こそうにも、右腕を下にしていたせいかしびれて痛い。倒れていた時間は短くないらしい。


 ひとまず体をひねって腕を逃がすと、ひやりとしたフローリングに触れる。時期もあって思ったよりずっと冷たかった。



(今、何時だろ……)



 スマホを探したいが、カバンは壁際にひっくり返っている。体を起こせばいい話だが、ひどい倦怠感でそんな気力が湧いてこなかった。

 少し寝ていたくらいでは体力は戻らないらしい。フローリングで寝ていたせいかもしれないが。



(……何してたんだっけ?)



 昨日はたしか金曜日だったはず。電車を降りて帰り道を歩いていたのは覚えている。家の扉の前まで来て、それからどうしたんだっただろうか。

 頭が回らない。思い出そうとしてみても頭痛がするだけだった。



(痛って……薬あったっけ……?)



 常備薬はあったと思う。だがそれも部屋の中。動きたくない今は我慢するしかなかった。


 うとうとすることしばらく。頭痛はひどくなったりおさまったりを繰り返している。頭の違和感が消えない。

 多少マシになった頃合いを見計らってカバンに手を伸ばした。ゴソゴソと漁るとスマホはすぐに見つかった。



(三時すぎか……)



 薄っすらと光った画面が眩しくて思わず顔をしかめた。

 大きく表示されたデジタル時計には三時二分。真夜中だった。


 換気扇すら回っていない部屋の中は耳が痛いほど静かだ。

 アパートの壁はどちらかといえば薄いほうだが、聞こえるのは自分の息遣いだけ。

 眠ってしまえば楽だろうが、今も存在を訴え続けてくる頭痛のせいですぐには難しそうだった。



(仕方ないか……)



 ようやく少し動けるだけの気力が戻った。四つん這いになりながらキッチンを通り過ぎ、部屋の隅に置かれたベッドによじ登る。


 床で寝ていたせいだろう。体の節々が痛みを訴えている。ベッドのおかげで少しはマシだが、冷え切った掛け布団が体温を奪っていった。



(痛って……)



 急に動き出したせいで頭痛がひどくなった。胸で心臓がドクドクと脈を打つのがわかる。こめかみはもちろん、眼球の奥の方でも痛みがズキズキとうずいていた。


 痛みがひどくなったせいだろう。ぼんやりとまとわりついてきていた眠気はあっさりと吹き飛んでしまっていた。



「ぅぁ"っ……」



 少しは落ち着いてきたはずの痛みが更にひどくなってきた。あまりの痛みにうめき声が漏れる。


 痛み止めを探したいがすでにそれどころではない。身じろぎ一つするだけで頭の深いところを暴れまわる。



(き、救、急車は……っ)



 今までの人生で感じたことのない激痛に、声を出すこともできない。これでは救急車を呼ぼうにもいたずら電話かと思われてしまうだろう。


 今できることは黙って落ち着くのを待つことだけ。じっと耐え忍ぶしかない。


 だが痛みに容赦などない。頭の奥の方では鐘を打ち鳴らすように激しさを増していく。



(……ヤ、バい……)



 脂汗がふきだし、額を伝って目に入る。また余計な痛みが生じた。

 喉にこみ上げてくるものがあった。それがどうにか出てこないように腹に力を込める。



「……ゔぇっ」



 胃がひっくり返りそうなほどひどい吐き気だ。痛みのせいなのかはわからない。ただ、多分そうなのだろうという根拠のない自信があった。



「……ハッハッ……ハッ……ゔぁっ……」



 意識が朦朧とする。

 いっそのこと気絶してしまえればいいのにと思う。そうすれば頭痛も吐き気も一旦考えなくて良くなるのに。



(寝、られる……か……?)



 それは一種の逃避なのかもしれない。それでもこの状況からは変わってくれるはずだった。


 覚悟を決めて痛みに耐えるために握っていた拳を開いた。

 どうしても頭痛に耐えかねて歯を食いしばってしまうが、それでも先程よりも眠気を感じた。


 意識が少しずつ沈み始める。顎の力がゆっくりと抜けていく。痛みが段々と遠くなっていく。



(これなら……眠れ、そうだ……)



 本当に眠るだけなのだろうか。


 嫌な予感がしながらも痛みが過ぎ去ることを信じて意識を手放す。



「…―思―出した……ら?」



 その瞬間、何かを聞いた気がした。



お読みいただきありがとうございます。

ほそぼそと続けていきますのでお待ちいただけますと幸いです。

もしよろしければ高評価等いただけますと嬉しく思います。

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