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ラスボス戦

「こいつが魔王竜か…」

「でかいな」

「なんか黒いオーラがすごいですわね」

「強そうだね…」


夜が明けて、女神の力によって導かれ、私たちはついに魔王竜と対面した。

皆が言っていた通り、見た目は大きくて黒いオーラを纏った強そうなドラゴンだ。

身体はボロボロに腐れ落ちているようにも見えるが、それがまたいっそう禍々しさを演出していた。

そしてその身体の中心には巨大な光の剣が突き刺さり、魔王竜を地面につなぎとめていた。


「準備はいいですか?これより封印を解きます。それと同時にアレは暴れだすはずなので後は任せます。」

「待ってくれ女神様!封印ってあのでかい剣の事か?あれをそのままにして一方的にやるわけにはいかんのか?」


「あぁ…あれは封印ではありません。見にくいかもしれないですけど、あれの周りにうっすらと閉じ込めるための結界を張っているのです。それを今から解きます。あの剣は前にお話ししたアレの力を削ぐための一つだと思ってください…それでは行きますよ」


女神が手をかざす。

すると魔王竜の周りの空間にひびが入っていき…そして砕けた。


ぱちりと目を開けた魔王竜と目が合ったような気がした。

瞬間、身体の底から恐怖が湧いてきそうなおどろおどろしい雄たけびが上がり、その巨体が持ち上がる。


光の剣がその身体を貫いているため、その場からは動けないようだが、ものすごいプレッシャーを感じる。


「みんな、ここが正念場だ。自分たちで世界を救おう」


最初に踏み出したのはカルラだった。

二本の剣を手に、力強く足を進めていく。

それに私も続く。


「かっこよくなったね、カルラ」

「あはは、自分じゃよくわからないですけど、そう言ってもらえて嬉しいです」


本当にかっこよくなった。最初会った時はすごく内気だったのに…そこにいるのは間違いなく私に夢と希望をくれた勇者そのものだった。


「おいおい、お前さん達だけで格好つけるなよ。俺だってまだまだやれるんだぞ?」

「格好なんてどうでもいいけど、俺が真に魔法の天才だってあいつを吹っ飛ばして証明してやるぜ」

「ふふん!あなた達は引っ込んでなさい。今日の主役は高貴なるこの私ですわ!」


皆が歩幅を合わせ、武器を手に魔王竜に一歩も引くことなく進んでいく。

ゲームで見た最終決戦の構図そのものだ。

この場に私がいる事だけがおかしいけどね。


「この子の事は任せてください。頼みましたよ勇者たち…どうか世界を守ってください」


女神がアルマを連れて離れていく。

物語の結末までもう少し。

でもここを超えない事には何も始まらない。ここは終わりじゃなくて始まりなのだから。


「みんな行くぞ!」

「「「「おっしゃあ!!!!」」」」


カルラの掛け声とともにみんなで突撃する。


魔王竜の紅い瞳が妖しく光り、口から真っ黒なブレスを吐いた。

そんな状況で真っ先に前に出て私たちを守ってくれるのはいつだってクロガネさんだ。


「うおおおおおお!俺の仲間には傷一つつけさせんぞ!」


クロガネさんがその手に持った聖剣を掲げる。


「目覚めろ第四の聖剣!フォース・カタラクト!」


第四の聖剣、その能力は純粋な能力強化。持ち主の身体能力を引き上げ技能までも上げる。

聖剣の放つ輝きがクロガネさんの身体を包み込む。

そして聖剣を盾に一人でブレスを受け止めた。


「ぐぉおおおおおおお!どうした魔王竜!大層な見た目の割にこの程度かぁ!」


聖剣を一閃、クロガネさんが完全にブレスを吹き飛ばした。

しかし魔王竜の行動も早かった。ブレスが消されと分かるや否や、その穴だらけの翼を広げた。

すると地面が魔王竜を中心にどす黒く変色していく。そして変色した場所からありとあらゆる命が奪われていった。草木は枯れ、地面は渇き、空気は黒く淀んでいく。


「ふん!私はそういうばっちぃのは嫌いなんですのよ!」


ナリアが聖剣を地面に突き刺した。


「さぁ目覚めなさい!第二の聖剣!セカンズ・ラフェル!」


聖剣の能力とナリアの力で汚れた土地が浄化されていく。

しかしやはりさすがはラスボス、そう簡単には浄化しきれず、世界に境目を作り魔王竜の瘴気とナリアの浄化は拮抗して鍔迫り合いを続けているような状態になっていた。


「舐めるんじゃないですよ!私はいずれ我が王国の女王になる女なんですのよ!トカゲなんかに負けてしまっては、私の国民たちに示しがつかないでしょう!!!!」


ナリアの輝きがいっそうと増し、魔王竜の浸食を完全に押しのけた。

清浄な土地はやはり苦しいのか魔王竜が苦悶の叫びをあげる。


「たたみかけろ!目覚めろ第三の聖剣!サーズ・エクリプス!」


レーヴェが聖剣の力を解放する。


「はっ!しっけてんじゃねえ!ここが最後だぜ?もっともっと、俺のもとに集え!世界の元素よ!」


様々な色の粒子がレーヴェの周囲を漂い集っていく。


「地、水、火、風、光に…へぇ闇もか…面白れぇ!魔力に還れ!暗き闇よ!初めて使う魔法!ぶっつけ本番でも天才の俺ならできる!闇属性魔法、ダークパニッシャー!」


魔王竜の巨体を凌駕するほどの大きな闇の玉が魔王竜にぶつかり、飲み込んだ。

ここであえて魔王竜に効果の薄そうな闇をぶつけるあたりに、レーヴェの負けず嫌いさが実に出ている。

当初は何事もないかのようにしていた魔王竜だが、徐々にその身体が押しつぶされていく。

レーヴェが魔王竜の耐性を上回りだしたのだ。


「そんなもんかよ!ならそのぼろっちい羽は貰ってくぜ!」


ぶちぃと音を立てて魔王竜の翼がもがれた。

その痛みからか、もしくは怒りからか魔王竜が魔法を振り払い、自らに突き刺さった光の剣を無視して立ち上がろうとした。


しかしどこからともなく現れた数本の光の剣が魔王竜の四肢に突き刺さりその動きを阻害する。

後ろを見るとアルマと一緒にいる女神が魔王竜に向かって手をかざしていた。


そして次は私の番。時間は十分稼げた。

馬鹿の一つ覚えだけど、私にはこれしかない。


「ライトニングセイバー!!!」


雷の剣が天を突く。

狙うは真正面!つまりは顔面のそのど真ん中!困ったら顔面!


魔王竜は向かい合う私に向けてその大きな口を開く。

何も恐れることは無い。だってここには勇者様がいるのだから。


「エンチャントグランド!!」


空高くから一本の大剣へと形を変えた魔法剣を持ったカルラが墜ちてきた。

そして魔王竜の頭を正確に捉え、地面に大きな亀裂が入るほどの威力の斬撃が綺麗に入った。


そしてカルラは私を見て頷くとその場から飛びのく。


お膳立ては十分。ならば振り下ろしましょう、正義の雷。


「切り裂けぇえええええええええ!!!」


雷の剣が魔王竜を切り裂き、爆発を起こす。


「やったか!?」


あ~あ…クロガネさんが言っちゃいけないこと言いました。

これはまずいですね~絶対にまずい。


瞬間、ものすごい勢いで爆炎の中から身体のいたるところが欠損した魔王竜が姿を現した。

そして私はその勢いに踏ん張り切れず吹き飛ばされる。


ん~締まらないなぁ…まぁでもいいか。私は主役じゃないんだから。


「カルラ!」


この物語の主役、その名前を呼びながら私は聖剣を空に放り投げた。


「確かに受け取りました」


迫りくる魔王竜を前に私の聖剣…いや本来持つべき者のもとに戻った聖剣を構えたカルラが立ちはだかる。


「俺たちの分も受け取れ!」

「癪ですがとどめは譲って差し上げますわ!」

「魔力に還れ!すべての元素よ!しくじったら許さねぇぞカルラ!」


三人がそれぞれ聖剣を地面に突き刺し、その力がカルラに集結していく。

そして。


「目覚めろ!第一の聖剣リ・スティード!」


カルラの持つ聖剣がそれまでとは比べ物にならないほどの輝きを放つ。

それはまさに世界を照らす輝きだった。


その輝きは黒き魔王竜を完全に飲み込んだ。


光が収まった後、そこには何も残ってなかった。


ついに魔王竜を倒したのだ。


「ははっ…やった!やったぞ!よくやったな!」

「おっしゃあ!!!」

「やりましたわ!」


皆でカルラを囲んで喜びを分かち合っている。

そんな光景を私は倒れたふりをしながらなんとなく見つめていた。

女神もわかっているのだろう。そんな輪には加わらず注意深く、さっきまで魔王竜がいた場所を見つめている。

そして、それは起こった。


地の底から這い出てくるかのような咆哮を上げながら、魔王竜の身体が徐々に再構成され始めたのだ。


「…え?」

「な、なんだと!?」

「そんな…いったいどうして!?」


カルラたちは再び武器を構えて魔王竜と相対する。

私も女神も知っていた。こいつは倒すことができないのだ。

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