67. 神剣レーヴァテイン
決戦、反撃開始です。
視界を覆っていた水飛沫が晴れる。
「……どうして」
エミリーが、
呆然とこちらを見ていた。
「どうして……
まだ立っているの……?」
荒い呼吸のまま、
手元を見る。
握っていたのは。
根元から折れたセトだった。
「……セト」
返事はない。
「おい……
セト」
反応しない。
いつもの声も、
もう聞こえなかった。
守ったのだ。
俺と、
リンを。
自分が砕けると分かっていて。
奥歯が軋む。
「……どうして、
そこまでするの」
エミリーが掠れた声で呟く。
視線を背後へ向ける。
少し離れた瓦礫の中で、
リンが倒れていた。
全身は血と土埃にまみれ、
生死の判別もつかない。
手の中には、
俺たちを守るために、
最後まで戦い抜いたセト。
エミリーを見る。
この女は。
自分が全てを壊していることを分かっていない。
「……俺にだって」
声が漏れる。
「守りたいものがある」
エミリーを睨む。
「自分の都合で」
一歩踏み出す。
「勝手に傷つけてんじゃねぇ」
静かに言い放ち、
折れたセトを鞘と共に地面へ置く。
「――レーヴァ」
「こちらに」
声に導かれるように視線を向ける。
そこには、
静かに佇むレーヴァの姿があった。
紅い瞳が、
真っ直ぐこちらを見返している。
「やるぞ」
「はい、我が主」
瞬間。
紅蓮の炎が噴き上がった。
レーヴァの身体が炎へと変わり、
一振りの剣へ収束していく。
熱量が跳ね上がる。
空気が焼ける。
現れたのは。
灼熱を纏う、
紅蓮の神剣。
神剣レーヴァテイン。
その柄を握る。
瞬間。
膨大な力が、
全身を駆け巡った。
空間そのものが軋む。
エミリーの表情が変わった。
「……っ!?」
エミリーがミスティルテインを掲げる。
周囲の水が奔流となって集束し、
迎撃のため放たれる。
だが。
今の俺を止められるものではない。
地面を蹴る。
床が砕け、
爆ぜた熱が背後へ吹き荒れる。
迫る奔流を真正面から切り裂き、
そのままエミリーの懐へ踏み込む。
「な――」
咄嗟に振るわれたミスティルテインごと、
レーヴァテインを叩き込んだ。
紅蓮の衝撃が炸裂する。
エミリーの身体が、
大きく吹き飛んだ。
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ついにレーヴァテイン解放です。
ここから決戦は最終局面へ入っていきます。
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