62. 水剣の守護者
セトがかなり頑張ります。
「死んで」
エミリーの声と同時に、
無数の水弾が空間を埋め尽くした。
轟音と共に、
着弾した床が激しく抉れる。
「っ、おいおい!?
まだ増えるのかよ!?」
リンが飛び退きながら叫ぶ。
視界を埋め尽くす水弾。
まともに突っ込めば、
一瞬で蜂の巣だ。
「マスター、ミギデス」
セトの声。
同時に身体が右へ跳ぶ。
その直後、
巨大な水塊が空間を貫いた。
「セト!」
『モットクダサイ』
更に魔力を流し込む。
セトの刀身が淡く発光した。
真正面から迫る水弾へ、
セトを振り抜く。
凄まじい衝撃。
だが今度は押し負けない。
巨大な水塊を真正面から切り裂き、
散った水飛沫が周囲へ弾け飛ぶ。
さらに左右から迫った水弾も、
セトの声に合わせて身体を滑らせることで回避できた。
以前より水弾の流れが明らかに見える。
「リン!
タイミング合わせるぞ!」
「おう!!」
リンが踏み込む。
双刃が閃き、
複数の水弾を同時に切り裂いた。
そこへ合わせるように、
マコトも前へ出る。
「……っ」
エミリーの表情が歪む。
押し切れない。
その事実が、
確実に焦りへ変わっていた。
「どうして……」
再び水球が展開される。
「どうして死なないの……!」
暴雨のような水弾が降り注ぐ。
だが。
「マスター、イケマス」
セトの声。
マコトが一気に距離を詰める。
リンも横から追随した。
「っ!?」
エミリーが後退する。
その瞳に、
明らかな動揺が浮かんでいた。
「私が……
この街を守らないと……!」
水流が荒れ狂う。
神殿全体が震えていた。
その瞬間だった。
上層から、
凄まじい衝突音が響く。
何かが高速で降下してくる。
次の瞬間。
レーヴァが、
マコトたちの前へ静かに着地した。
遅れて蒼い影が地面へ叩きつけられる。
「ミスティ!?」
エミリーが目を見開く。
地面へ崩れ落ちたミスティの腹部には、
大きな風穴が開いていた。
水のような魔力が、
そこから零れ落ちている。
ミスティは苦笑した。
「ごめんなさい、エミリー」
どこか、友人へ謝るみたいな口調だった。
「やはり私では、
レーヴァを止めきれないみたいです」
「さて」
レーヴァが静かに笑う。
「これで三対一ですね」
その言葉に。
エミリーの表情が、
初めて大きく揺れた。
「……そんな、
ミスティが……」
震える声。
だが。
次第にその瞳へ、
強い決意が宿っていく。
「……こうなったら仕方がありません」
エミリーが、
ゆっくりとミスティへ歩み寄る。
ミスティは、
そんなエミリーを静かに見上げていた。
「……ごめんね。
力を貸して」
ミスティが目を細める。
「いいのですか?
そうするとあなたは――」
「あの人が愛した街を守れるのは、
私だけだから」
一瞬。
ミスティが、
悲しそうに微笑んだ。
慈愛すら感じさせる表情。
「あなたはいつも、
アルフレッドのためにわがままばかりですね」
そう言って、
優しく笑う。
次の瞬間。
蒼い光が、
エミリーを包み込んだ。
now loading......
レーヴァの言うとおり、2人の格付けは覆せませんでした。
次回はエミリーの過去が語られます。
面白いと思っていただけましたら、 ブックマーク・評価等で応援いただけると励みになります。
引き続きよろしくお願いいたします。




