57. 死都深部
マコトとリンだけの探索になります。
レーヴァと別れ、
僕とリンは死都の奥へと駆けていた。
背後では今なお、
蒸気爆発と轟音が断続的に響いている。
レーヴァが負けないことは確信している。
それでもなお、
振り返りたい衝動だけは抑えきれない。
その焦燥を押し殺し、
僕たちはただ前へ進む。
奥へと進むにつれ、
街の空気は明らかに変わっていった。
石畳はより精緻に整えられ、
建物の意匠は目に見えて豪奢になる。
壁面を彩る彫刻。
柱に刻まれた装飾。
窓枠一つ取っても、
外縁部とは比べ物にならないほど手が込んでいた。
「……いよいよって感じだな」
リンが周囲を見回しながら呟く。
「ああ。
たぶんこの先が本当に中枢なんだろう」
そしてその先には、
他を圧する巨大な白亜の建造物がそびえていた。
神殿か、
王城か。
いずれにせよ、
この都市の象徴だったことだけは間違いない。
そこへ至るための高架通路は、
ところどころ崩れながらも辛うじて形を保っていた。
だが。
「……兄ちゃん、止まれ」
リンの声音が変わる。
しゃがみ込んだリンが、
石床を指でなぞった。
「……やっぱりか。
罠だらけだ」
「わかるのか?」
「ああ。かなり巧妙だけどな」
リンが立ち上がり、
真剣な顔でこちらを見る。
「オレの踏んだ場所を、
一歩もズレずに踏んでくれ」
「了解」
そうして、
僕たちは慎重に高架通路を進み始めた。
一歩。
また一歩。
リンの足跡を正確に辿る。
崩れた箇所も多く、
自然と互いの距離は近くなっていった。
「ちょ、近っ――」
リンが肩を跳ねさせる。
「仕方ないだろ」
「わ、分かってるけど近ぇんだよ!」
顔を赤くしたリンが、
照れ隠しのように半歩だけ横へずれた。
その瞬間。
カチ、と。
「――っ、しまっ!?」
リンの顔色が変わる。
次の瞬間、
足元の石床が崩落した。
「きゃっ――!?」
リンの身体が、
暗闇へ呑まれる。
「リン!!」
考えるより先に、
僕は飛び込んでいた。
――――――
全身を浮遊感が襲う。
落下するリンの身体を空中で抱き寄せる。
そのまま、猛烈な勢いで水面へ叩き込まれた。
冷たい激流が全身を打つ。
地下水路。
一瞬でそう理解した。
だが、理解したところでどうにもならない。
流れが速すぎる。
身体が揉みくちゃにされ、
上下感覚が消える。
抱き留めたリンの感触すら、
激流の中で消えかける。
息を吸えない。
どこが上だ。
その思考すら、
濁流に呑まれた。
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二人は大丈夫なのでしょうか……
とはいえ、リンのレアボイスも聞けましたね。
ボイスガチ勢は録音を忘れないように。
アニメ化でもしたらですが(笑)
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ようやくブクマ30、ブクマ100は遠い




