47. 語る資格
意見交換(物理)継続中です。
もう少しだけお付き合いください。
訓練場を支配していた静寂を破ったのは、
重い吐息だった。
「……参った」
ガルドが膝をついたまま笑う。
「ここまで差があるとは思わなかった」
その言葉に、
蒼鱗旅団の面々がざわついた。
「ガルドさんが……負けた……?」
見習いの少年の声が、 そのざわめきに混じった。
若手筆頭であるガルドの完敗。
その事実は、
旅団にとって小さくない衝撃だったのだろう。
「……なるほど」
ハルヴァードさんがゆっくり前へ出る。
鋭い視線がこちらを射抜いた。
「口だけではないらしい」
「ありがとうございます?」
褒められてるのか分からない。
だがその表情は、
まだ完全には警戒を解いていないようだった。
「とはいえ」
低い声が響く。
「ガルドを倒した程度で、
あの地を語る資格を得たと思うな」
空気が再び張り詰めた。
レーヴァが小さく笑う。
「では、貴方が相手を?」
やめろ。
その挑発はやめろ。
ハルヴァードさんの目が細まる。
「……望むなら受けるが?」
「いや無理無理無理」
即座に割って入った。
「それはさすがに死ぬ」
今のガルド戦で分かった。
この人は明らかに格が違う。
レーヴァならともかく、
今の僕じゃ無理だ。
ハルヴァードさんはそんな僕を見て、
小さく鼻を鳴らした。
「自分の力量は見誤らんか」
「そこだけは得意なので」
「悪くない」
わずかに、空気が和らいだ気がした。
――その瞬間だった。
「では、私も少し実力をお見せしましょうか」
「何でだよ!?」
空気を戻すな。
止める間もなく、
レーヴァが訓練場端の結界柱へ手を上げる。
「これなら問題ありませんね」
「待てっ!!」
次の瞬間。
――轟音。
結界柱が、
根元から消し飛んだ。
爆ぜる石材。
吹き荒れる衝撃波。
訓練場全体が揺れる。
再び静寂が訪れる。
蒼鱗旅団の面々は言葉を失い、
ただ破壊された結界柱を見つめていた。
ハルヴァードさんもまた、
僅かに目を細めたままその光景を見据えている。
「……次はあなたでしょうか?」
レーヴァが淡々と告げる。
長い沈黙。
ハルヴァードさんは、
破壊された結界柱からレーヴァへ、
そして僕へと順に視線を移した。
その後、
深く息を吐く。
「……よかろう」
低く、
重い声だった。
「そこまでの力と覚悟を示した者を、
無碍には扱えん」
踵を返す。
「ついて来い」
その背中には、
なお揺るがぬ威厳があった。
……結果的には前進したが。
絶対もっと穏便なやり方があったと思う。
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ここまでお読みいただきありがとうございます。
意見交換(物理)もようやく終了です。
次回からは、
蒼鱗旅団とのちゃんとした対話に入ります。
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