46. 実力の証明
実力証明回です。
蒼鱗旅団との意見交換(物理)が始まります。
仕事で投稿おくれました、すみません。
「……力づくで通るというなら、試してみろ」
ハルヴァードさんの低い声が響く。
その言葉を合図にしたかのように、
ガルドが一歩前へ出た。
「上等だ」
腰の剣へ手をかける。
空気が一気に張り詰めた。
いや待て。
本当にやるのか。
「随分と気が短いのですね」
レーヴァが小さく鼻で笑った。
「話し合いもできないとは、
思った以上に未熟なようで」
「……っ!」
ガルドのこめかみに青筋が浮かぶ。
「このクソ女……!」
完全に火に油だった。
やめろ。
煽るな。
「待てガルド」
抜刀しかけた彼を、
ハルヴァードさんが制した。
「……本部を壊されては困る」
そして僕たちへ視線を向ける。
「訓練場へ移せ」
そうして僕たちは、
旅団本部裏手の訓練場へと案内された。
――――――
石畳で整備された広い訓練場だった。
周囲には模擬戦用らしき結界柱まで立っている。
かなり本格的だ。
訓練場の中心でハルヴァードさんが腕を組む。
「誰から来る」
「臆病ですね」
レーヴァが肩を竦める。
「全員でかかって来なさい。
まとめて相手をして差し上げます」
「僕がやります!」
被せ気味に前へ出た。
一瞬遅れて全員の視線がこちらへ集まる。
「……マスター?」
「お前が出たら終わる」
小声で告げる。
色々な意味で。
レーヴァは不満そうに目を細めたが、反論はしなかった。
僕は訓練場脇に立てかけられていた鉄棒を一本手に取る。
「僕が相手をしますので、
どなたかお願いできますか」
その言葉に、
ガルドが即座に前へ出た。
「……俺がやる」
鋭い視線が突き刺さる。
「舐めた口利いたこと、
後悔させてやる」
「ほどほどにお願いします」
「抜かせ」
互いに距離を取る。
空気が張り詰めた。
「――始め!」
誰かの声と同時。
ガルドが弾けた。
速い。
踏み込みと同時に、鋭い斬撃が首元を狙って走る。
だが――
「っ」
鉄棒で受ける。
金属音が訓練場に響いた。
「へえ」
思わず声が漏れた。
重い。
そして速い。
若手ホープというのは伊達ではないらしい。
「余裕ぶってんじゃねえ!」
そのまま二撃、三撃と連撃が襲う。
袈裟斬り。
横薙ぎ。
突き。
流れるような連撃。
かなり洗練されている。
だが。
「まだまだ!」
見える。
捌ける。
受けられる。
ガルドの眉がぴくりと動いた。
「チッ!」
さらにガルドが剣速を上げる。
踏み込みが深くなる。
剣筋が鋭さを増す。
それでも。
「遅い!」
斬撃を逸らし、
踏み込みざまに足を払う。
「ぐっ!?」
体勢を崩したガルドへ、
追撃の蹴りを叩き込む。
ガルドの身体が勢いよく後方へ弾き飛ぶと、そのまま訓練場の端まで転がっていく。
「ガルド!」
「嘘だろ……!?」
旅団側がざわつく。
だがガルドはすぐ立ち上がった。
口元の血を拭い、
獰猛に笑う。
「……なるほど」
剣を構え直す。
「本当に強えな」
空気が変わった。
先ほどまでの怒り任せではない。
戦士としての本気。
「だが――」
魔力が膨れ上がる。
「ここからだ!」
次の瞬間。
先ほどまでとは比較にならない速度で踏み込んできた。
「っ!?」
速い。
今度は本気か。
連撃。
連撃。
連撃。
先ほどとは段違いの猛攻。
普通なら押し切られて終わる。
だが。
「……やっぱり」
まだ足りない。
剣を逸らす。
懐へ潜る。
無防備になった腹へ――
「よいしょ」
拳を叩き込む。
「がっ――!?」
ガルドの身体がくの字に折れた。
そのまま膝をつき、
剣を取り落とす。
静寂。
誰も動かない。
誰も声を出さない。
その沈黙の中。
僕は軽く息を吐き、
手を下ろした。
「……これで、少しは話を聞いてもらえますか?」
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ここまでお読みいただきありがとうございます。
まずはガルドとの一戦でした。
マコトの地獄の訓練の成果が、
思った以上に出ていたようです。
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