40. 最低限の装備
誰目線の最低限なんでしょうね。
その後、僕たちは風哭きをさらに何度か周回し、
希少素材である風纏鳥の尾羽を二人分確保することに成功した。
ついでに、
風属性耐性を持つ希少な指輪まで手に入ったのだから、
成果としては上々だろう。
――もっとも、
その過程で何体のグリフォンが犠牲になったかは考えないものとする。
――――――
だが。
休息などなかった。
「時間が惜しいので次へ行きます」
そのレーヴァの一言で、
僕たちの地獄は延長された。
次に攻略したのは灼熱洞。
その次は水鏡の洞穴。
もちろんどちらも目的のものが出るまで周回コースである。
他にもいくつもの迷宮を巡った気がするが、
途中から記憶が曖昧になる程度には周回させられた。
――――――
さらに数日後、
月灯りの止まり木亭の自室にて。
「すべて出来上がりましたので、着てみてください」
レーヴァに促され、
僕たちは新装備へ袖を通した。
まず僕。
武器はそのままだが、
防具は、胸部を守る風纏の黒甲を中心に、
灼熱鉱を鍛えた耐熱籠手、
氷晶蜘蛛糸を織り込んだ冷却内装、
雷獣革の耐電脚甲、
岩亀甲殻の衝撃吸収膝当て、
水鏡素材の姿勢補助剣帯、
夜梟羽根の感知強化外套、
毒沼蛙皮を封じた耐毒護符、
重力石を埋め込んだ体幹補助ベルトなど
あまりの充実ぶりに、どう突っ込めばいいのか分からない。
「……すごいな」
ようやく出た言葉は、そんな間の抜けたものだった。
「最低限です」
最低限とは。
次にリン。
まず目を引いたのは、
腰に下げられた新調された双短剣――アルバとノクスだった。
白銀と黒鉄で対を成す二振りは、
一目で業物と分かる出来だ。
さらに、腰の逆側にはリターナがもう一本。
「増えてる!?」
「投擲運用を前提とするなら当然です」
なおこれは、
リンが「罠対処訓練」と称して
レーヴァに単独で迷宮周回させられた成果らしい。
怖くて詳細は聞いていない。
続いて防具。
風走りの狩衣をベースに、
幻影猫革の静音靴、
飛燕羽の回避補助マント、
水鏡糸の投擲補助手袋、
雷狐尾毛の反応強化髪紐、
夜目石付き額飾り、
多重短剣ホルスター、
緊急離脱用ワイヤーユニット、
幻惑香を仕込んだ煙幕筒帯など
もはや暗殺者、どう見ても只者ではない。
「……こっちもかよ」
「当然です」
最後に、レーヴァから指輪を受け取る。
「敏捷をあげる風護の指環です。
副産物ですね」
「副産物のレベルじゃねえだろ……」
その様子を見て、
レーヴァは満足げに頷く。
「ようやく最低限の装備が揃いましたね」
「「これで!?」」
僕とリンの声が、
綺麗に重なった。
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ようやく40話到達です。
最低限とは何か。
その定義については、レーヴァと議論の余地がありそうです。
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