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38. 風哭き 深層

風哭き、ついに最奥です。

風哭きの攻略は、

想像以上に順調だった。


「なんか普通に進めてるのが逆に怖いんだけど」


迫る風刃を躱しながら、

僕は思わず漏らした。


「何言ってんだ。 苦戦したいのか?」


「したくはない」


リンの即答に、

こちらも即答する。


「当然です」


レーヴァが先頭を歩きながら言った。


「ここまでの訓練を考えれば、

 これくらいはこなしてもらわなければ困ります」


要求水準が高すぎる。


だが――。


実際、攻略できてしまっている以上、

反論しづらいのも事実だ。


風刃の軌道をリンが読み、

僕が前衛を切り開き、

レーヴァが全体を統制する。


三人の連携は、

既に一つの形になりつつあった。


――――――


「マスター、リン。 足を止めてください」


レーヴァが静かに告げた。


僕たちは即座に足を止める。


その直後。


前方の空間を、

目に見えるほど濃密な風の刃が横薙ぎに走り抜けた。


「うわっ……」


「今の当たったら洒落にならねえな」


リンが顔を引きつらせる。


「深層ですからね」


レーヴァは平然と言った。


「ボス部屋が近い証拠です」


その言葉に、

自然と背筋が伸びた。


――――――


さらに進んだ先。


通路の脇に、

砕けた盾が転がっていた。


その先には、

断ち切られたロープ。


壁には、

何かが激突したような血痕まで残っている。


「……逃げる暇もなかったのか」


「かもな」


リンが低く呟く。


「相当ヤバいってことだ」


冗談ではない。


だが、

誰も笑わなかった。


――――――


やがて。


僕たちの前に、

巨大な石扉が姿を現した。


周囲の壁より一回り大きく、

表面には風を象った紋様が刻まれている。


そして何より。


扉の向こうから漏れる圧が、

明らかに今までの魔物とは違った。


「……これが」


僕は無意識に、

セトを握る手へ力を込める。


「風哭きの主です」


レーヴァが静かに告げた。


リンも短剣を握り直した。


いつもの軽口はない。


全員が、この先に待つ敵が一筋縄ではいかないことを理解していた。


「準備はいいですね」


その問いに、

僕たちは無言で頷く。


レーヴァが石扉へ手をかけた。


重い音を立てながら、

扉がゆっくりと開いていく。


その姿を見た瞬間、

僕は息を呑んだ。


「……グリフォン」


風哭きの主が、

翼を広げた。


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ここまでお読みいただきありがとうございます。


次回、風哭きの主との戦闘となります。

グリフォンといえば強敵の代名詞ですが、一体どんな戦いになるのでしょうか。


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引き続きよろしくお願いいたします。

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