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36. 噂のキチガイパーティ

ラビリンズ攻略、本格開始です。

「で、次は装備ですね」


訓練を終えた翌日、

レーヴァが当然のように言った。


僕たちは冒険者ギルド併設の工房区画に来ていた。


「今の装備では、身体性能に対して不足があります。 訓練に身体が追いついた以上、装備も更新する必要があります」


「やっとまともな装備更新か……」


僕が呟くと、

リンは腰の短剣を軽く叩いた。


「オレはこれでもいいけどな」


「駄目です」


即答だった。


「えぇ……」


「愛着があるのは理解しますが、戦場に情緒は不要です」


容赦がない。


「お前そういう言い方……」


「その短剣は保管しておきなさい。 記念品としての価値はあります」


「……まあ、そう言うなら」


少し名残惜しそうに短剣を撫で、

リンは頷いた。


「ラビリンズ産の装備は高性能ですからね。 予算の許す範囲で整えます」


「予算?」


「稼げば問題ありません」


レーヴァはいつもの落ち着いた微笑みを浮かべた。


その表情が一番怖い。


――――――


それからの日々は早かった。


迷宮を潜り、

攻略し、

素材を持ち帰り、

装備を整える。


また潜り、

また攻略する。


その繰り返し。


――――――


「聞いたか?」


ギルドの酒場で、

一人の冒険者が声を潜めた。


「あのキチガイパーティ、灰鉄の迷宮をもう抜けたらしいぞ」


「は? あそこ中級者でも手こずるだろ」


「三日だとよ」


「早すぎるだろ……」


別の冒険者が顔をしかめる。


「しかも次、“罠喰らい”に潜るらしい」


「正気か?」


「あそこ罠だらけだぞ」


「普通は専門の斥候連れてく場所だろ……」


「いや」


別の男がぼそりと呟いた。


「あいつらんとこ、化け物みてえに罠見抜くガキがいたろ」


「……ああ」


「しかも前衛の兄ちゃんも最近動きおかしいぞ」


「おかしいってなんだ」


「身体強化込みでも説明つかねえ動きしてる」


「なんだそれ怖ぇな」


「一番怖いのは教官役の女だろ」


「違いねえ」


全員が頷いた。


――――――


「次は?」


迷宮帰り、リンが軽く剣を振りながら尋ねる。


以前とは比べ物にならないほど、

その動きは洗練されていた。


「次は“風哭き”です」


レーヴァが即答する。


「また癖の強そうな名前だな……」


「高難度迷宮です。 準備を怠らないように」


そう言って微笑む。


その笑みを見て、

僕とリンは同時に悟った。


――次も楽ではない。


「「イエスマム……」」


反射で返事が出た。


レーヴァは満足げに頷いた。


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ここまでお読みいただきありがとうございました。


訓練を終えた三人は、いよいよ高難度迷宮の攻略へ。


ラビリンズ編らしく、しばらくは迷宮攻略と成長が続きます。


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