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34. 訓練開始

訓練回です。

その日の夜。


「……で、オレはどこで寝ればいいんだ?」


宿へ戻ったところで、リンがそんなことを言い出した。


言われてみれば当然である。


「……あ」


「忘れてたって顔すんなよ」


「すまん」


相談した結果、部屋数を増やすのではなく、ベッド数の多い部屋へ移ることになった。


「え、オレも同じ部屋でいいのか?」


「まあ、その方が管理しやすいしな」


するとリンは、にやりと口元を歪めた。


「いいのか。 お前らそういう関係だろ?」


「ぶっ――違うわ!」


マコトが即座に否定する。


レーヴァは真顔でリンを見ると、静かに告げた。


「……リン。 あなた、見込みがありますね」


「何の見込みだよ!? とにかく、部屋は三人で一緒だからな!!」


――――――


翌朝。


冒険者ギルドへ向かう道中、リンが首を傾げた。


「今日は迷宮にいかねえのか?」


「本日はギルドの地下訓練場を利用します」


レーヴァが淡々と答えた。


「地下訓練場?」


「はい。 基礎訓練を行います」


「いや、迷宮で戦ってレベルを上げた方が早くねえか?」


リンが当然のように言う。


「僕もそう思うんだけど。 僕のときと同じように、パワーレベリングはしないのか?」


するとレーヴァは首を横に振った。


「マスターは恩恵により、最低限の基礎戦闘能力を得ておりましたので」


「なるほど?」


「ですがリンにはそれがありません。 現状は技能以前の問題です」


「うっ」


「まずは身体作り、基礎体力、足運び、戦闘姿勢から矯正します」


リンの顔が引きつった。


――――――


数時間後。


「はぁっ……はぁっ……し、死ぬ……」


リンは地下訓練場の床に倒れ伏していた。


走り込み、体幹、受け身、足運び――

基礎訓練だけで完全に潰されたらしい。


そのすぐ隣で――


「…………」


僕も静かに死んでいた。


「なんでおっさんまで死んでんだよ……」


「お前の訓練と並行して、僕も別メニューやらされてたんだよ…… あとおっさん言うな、 お兄さんだ!」


僕の方は、剣筋の矯正、踏み込みの修正、無駄な力みの除去、魔力循環の基礎訓練、身体強化の導入訓練。


言葉にするとそれっぽいが、実態はレーヴァに木剣でひたすら叩き直されるだけの地獄である。


「脇が空いてますよ」


「ぐっ!?」


木剣が脇腹を打つ。


「反応が遅いです」


「痛っ!?」


「魔力の流れが雑です」


「え、そっちも見てるの!?」


「当然です」


容赦がない。


「鬼かあいつ……」


「今さら気づいたのか……」


二人して並んで地面に転がる。


そんな二人を見下ろしながら、レーヴァは穏やかに告げた。


「……そんな軽口が叩けるとは、随分余裕があるようですね。 明日はもう少し負荷を増やしましょう」


「「うそだろ」」


声が綺麗に揃った。


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ここまでお読みいただきありがとうございました。


訓練の中で、なぜかリンとマコトの仲が深まったようです。


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