29. 効率的な迷宮攻略のために
すみません予約投稿忘れてました。
迷宮突入前の準備回です。
宿の食堂で朝食を取りながら、
今後の方針を相談することになった。
「金銭的な余裕はありますので、
まずは数日ほど情報収集に充てるべきかと」
レーヴァが淡々と言う。
「迷宮の構造、
推奨装備、
主要な魔物、
有用な技能構成。
事前情報が多いほど探索効率は向上します」
実に正論である。
「……ほどほどにね?」
「善処します」
その返答が一番不安だった。
――――――
その後、僕たちは迷宮都市を歩き回った。
ギルドで資料を読み、
ベテラン冒険者の話を聞き、
装備屋や道具屋を覗いて回る。
ラビラリンズには、
中心にそびえる大迷宮をはじめ、
大小さまざまな迷宮が点在しているらしい。
なぜこれほど多くの迷宮が
この地に集まっているのか――
その理由は誰にも分かっていないという。
そして迷宮ごとに、
出現する魔物、
構造、
罠の傾向まで異なるとのことだった。
特に深層へ潜るほど、
前衛・後衛だけではなく、
斥候や盗賊系技能を持つ者の重要性が増すらしい。
「なるほど……
ゲームみたいにバランスが必要なんだな」
「当然です。
脳筋のみで攻略できるほど、
迷宮は甘くありません」
誰が脳筋だ。
……いや、
若干心当たりはあるけど。
さらに歩いていると、
僕はある看板を見つけて足を止めた。
「――風呂?」
「共同浴場ですね」
「あるの!?」
思わず大声が出た。
「ありますが」
「行く」
即決だった。
久々の、
広い湯船。
文明。
最高。
「……生き返る」
湯船に浸かった瞬間、
心の底からそう思った。
異世界に来てからというもの、
身体を拭く程度しかできていなかったのだ。
風呂の偉大さを再認識した。
風呂から上がり、
脱衣所で待っていると――
「お待たせしました、マスター」
振り返った瞬間、
思わず息を呑んだ。
湯上がりでほんのり上気した白い肌。
しっとりと艶を帯びた真紅の髪。
火照った頬に、
どこか柔らかく見える表情。
普段より薄着なことも相まって、
破壊力が凄まじい。
「……どうかされましたか?」
「い、いや……
なんでもない」
危ない。
今のは普通に危なかった。
――――――
その帰り道。
知らない路地を曲がったのがまずかった。
「……あれ?」
気づけば、
周囲の雰囲気が明らかに変わっていた。
建物は薄汚れ、
道端には座り込む浮浪者。
こちらを値踏みするような視線がいくつも向けられる。
「……スラムか?」
「そのようですね」
レーヴァは平然としていた。
数人の男たちが近づいてくる。
「おい兄ちゃん、
ちょっと話――」
「失礼。
少し道をお尋ねしたいのですが」
レーヴァがにこりと微笑んだ。
――――――
数分後。
「有意義な情報収集でした」
「何したの?」
「優しくお話ししただけです」
優しくとは。
いや、聞かない方がいい気がする。
――――――
翌朝。
さて、今日からいよいよ迷宮へ――
と思っていたところで、
「マスター、
少々準備がありますので先にギルドへ向かっていてください」
「準備?」
「はい。
すぐに合流します」
そう言って、
レーヴァはどこかへ去っていった。
――――――
冒険者ギルド前。
しばらく待っていると、
レーヴァが戻ってきた。
大きなズタ袋を肩に担いで。
「……何それ?」
「必要なものを調達してきました」
そう言って、
レーヴァはズタ袋を地面へ下ろした。
もぞり。
「……え?」
袋が動いた。
嫌な予感しかしない。
レーヴァが袋の口を開くと――
中から、
小汚い格好をした少年が現れた。
「誰!?」
「罠検知の才能がありましたので」
「さらってないかこれ!?」
「人聞きが悪いですね」
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ここまでお読みいただきありがとうございました。
情報収集は大事です。
たぶん大事です。
次回、新たな仲間(?)の事情聴取回です。
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