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28. 迷宮都市の冒険者ギルド

迷宮都市での新生活スタートです。

通されたのは、

受付奥の応接室だった。


しばらく待つと、

扉が静かに開く。


入ってきたのは――


長い白髭を蓄えた老人だった。


深い紺のローブに身を包み、

手には古びた杖。


いかにも“高位魔法使い”といった風貌である。


だが、その細められた目の奥には、

油断ならない鋭さがあった。


「待たせたのう」


老人はゆっくりと席に着く。


「儂はこのラビラリンズ支部のギルドマスター、

 グランじゃ」


「マコトです」


「レーヴァです」


簡単に名乗りを交わし、

グランさんは穏やかに笑った。


「まずは昇格おめでとう。

 先に伝えられておると思うが、

 お主のランクは本日付でDとなる」


「ありがとうございます」


「ちなみに、

 オーガ討伐を踏まえてCまで上げるべきでは、

 という声もあったぞ」


「えっ」


思わず間の抜けた声が漏れた。


「さすがにそこまでは性急ということでな。

 今回は見送られたが」


いや、十分すぎるほど異例だと思う。


「オーガを倒せる実力があると聞いたぞ」


「……まあ、

 正確には僕じゃなくて連れがですが」


そう言って隣を見る。


レーヴァはいつも通り涼しい顔だ。


「良き仲間と巡り合うのも、

 実力のうちじゃよ」


グランさんは楽しげに笑った。


「今後に期待しておるぞ」


……期待されすぎるのも、

少し怖いな。


面会を終え、

受付へ戻ると――


先ほどの受付嬢が待っていた。


「改めまして」


彼女は柔らかく微笑む。


「私はリディアと申します。

 スタットのタニアは私の妹なんですよ」


「やっぱりそうなんですね」


雰囲気が少し似ている気はしていた。


「妹がお世話になったようで」


「いえ、こちらこそ」


「それでですね」


リディアさんは営業スマイルに戻る。


「宿はもうお決まりですか?

 まだでしたら、冒険者向けで評判の良い宿をご紹介できますよ」


「ぜひお願いします」


ありがたい。


土地勘ゼロなので非常に助かる。


そうして紹介されたのは、

ギルドからほど近い場所にある

『月灯りの止まり木亭』だった。


受付を済ませ、

部屋の確認をする。


「本日はシングルが満室でして、

 ツインかダブルのみとなります」


「ダブルでお願いします」


レーヴァが即答した。


「待て」


「何でしょう?」


「何でしょうじゃない」


「ツインでお願いします」


即座に訂正する。


当然である。


「ダブルが望ましいかと」


「望ましくないよ」


レーヴァは小首を傾げる。


本気で分かっていない顔だ。


「ベッドが一つの方が、

 護衛対象の異変に即座に対応できます」


「できなくていい対応まで発生するだろ!」


「効率的かと」


「効率を求めるな!」


受付嬢がにこにこしている。


やめてほしい。


結局、僕の強い主張によりツインとなった。


部屋へ入る。


清潔な室内。

柔らかなベッド。

広めの窓。


そして何より――


「ベッドだ……」


思わず呟く。


久々の、ちゃんとしたベッドである。


「……文明って素晴らしい」


心の底からそう思った。


now loading......

ここまでお読みいただきありがとうございました。


ギルドマスターとの顔合わせ、

そして安定のレーヴァでした。

高めの条件を先に出しておき、さらっと同室を勝ち取ること、交渉の基本ですね。


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