26. 初護衛任務(6)
ようやく迷宮都市に到着しました。
「…………」
しばし、
誰も動かなかった。
夜の野営地に、
妙な静寂が落ちる。
その沈黙を破ったのは、
ライルさんだった。
「……お前ら、何者だ?」
「だからただの新人冒険者ですって」
「絶対違うだろ」
即答だった。
ですよね。
その後、
ようやく我に返った一同でオーガの死体を囲む。
「……しかし、本当にオーガか」
タインさんが低く呟いた。
「この辺りに出る魔物じゃありませんよね?」
僕が尋ねると、
ライルさんが真顔で頷く。
「ああ。
少なくとも街道沿いに出るなんざ聞いたことねえ」
そう言いながら、
ライルさんは慣れた手つきでオーガを解体し始めた。
ほどなくして取り出されたのは――
拳大の、
鈍く輝く魔石だった。
「おお……でか」
思わず声が漏れる。
ゴブリンの魔石とは比べものにならない。
「こいつは討伐者のもんだ。
持ってけ」
ライルさんが魔石を放ってよこす。
慌てて受け取った。
ずしりと重い。
「いいんですか?
皆さんで倒したようなものでは」
「いや、どう見てもお前らで倒しただろ」
ごもっともである。
「それに――」
ライルさんは真剣な顔で、
オーガの死体を見下ろした。
「こいつがここにいたってのは、
ちょっと洒落にならねえ」
「……ですよね」
「街着いたらギルドに報告しとく。
調査が入るかもしれねえな」
ギルドが動くほどの案件らしい。
やはり、かなり異常事態だったようだ。
「まあ……
俺らは生きてりゃそれで十分だ」
ライルさんはそう言って、
豪快に笑った。
翌朝、商隊は予定どおり出発した。
その後は特段のトラブルもなく、
数日後――
「おお……」
思わず声が漏れた。
視界いっぱいに広がる、
巨大な城壁。
その前を行き交う、
夥しい数の人々。
人、
人、
人。
活気と熱気が、
門の外にまで溢れ出していた。
「ようこそ、迷宮都市ラビラリンズへ」
タインさんが誇らしげに言った。
ついに。
僕たちは、
迷宮都市へ辿り着いたのだった。
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ここまでお読みいただきありがとうございました。
おまたせしました、
次回から迷宮都市編スタートです。
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