22. 初護衛任務(2)
護衛任務、本番開始です。
「それでは、改めてよろしくお願いいたします」
タインさんの合図とともに、
商隊はゆっくりと街道を進み始めた。
荷馬車は全部で三台。
積荷は主に、
ラビラリンズへ運ぶ日用品や食料品とのことだ。
「へえ、迷宮都市ってやっぱ物資の消費が激しいんですね」
「ええ。人が集まる場所ですからな。
食料も道具も、いくらあっても足りません」
なるほど。
迷宮都市って、
こういった他の街から運び込まれる物資で成り立ってるのか。
などと感心していると、
隣を歩くライルさんがにやりと笑った。
「おい新人、肩に力入りすぎだぞ」
「え?」
「護衛ってのはな、
気ぃ張りすぎても保たねえんだよ」
そう言われてみれば、
確かに無意識に周囲を見回し続けていた。
初任務ということもあって、
少し気負っていたのかもしれない。
「もっと周りを見ろ。
敵だけじゃねえ。
荷馬車、積荷、御者、護衛仲間。
全部見て初めて護衛だ」
「……なるほど」
ただ敵を倒せばいいわけじゃない。
護るべきものがある戦い。
それが護衛任務か。
「よし、飲み込みは早そうだな」
ライルさんが満足げに笑った。
「マスターは優秀ですので」
なぜかレーヴァが誇らしげだった。
お前が褒められたわけじゃないだろ。
そんな会話をしながら進むこと数時間。
「マスター、お客さまです」
不意に、
レーヴァがそう告げた。
空気が変わる。
その一言だけで、
全員が即座に警戒態勢に入った。
次の瞬間――
街道脇の茂みから、
小柄な影が飛び出してきた。
「ゴブリンだ!」
一体、二体、三体――
計五体。
街道を塞ぐように現れたゴブリンたちが、
錆びた剣や棍棒を振りかざして襲いかかってくる。
「新人!
右二体任せた!」
「はい!」
右手のゴブリン二体へ向けて駆け出した。
「――っ!」
最初の一体の棍棒を躱し、
セトの刃を喉元へ走らせる。
そのまま返す刃で、
二体目の脚を薙ぐ。
倒れたところへ追撃。
そのまま二体目も斬り伏せた。
「おっ、やるじゃねえか!」
ライルさんの声が飛ぶ。
振り向けば、
あちらも豪快に大剣を振るい、
残るゴブリンを叩き伏せていた。
……普通に強いなこの人。
気づけば、
戦闘はあっという間に終わっていた。
「怪我人なし!
積荷異常なし!」
ライルさんが確認し、
タインさんも安堵したように息を吐く。
「お見事でした」
「いえ、皆さんがいたので」
「いやいや」
ライルさんが肩を叩いてくる。
「初護衛であの位置取りできるなら上出来だ」
……少しだけ、
嬉しかった。
単に倒したからじゃない。
“護衛として”評価されたのが、
妙に誇らしかった。
「護衛任務って、
思ったより奥深いんですね」
「だろ?」
ライルさんがにやりと笑う。
「冒険者は殴るだけじゃ務まらねえのさ」
その言葉には、
妙な重みがあった。
どうやら、まだまだ学ぶことは多そうだ。
そしてその日の夕刻。
「今日はこの辺りで野営としましょう」
タインさんの言葉に、
商隊は街道脇で停車した。
……人生初の野営である。
内心、結構テンションが上がっていた。
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ここまでお読みいただきありがとうございました。
次回は初の野営回です。
護衛任務はまだまだ続きます。
少しの間お付き合いください。
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