18. ギルド騒然
ギルド騒然回です。
受付嬢からすると、たぶんホラーです。
(タニア視点)
夕刻。
冒険者ギルドが最も慌ただしくなる時間帯。
本日分の依頼達成報告が次々と持ち込まれ、
受付は慌ただしく回っていた。
「次の方どうぞー!」
そう声を張り上げながら書類を整理していると、
見慣れた二人組がカウンターへと現れた。
――マコトさんと、レーヴァさん。
最近ギルド内で最も注目を集めている新人冒険者だ。
理由は単純。
異常に強いのである。
初日から薬草採集で規格外の成果を叩き出し、
その後も高効率で依頼を達成し続けている。
とはいえ、
本日は朝から森の奥へ向かうと言っていた。
正直、少し心配していたのだが――
「討伐報告をお願いします」
そう言ってカウンターに置かれた袋を見て、
私は固まった。
「……え?」
袋が、いくつも。
しかもどれも、
パンパンに膨らんでいる。
「本日分の討伐証明部位です」
レーヴァさんが平然と言う。
恐る恐る中を確認する。
フォレストウルフの牙。
ホーンラビットの角。
ゴブリンの耳。
……まだある。
ブレードディアの刃角。
「えっ」
思わず声が漏れた。
慌てて数える。
「フォレストウルフ二十三体……
ホーンラビット十七体……
ゴブリン十二体……
ブレードディア二体……?」
そこまで読み上げた時点で、
周囲の空気が凍りついていた。
だが――
袋の底には、
まだ小型魔物の討伐証明部位が山のように残っていた。
「ま、まだあるんですか……?」
「細かいものは数えていませんが、
目についたものは討伐しております」
レーヴァさんがさらりと言った。
ざわ――
次の瞬間、
ギルド中がどよめいた。
「おいおい嘘だろ……」
「ブレードディアまで混じってるぞ……」
「討伐隊でも出したのかよ……」
ブレードディアは、
駆け出しが相手取るような魔物ではない。
ましてこれだけの数を、
たった一日で。
「え、えっと……
確認ですが……
こちら、本当にお二人で……?」
「はい」
マコトさんが困ったように笑う。
いや、困るのはこっちです。
「問題ありますか?」
レーヴァさんが首を傾げる。
問題しかない。
だが、規則上、虚偽申告の証拠もない。
討伐証明も揃っている。
傷の状態を見れば、
むしろ極めて綺麗な討伐だと分かる。
……綺麗すぎるくらいに。
「し、少々お待ちください!」
私は半ば駆けるように席を立った。
向かう先は当然――
「ギルマス!!」
「なんだ騒々しい――って、
なんだその顔は」
「例の新人がとんでもない量の魔物を討伐してきました!!」
「……は?」
その日。
スタット冒険者ギルドでは、
緊急で昇級審査の検討会議が開かれることとなった。
なお、当の本人はというと。
「今日も疲れたなあ」
「お疲れ様でした、マスター」
「マスター、アシガプルプルシテマスヨ」
宿へ帰る道すがら、
そんな呑気な会話をしていたらしい。
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ここまでお読みいただきありがとうございました。
本人は頑張っただけのつもりでも、周囲から見るとだいたい事件です。
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