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15. 初クエストはヒモの気配?

初クエスト回です。


なお、冒険感は薄めです。


そんなこんなで、

僕はようやく冒険者としての第一歩を踏み出した。


とはいえ、

まずはクエストに慣れることを目的とした簡単なものだ。


それでも、

これから始まる冒険者生活に

一男子としてわくわくしていた。


件の薬草は、

街からそう遠くない森の中で採れるらしい。


一般の冒険者であれば、

朝一でクエストを受注し、

その後、冒険者向けの商店や露店で必要物資を揃えてから出発するそうだ。


……らしい、というのは、

レーヴァに「必要な物資は揃っています」と止められ、

買い物の必要がなかったからである。


街を出て森へ向かう道すがら、

レーヴァと色々な話をした。


「そもそも、なんでレーヴァは人の姿になれるの?」


「それは神剣だからですよ。

 私クラスになれば簡単です。

 それにこの方が可愛いですし、

 マスターも嬉しいですよね?」


答えになっていない。


だが、剣のままでいられるより

可愛い女の子と冒険できる方が

僕にとってもメリットしかないので、

深く追及しないことにした。


「レーヴァみたいな神剣って他にもいるの?」


「そうですね。

 私には劣りますが、何柱かおります。

 例えば水の――って、マスター。

 浮気はダメですよ」


「いやいや、考えてないよ。

 それにレーヴァは僕のスキルポイント全部を使って手に入れたんだし、

 手放す気もないよ」


「マスター……

 私がマスターのすべてだなんて……」


ぽっと頬を染めるレーヴァ。


……いや待て。


今、この子、

自分たちを“柱”って言った?


神剣って、

神格に近い存在なのか……?


火のレーヴァがいるなら、

水がいて、

風も土もいるのだろうか。


四属性揃い踏みとか、

男としてちょっと憧れる。


……いや、

別に浮気とかそういう意味ではなく。


なんとなく鋭くなった気がする視線に、

心の中で必死に言い訳しておく。


その後も、

晩ご飯の話をしたり、

今後の方針を相談したりしながら歩いた。


レーヴァは本当になんでも知っていて、

若干過保護なところはあるが、

その助言はどれも的確でありがたい。


レーヴァは

「何が相手でも自分が守れる」と言うが、

持ち主である僕もある程度強くなった方がいい。


強くなるには迷宮でレベルを上げるのが効率的らしく、

しばらくはこのスタットで経験を積み、

その後、迷宮都市ラビラリンズへ向かう――


それが僕たちの当面の方針となった。


・・・・・・


・・・・・・・・


「マスター、このあたりですね」


三十分ほど歩いただろうか。


僕たちはようやく目的地へ到着した。


街からそう離れてはいないが、

草木が鬱蒼と茂っており、

たしかに薬草が生えていそうな雰囲気だ。


「それではマスター、

 薬草は直射日光の当たらない場所に生えていますので、

 木陰を中心に探すとよろしいですよ。

 ギルドで見本を借りてきましたのでこちらをどうぞ。

 あそこなどおすすめです」


……至れり尽くせりである。


言われるがまま木陰へ向かい、

薬草を探す。


植物なんて大差ないだろうと思っていたが、

よく見ると案外違う。


二十分ほど探し回って、

ようやくそれらしいものを見つけた。


見本と見比べる。


うん、間違いない。


ナイフで根元から切り取る。


根を残しておけばまた生えてくるらしい。


……タンポポみたいだな。


一株見つけたら戻るよう言われていたので、

集合場所へ戻る。


「お帰りなさい、マスター」


そこには――


絨毯が敷かれていた。


小さなテーブルまで置かれ、

その上には食事と飲み物が並んでいる。


サンドイッチに、

湯気の立つ紅茶。


「マスター、早かったですね。

 ちょうど準備ができたところです。

 薬草はそちらへ置いてください。

 あ、手をお拭きしますね。

 こちらへどうぞ」


若干圧倒されながら、

言われるがまま座らされる。


温かいおしぼりで手まで拭かれていた。


「あの、レーヴァ?

 これどうしたの? 食事とか」


「はい。

 亜空間に収納して運んでまいりました。

 空間内は時間を止めておりますので、

 温かいままですよ」


さらっととんでもないことを言ったなこの子。


「どうしました?

 あーん、いたしましょうか?」


「自分で食べるから!!」


・・・・・・


・・・・・・・・


食事のあと、

朝が早かったこともあり、

そのまま少し眠ってしまったらしい。


ふと、頭の下に柔らかな感触を覚える。


「おはようございますマスター。

 よくお休みでしたね」


目を開けると、

目の前にレーヴァの顔があった。


慌てて身体を起こす。


……膝枕されてた?


その横には、

薬草が山のように積まれていた。


「少し多めですが、

 残りは採っておきました」


そう言ってレーヴァは微笑む。


……あかん。


これ、

絶対ダメになるやつだ。


now loading......


ここまでお読みいただきありがとうございました。


冒険者になったはずなのに、

着実に生活力を失っている気がします。


明日も第16話を更新予定です。

更新は毎日20時頃を予定しています。


続きが気になりましたら、ブックマーク・評価などで応援いただけると励みになります。


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