図書室
ティアリスさんに案内され、彼女の後ろを追いかけながら一緒に歩く。
「やっぱり俺のステータスって低いんですかね?」
歩きながら俺は質問をする。
先程のティアリスさんとレデリックさんの様子を見る限り、素の俺のステータスが低いのと職業に問題があるのは明らかだ。
「正直に言いますと、低い方ではあります。しかしレベルは様々な経験をする事で上がっていきますし、スキルは種類にもよりますけど後から覚えたり増えたりする事もあります」
俺の質問に、ティアリスさんは僅かに俺の事を見ながら説明をしてくれる。
変に誤魔化されたりしないのは、命が関わってくる話だからだろう。
「…失礼ですけど、ティアリスのステータスを見せてもらう事って可能ですか?」
俺がそう聞くとティアリスさんは、
「恥ずかしいですけど…良いですよ、どうぞ」
少し顔を赤くしながらステータスカードを差し出してくれる。
彼女の手からステータスカードを受け取り、お礼を述べてからティアリスさんのカードを見る。
<ステータス>
名前:ティアリス・サンレアン
Lv:45
職業:サンレアン王国第一王女
年齢:17
MP:1350
スキル:火魔法Ⅱ、風魔法Ⅲ、加速魔法Ⅰ、王族の風格、聖槍の使用許可
うわっ…、俺と同い年なのに俺よりめっちゃ強い…
色々スキルもあるし、気になる文字が羅列している。俺と違って魔法のレベルも高いし、複数の魔法名があるところを見ると一人に一つの魔法しか使えないって訳ではなさそうだ。
という事は、単純に今の俺は本当に戦闘に不向きなステータスしてるんだな。
「ティアリスさん、王女様なのにレベルが高いんですね」
「はい…私は騎士団にも所属してますから、魔物の討伐とかもするので王族の中ではレベルは高い方ですよ」
魔物、やっぱりいるんだな。魔物を倒す事がレベルを上げる手段の一番効率的な方法なのかな?
というか、王族なのに政以外にも騎士団にも所属しているのか。
「この加速魔法っていうのはどういう魔法なんですか?」
ティアリスさんの言葉に驚きつつ、俺は気になる事を更に問う。
「加速魔法は名前の通り、自身の速さを上げることが出来る魔法です。この魔法を使って相手より早く動いて戦うことが出来ます」
「なるほど…この聖槍の使用許可ってスキルは?」
「それは…すみません。この国の秘密なのでそれは言えません」
流石に部外者に話せないか…。見て分かるが明らかに特別なスキルだろう。
俺の問いに答えられなかったのが心苦しいのか、申し訳なさそうな表情をするティアリスさん。
いきなりズケズケと聞き過ぎてしまった。
「謝らないでください!不躾に気になった事全てを聞いた俺が悪いんですから」
「…ありがとうございます。出来れば聞かれた事はお答えしたいのですが…。あっ、着きました。ここが王城の図書室です」
そうこう話しているうちに、目的地に着いたようだ。
装飾は城の中だけあって豪華なのだが、少し古い感じがする扉。高さは俺の体の倍はあるであろう大きな扉を、ティアリスさんが開いてくれる。
…大きな扉だけど、開けられたのは扉に比べると隙間のように狭い。と言っても、人一人通るには十分な空間だが。
ティアリスさんに続いて扉を通り室内に入ると、そこにはまさに図書室…いや図書館並みに本棚があり本が詰まっている。埃の様な少し鼻を刺激する香りもする。陽の光があまり入っていないのか、室内は城の廊下に比べると暗い。それでも、本を読むには支障はないだろう。
「本の数、足りますかね?」
「いやいや、充分ですよ」
ティアリスさんが、少し不安そうな声でそう聞いてくるのだが、全部に目を通していたら何ヶ月、いや…何年掛かるか分からない数だ。
「よろしければ、私が良いと思うものをお持ちしましょうか?」
「え?良いんですか?ティアリスさんにそんな事頼んでも…?後で首とか刎ねられません?」
「私からの提案なのですから、そんな事にはなりませんよっ!」
俺の言葉に、今までとは違う笑い方をしながら言ってくる。
怒っている訳ではないけど、少し気を緩めてくれた様な感じがした。
「でも、ここから探すとなると大変だと思いますけど…」
「…大丈夫ですよ。表紙と内容を覚えているので、スキルに関する書籍や魔法、魔物の図鑑などを持ってきますね」
そう言うとティアリスは本棚の森へ消えていく。
…ティアリスさんも優秀なのですね、この量の書籍を記憶していられるとは…。ステータス以前に、記憶力ですら勝てる気がしない。
そんな事を考えつつ、ティアリスさんに任せっぱなしではまずいと思い、俺も自分で色々見て回る。
様々な本、または国の書類なのだろう紙の束を見て回っていくうちに、一冊の本が目に入った。
手に取り表紙を見てみると、少し傷ついているがしっかりと保管されていたのだろう。表紙の真ん中に『勇者の伝説』と書かれていた。
俺はその本が気になり、手に持って読む場所を探す。
すると、この大きな図書室には合わない小さい机と椅子を見つけ、俺はそこに座り本を開いて読み始めた。
……………………
ふぅ…。
読んだ感想は、この勇者はこの世界初めての勇者で一人で数々の戦争を勝利に導き、魔王や魔神を倒した最強の勇者であるということが書いてあった。
もしこれが本当ならこの勇者は凄いな。詳細の説明とかは無かったけど、いったいどんなステータスをしていたんだろう。
「…シュウさん、何冊か持ってきましたよ」
本のページをペラペラとめくっていると、隣から声を掛けられる。
突然声を掛けられて驚くと、どうやらそこそこ時間が経っていた様でティアリスさんを待たせてしまったようだ。
「待たせてしまってごめんなさい、夢中で気が付きませんでした。ありがとうございます」
「良いですよ。真剣に読んでいるのを邪魔したくなかったですし、その本をシュウさんが持っていたのは気になりましたけど」
そう言ってティアリスさんは俺が持っている本を指さす。
「少し気になったので読んでました」
「その本は私が小さい頃、父や母に読み聞かせてもらったお話なんですよ、初代勇者様の話は今でも好きです」
「初代ってことは二代目とかいるんですか?」
「初代勇者様の直系ではないですがいらしたそうですよ。ただ勇者の力は今は誰も引き継いでいません。だから皆様を巻き込んでしまったのです」
なるほど。
勇者の力はスキルとかで、受け継がれるものなのかな?それとも何か特別な儀式的なものをするのだろうか?
「俺もこの初代勇者の話、面白かったです」
「そうですか!!面白いと言って頂けて嬉しいです!私は特にユニオールの戦いのところがすごく好きなんですけれど、シュウさんはどこが良かったですかッ!?」
ティアリスさんが凄い食いついてきた!ユニオールの戦いって確か人族と魔族の戦争で最後は魔王の1人と初代勇者が一騎打ちをした話だったはずだ。
確かにあれは手に汗握る話だった。
「俺もユニオールの戦いの話はハラハラドキドキして面白かったです。あとは、プロヴィル砦の防衛の話も良いと思いましたよ」
「あの戦いも凄いですよね!私も何回も読んでしまいます!」
お互いにどの話が良かったかここに感動したと話しているうちに、
「シュウとは話が合いますね」
「俺もティアとここまで話が弾むとは思わなかったよ」
お互い呼び捨てや愛称で呼び合うまで仲良くなった。
そして、
「ティアリス様、夕食の用意が出来ました」
「「あ…」」
時間を忘れて話し込んでしまったせいで、メイドさんに声を掛けられるまで外が暗くなりかけていたのすら気がつかなかった。
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