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【お陰様で4万pv】ハズレスキルで"最弱"霊獣ダンゴムシを引いた俺、実は"最強"霊獣だった件〜戦争を止めろ!王都の次は世界を救え  作者: タルトタタン
第四章 ダニエル救出編

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28 渾身の矢

 濁流が渦を巻く。


 水は止まった。 だが、水牢の中は泥が舞い上がり、視界は茶色く濁っている。


 誰一人として、ダンさんの姿を見つけられない。


「ダンさん!!」

 リクが叫ぶ。


 返事はない。


 エトの顔が青ざめる。

「まずい……沈んだ!」


 サスケが蜘蛛糸を構えながら叫ぶ。

「リクさん!!」 「私の糸を矢に結びつけてください!!」


 リクは反射的に弓を構える。


 しかし──手が止まった。


「……無理だ」


「何!?」


 リクは震える声で言う。

「ダンさんの甲羅なら……当たっても大丈夫。」


「でも……」

 唇を噛む。


「腹に当たったら……死ぬかもしれない。」


 濁流の中。


 姿は見えない。


 どこに流されたのかも分からない。


 助けようとして放った矢が、  そのまま仲間を殺す一撃になるかもしれない。


 弓を握る手が震えた。


「でも!!」

 エトが水面を睨む。


「ダンゴムシなら丸くなってるんじゃねぇのか!?」


 リクは首を振った。

「いや……」


「ダンさんは、自分の意思でしか丸くなれない」


 リクの表情が曇る。


「もし意識があるなら……きっと丸くなってる」


「でも……」


 拳を握る。


「溺れて意識を失ってたら……丸くなれない」


「……っ」


 誰も言葉を失った。


 その時だった。


 胸の奥が熱くなる。


 ドクン──。


 リクは目を見開く。


「……霊力?」


 微かだった。


 今にも消えてしまいそうな、小さな灯火。


 だが確かに感じる。


 リクはゆっくりと目を閉じた。


 周囲の音が遠ざかる。


 水音も。


 仲間の叫びも。


 鼓動さえ消えていく。


 感じるのは、一つだけ。


 ダンさんの霊力。


 弱々しく。


 それでも、必死に生きようとする命。


(感じ取れ……)


(ダンさんを……)


 霊力が、ゆっくりと回転している。


 濁流に流されながら。


 水の抵抗を受け。


 少しずつ沈んでいく。


(そこか……)


 リクの意識が研ぎ澄まされる。


 水流。


 回転。


 沈む速さ。


 水深──。


 すべてが頭の中で一本の線になっていく。


 そして。


 見えた。


 濁流の奥。


 ゆっくりと流されるダンさん。


 甲羅をこちらへ向けている。


「……いた。」


 リクは静かに呟く。


 ぎゅっと弓を握り締める。


(ダンさん!)


(俺たちの冒険……)


(こんな所で終わらないよな!!)


 カッと目を見開く。


 ヒュンッ!!


 糸を結んだ矢が、  濁流を切り裂いて一直線に放たれた――。




続く

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