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【お陰様で4万pv】ハズレスキルで"最弱"霊獣ダンゴムシを引いた俺、実は"最強"霊獣だった件〜戦争を止めろ!王都の次は世界を救え  作者: タルトタタン
第四章 ダニエル救出編

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24 取引

「動くな、ヤコブ」

 マルコの声が静かに響く。

「ダニエルの命が惜しくないのか?」

 ヤコブは眉をひそめた。


「……」

「剣を置け」

 マルコが笑う。

「俺を見逃せば、水牢の水を止められるぞ」

 夜風が吹き抜ける。


 ヤコブはマルコから目を離さない。


 だが――

 ダニエルの顔が脳裏をよぎった。


 ゆっくりと。

 剣を地面へ置く。


 カラン――。


「そうだ」

 マルコは満足そうに頷く。


「そのまま後ろへ下がれ」

 ヤコブは一歩、二歩と後退した。

 マルコは地面の剣を拾い上げる。


 そして、不意に尋ねた。

「貴様……どこまで嗅ぎつけた?」

「何の事ですか」

「ユダはどこまで話した?」


 ヤコブの表情は変わらない。

「話の意図が分かりません」

 マルコの眉が動く。


「毒の解毒剤だ」

 低い声だった。

「研究していたはずだ」


「……いえ」

 ヤコブは首を振る。

「ユダは何も話していません」

「……っ」


 マルコの顔が歪む。

「くそ……」

 思わず漏れた言葉。

「取引が……」

 その一言に、ヤコブの目が細くなる。


 だが追及する前に声を上げた。

「マルコ殿下!」

「私は剣を置きました!」

「約束通り、水牢の水を止めてください!」


「ああ……」

 マルコは頷く。

「そうだったな」


 そして。

 ニヤリと笑った。

 その笑みに、ヤコブの背筋が凍る。



 次の瞬間。

 マルコは胸元へ手を入れた。

抜かれたものは拳銃だった。


ヤコブの瞳がわずかに細まる。

「……」


マルコは右耳をトントンと軽く叩く。


 

「……一つだけ聞かせてください」


マルコの動きが止まる。

「なんだ」


「なぜ国を裏切るような事をしたんですか?」

 夜風が吹く。


 マルコは鼻で笑った。

「俺はこの国の為に働いている」

「国のため?」


「そうだ。お前ら平民には理解等できないだろうな」

「国が数百年と安定するなら……俺はなんでもする」


「王都や農業村リリンの民はどうでも良いのですか?」

「必要な犠牲だ」


「お前の部下ダニエルは予想外の犠牲だな」


ヤコブの拳が震える。


「……最後に一つ」

「なんだ」

「あなたは本当に、この国を愛していたのですか」

 マルコの眉が僅かに動く。



マルコは笑った。

「愛していたさ」

「だから変えようとした」


 そして。

拳銃をゆっくりと構える。

「だが、おしゃべりは終わりだ」

 

ヤコブはギリギリと歯を食いしばる。


「そういえば……」

「水牢の金具はな……」



 ヤコブが目を見開く。

「一度外れたら終わりなんだよ」


 パンッ!!

 乾いた破裂音。

 赤い飛沫が舞う。


「ぐっ……!」

 ヤコブの身体が大きく揺れた。

 膝が崩れる。


 そのまま石畳へ倒れ込んだ。

 ドサッ――。


 マルコは冷ややかに見下ろした。

 血を流すヤコブへ語りかけるように言う。



 月光の下。

 マルコは笑った。

「最初から止める方法なんて、存在しない」





 

続く


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