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トンネル内も電気が切れているようで照明がない。
しかし停まっている車のヘッドライトのおかげで全くの闇ではなかった。
「笑わないで聞いてくれるか?」
一番後ろを歩く田中さんは俺たちの返事も待たずに続ける。
「今回のあれ、魔物なんじゃないか?」
「魔物って、ゲームに出てくる奴ですか?」
思わず吹き出しそうになった。
「そう。その魔物」
「そんなのがなんで日本の田舎町に現れるんですか?」
「ほら、誰かが呪文を唱えて召喚したとかさ」
「何のために?」
「社会への不平不満の解消」
「それにしても魔物だなんて」
「じゃあなんだって言うんだ? それらしい説明をしてみろよ」
言われて答えられないでいると「変だな」と先頭を行く宇崎さんがつぶやいた。
「事故の気配が全くない。それどころかもうトンネルが終わる。見てみろ。出口がそこにあるぞ。このトンネルは何回も使っているがこんなに短くはないはずだが……」
確かに出口はすぐそこにあった。
明るくなって紫色の曇り空が見える。
出口に近付くと呆然と立ち尽くす人たちが増えた。
そんな人たちの脇を通って出口に辿り着いた時、俺たちも同様に呆気にとられ、立ち尽くすしかなかった。




